5 嵐の覚醒
「うるさい」
奥の部屋から銀次が出てきた。
「我の眠を妨げるのは、誰だ? お前か⁈」
銀次が手を伸ばすと、プリティーイエティーが派手に吹き飛ばされる。
「聖魔様〜〜〜!」
プリティーイエティー、ダウン?
「ふん」
めちゃくちゃ機嫌悪そうに、銀次は牙を見た。
「聖魔?」
銀次は嘲笑う。
だが、意外とタフに、プリティーイエティーが立ち上がった。
「……そうですわ。流星雨の夜に、星の力を浴びて誕生なさった奇跡の聖魔様です。
さぁ、聖魔様! スクロールでちゃちゃっと覚醒して、銀次を倒しましょう!」
「い、いや、その……」
気まずげに牙は言う。
「スクロール、ないんだ……」
「ええぇ! どういうことですの⁈」
プリティーイエティーが身を固くして驚く。
牙はいきなり駆け出した。
「でえぇぇい! こなくそ! 先手必勝!」
牙にしては珍しく、早い。
「グローブぱーんち!
……と、見せかけて、魔剣包丁乱れ斬り! あーんどジャンピング下突き!」
「なんだそれ〜⁈」
全て避け、
「 チッ」
舌打ちすると、銀次は跳躍し、美紅に肉迫する。
「ねーちゃん!」
その手のひらを美紅に向ける。
「汚ねえぞ!」
「グ、ググググ!」
「汚いのはどっちだ! そんな12年も前のアーティファクトなぞ、隠し持っていたとはな!」
銀次は美紅を見た。
「この小娘の命が惜しくば……む?」
その碧い瞳が見開かれる。
「その三角巾姿!
娘、おまえ、よく見ると……」
「な、なによ?」
「……似ている……」
「は?」
「エプロンは?」
「は?」
「このメガネ邪魔だな」
銀次は、美紅から眼鏡を奪った。
そして、真面目なかっこいい顔で言う。
「娘よ、我のものになれ!」
「はい⁈
何言ってるのよ、誰があんたみたいなお子様に。てか、メガネ返して! ダテだけど」
「━━ならば!」
銀次の体が光り輝く。
……次の瞬間、銀次はな、ななんと!
青年になっていた。
銀髪に碧眼。白いマントから覗く肢体が、いつもとは違い、細く長い……。
「これで、いいだろう?」
美紅の頬が見る見る朱に染まる。
ただの青年ではなかった。━━超絶美青年だった。




