6 愛とは……
昔から、父と母は喧嘩ばかりだった。
その上、12年前、父は突然、蒸発した。
母がどんなに苦労したか。
美紅は、そんな父親のことが、大っ嫌いだった。
***
美紅が胸を抑える。心臓が高鳴り、頬が益々赤くなる。
「ちょうど、パワーが戻った。
これで、満足か、娘?」
銀次がいきなり、美紅を抱きしめた。
「ちょ、ちよっと、ぎんちゃん、だめ……」
「きゃん、聖魔様〜、なんですか、この展開♡」
「な、んですかって、……」
牙が横目で若木を見る。
「ググググ……」
熱い炎が燃えているのが、見えた気がした。
次の瞬間怒りに任せめて、若木が銀次に突進した。
「おっと」
美紅を抱えたまま銀次は、後ろに避ける。
「無粋者が」
「ググググ‼︎」
間髪入れず、若木の蹴り!
「あぁもう、離れてろ、美紅」
「え? ぎんちゃん、私の名前……」
美紅がますます赤くなる。
「お楽しみは、こいつを倒してからだ」
「お、おたのしみって……や、やだ、ぎんちゃん」
美紅が頬を抑える。
「ねーちゃん、なんで嬉しそう?」
「ググググググ!!!」
「聖魔様! わたくしも加勢しま〜す!」
銀次VS若木とプリテイエティー。
牙はその隙に、美紅に駆け寄る。
「大丈夫か、ねーちゃん、目を覚ませ!」
パンと、両手を打ち鳴らす牙。
「……あれ? 私、どうして……?」
「ねーちゃんが銀次相手に真っ赤になったりするから、若木が……」
「え???」
プリテイエティーと若木を、お得意の必殺技で倒し、銀次が寄ってくる。
「ち、<チャーム>が解けたか。
美紅、来い。我が花嫁になれ!」
「え? え? 花嫁??」
迫る銀次。牙は包丁を構える。
「ふん。完全に復活した我には、そんなもの!
喰らえ! シルバー・ステイク・ブラッディ・ローズ!」
「うわああ‼︎」
「きゃああ‼︎」
牙が美紅を庇って、倒れる。
「さあ、美紅……」
「え? え?
あれ。でも、どっかでやっぱ見たことが……」
そこへ、立ち塞がる若木!
「チッ。まだ生きてたか。
邪魔だ! こうなったら、
シルバー・ステイク・ブラッディ・ローズ! 一発目‼︎」
「ググググ‼︎」
「シルバー・ステイク・ブラッディ・ローズ! 二発目‼︎」
「グググ!」
若木は、もう、ボロ雑巾みたいだ。
それでも、美紅を守ろうとする。
「こなくそ! シルバー・ステイク・ブラッディ・ローズ! 三発目‼︎」
「ググ……」
若木がついに倒れる。
「さぁ、美紅……」
「え? え?」
「美紅……」
銀次の長い指が美紅に伸びる。
それを阻止する、若木の腕。
「またしても貴様!」
若木はもう、血だらけだ。
「トドメだ! シルバー・ステイク・ブラッディ・ローズ!」
若木の体から、それこそ薔薇のように血の花が咲いた。
「……ミ……グ……」
美紅の瞳から涙が溢れた。
若木がまた倒れる。
見回せば、みんなが倒れている。
銀次が近づいてくる。
「や……」
後退る、美紅。
尻餅をついた。
「美紅」
銀次が屈むと、美紅の顎に手をやる。
唇が近づく━━
「いやあ! 助けて、お父さん‼︎」




