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シークレット・ブラッド  作者: うさぎさん⭐︎
【第2部】ワイルド・ブラッド(牙を剝く世界)/ 第1章 サンセット・ブラッド

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20/42

4 涙の中で、輝いちゃってる君


 美紅が驚いて、足を止めた。

 メガネがなぜか、落ちてくる。

 それを押さえながら、

「……ごめんなさい」

 気まずそうに言った。


 若木の腕から、荷物が全て落ちた。

「う、う、う……」

 腕で、顔を抑え、<そいつ>は逃亡した。

「う、うわああああぁぁんんん‼︎」

 《《少女》》の号泣が走り去った。

「え? え? え?」

 美紅は、ばらまかれた品物と、逃走した<そいつ>を見比べ、

「はぁ???」

 メガネをずり上げた。


 双葉は体育座りして、太陽公園の小さな丘の近くの、木陰にいた。

 また泣けば、若葉に戻るのは、分かっていた。

(泣くもんか)

 ……もう、若木として、合わせる顔がなかった……。


(なんか、こんなこと、前にもあったな)

 追いかけながら、美紅は思う。

(気持ちは嬉しい。でも……愛って、なんなの?

 わかんないよ……)

 12年前のことが、頭を過ぎる。

「あれ、やば、なんか、体、熱い!」

 美紅は大胆に、上着を脱いだ。

 チェックのミニスカートに、厚底ブーツ。チョーカー。

 無造作に結んでいた髪を、ハーフツインテールにして涼やかに。

「やばい、たぎってきたよ!」


 草を踏む音がした。

 見上げると、金色の瞳の美紅が、自分を見下ろしていた。

「おほほ! また会ったわね、スウィーティ♡」

「み、美紅さ……」

 青白い顔をした、いつになく死にそうな、レアな双葉。

「さぁさぁ、私の血をお吸いなさい!」

 露出度多めの美紅が、双葉の顎に手を伸ばした。

「あ、あぅあぅ。やめて、美紅さん、俺、また泣きそ。

 てか、献血したからか、ハートブレイクだからか、

 いま鼻血ぶーしたら、死んでしまう!」

 双葉が走馬灯見そうになったとき、


「やめろよ、ねーちゃん‼︎」 

 誰かの声が降ってきた。


「あ、あかば……」

 危機一髪の双葉。

 いつになく凛々しい(当社比120%)牙が、脱いだ運動靴で、美紅をはたいた。

 双葉と美紅の間に入り込み、美紅を睨む。

「やめろ、ねーちゃん! この子は、僕の、僕の大切な……」


<友達なんだ>


 と、続くと、双葉は思った。


 ━━だが。


 牙は、

「僕の大切な、女の子なんだぁぁぁっぁ‼︎」

 思いっきし叫んだ。

 

 双葉が眉をしかめた。

「赤羽。おまえ、まだそんなこと言って……」

 

 言っておいて、牙は思った。

(あれ、僕何言ってるんだろう)


 美紅の目が、金色にまた光った。

「弟⁈ あんた、あたしのスウィーティを奪うつもり⁈」

「ね、ねーちゃんなんかに、双葉さんは釣り合わない!」

「なんですと⁈」

「決闘だ! 表にでやがれ!

 ……はぁはぁはぁ」

 息切れだで、二の句が繋げない。

「ハーハーハー、弟よ、何もしてないのに、死にそうなのは、なーんでかなー???」

 意地悪く、美紅が笑む。

「こなくそ! 

 必殺‼︎  チェーンジ、ヴァンプー!!!」

 牙が、変身ポーズを決める。とりあえず、両腕開いてあちょーしてた。



 



 








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