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0 月
月が綺麗な夜だった。
海山双葉は、夜道を走っていた。
「はぁはぁはぁ、双葉の姿なら血は吸えまい!」
追いかけていた、<吸血少年>がなげく。
「なぜだ少年、なぜそこまでオレをこばむ?」
「うるさい!
吸血鬼ばすたぁぁあ! 2!!!」
「……は??」
目を覚ますと,そこは赤羽牙の家だった。
海山若木は、かけられたコウモリ柄の、紫色のブランケットを外し、辺りを見回した。
「あれ、オレ。寝てた?」
キッチンでお皿を洗っていた女性が振り返る。
「ごめんね、せっかく遊びにきてくれたのに、君が寝てる間に夜になっちゃって、弟がハントにいっちゃって」
若木がリビングのソファから立ち上がる。
メガネをかけた地味な感じの彼女。長い髪を二つ結びにし、垢抜けないロングスカートを穿いている。
しかし、よく見ると、牙の姉だけあって、かわいい顔をしている。
「ハント?」
「あ、血を吸いに行っちゃって…」
「‼︎」
そう――彼女の名前は、赤羽美紅。
牙の正真正銘の姉であった。




