7 愛する力は、永遠です。
「子供に気をつけろ」
謎のメッセージと一輪の赤い薔薇。
ローズの甘く高貴な香りを残し。
牙が入院した。
━━意識不明の重態だった。
「牙……。どうして、こんなことに……」
病院からでてきた美紅が、独白した。
美桜が何か言いかける。
「美紅さん! お母さん!」
若木が駆けてくる。
「あ、赤羽は……」
「あら、若木くん、大丈夫よ。牙なら」
「?」
「あの子がそんな簡単に死ぬはずはないわ」
「そ、そうですよね……。あの、美紅さん、お母さん、俺、赤羽から、お二人のことを頼まれて」
「まぁ」
若木は事情を話した。
「美紅さん、お母さん、俺が必ず、お守りいたいします!」
ナイトのように、若木は言った。
「あ、きゃわわ」
美桜が変な声を出した。
「はい?」
「ちょ、お手洗い……。先に行ってて」
「はぁ。承知です」
美桜が帰り道の途中、コンビニに消えた。
(あれ、これって)
若木の心臓が、二回転半する。
(ひ、ひさびさの、二人っきり)
「美紅さ……」
しかし、その直後━━、
赤い薔薇が、
美紅の頬を掠める。
「な、痛い痛い‼︎ 信じらんないくらい痛い!」
頬を抑えて、美紅がうずくまる。
「み、美紅さん? ……誰だ⁈」
遠くから人影が迫る。
「⁉︎ てっめー、よくも、美紅さんを!
ぜってー、許さねぇ‼︎」
「ふ、なぜ、吸血鬼ごときに味方する?」
下りった影は、銀髪━━子供?
白いマントを羽織った子供だった。
<子供に気をつけろ>
(まさか⁉︎)
「我が名は、ぎ……」
「くらえ。サマーソルトキ〜〜〜ック‼︎」
「何⁈ ちょ、」
「……と、見せかけて、チョップ‼︎」
「なんじゃ、そりゃあ!」
子供の頭にクリーンヒット!
「お、おま、ズル……」
「問答無用! チョップ! チョップ! チョ〜〜ップ‼︎」
「ば、ばか、や、やめ、や、」
子供がキレた声を出す。
「━━やめろ‼︎」
次の瞬間、若木の体がぶっ飛んだ。
触れてもいないのにだ。
「ふん、邪魔だ。
━━さて、」
銀髪の子供は、美紅に歩み寄る。
「シークレット・ブラッドの血を引きしもの」
まだ、激痛にしゃがんでいた美紅が、顔を上げる。
「我が名は、銀次。
最強の吸血鬼狩りなり」
「ヴァンパイア・ハンター⁈」
銀次のその手にまた、赤い薔薇!
「⁉︎」
「ただの薔薇と思うなよ!
これは、対吸血鬼用の銀の杭で作られた、赤薔薇!」
「??」
よく意味がわからなかった。
(待って、この子、どこかで……)
「喰らえ! シルバー・ステイク・ブラッディ・ローズ‼︎」
銀杭と、薔薇の雨が、美紅に降る。
(あ、あんなの喰らったら、死……)
その殺傷力に身が竦む。
「美紅さーーーーーーーーんんん!!!」
現れた若木が、美紅を庇って、それを喰らう。
「チッ、まだ生きておったか」
「……愛する力は永遠だ!」
満身創痍の若木だが、シルバーなんちゃらブラッディは、あまり効いていない。
「おあいにくさま、俺は吸血鬼じゃないんでね。銀の杭なんて効かないんだよ!」
物理的には、少し痛かったが。
「美紅さん━━」
若木は、美紅の目を見つめて言った。
「ここは俺に任せて、逃げてください!」




