④色褪せた写真
「ハーハーハー‼︎ 闇夜に参上! キバ様だぜー‼︎」
赤目の牙は、ジャンプすると、若木に迫る!
「久しぶりだぜ、ハニー」
かわいいピンク色の女物の部屋着にジャンバー、緑のリュックサックをひっかけた若木。
「? 仮装かな、ハニー?」
「うるっせえ! 吸血鬼バスター1.5!!」
「なんだそのナンバリング!!!」
牙は、颯爽とそれを避ける。
「ベイビー。今日はキレが悪いな。どうしたんだ?」
「るせー。てめーのせーだろ!」
「どゆことかな?」
牙が間合いを詰める!
「いただきま〜す!」
「ぐわ!」
いきなり抱きつくと、ワンちゃんみたいに若木の首を舐め回す。
「う、うまそー、たまらん!」
「やめーぃ! はぁはぁはぁ……」
恐怖に息を荒げる若木に、ますます興奮し、大きく口を開けた牙。
そこへ。
「にんにくましまし、スペシャ〜〜ル!!!」
これでもかと、リュックから出したニンニクを詰めまくる若木。
牙がすぐに目を回す。
「ふん、今度女扱いしたら、絶交な!」
若木は指を荒々しく突きつけ、言い放った。
「……は」
気づいたら、自室にいた。
どうやって帰宅したのか。全然覚えていない。
「ん〜〜〜」
なぜか。ふっらふら。
立ち上がるも、すぐ倒れる。
牙は、本棚にすがりついて、起き上がろうとする。
が、またも倒れる。しかも、
「ぎゃわん!」
鈍い音がして、牙の上に本棚の中身がこれでもか! ってくらい、落ちてくる。
漫画とか、少年雑誌とか、ファイルとか、教科書とか、流行りの8cmシングルCDとか。あとは、内緒だ。
「アレ……?」
床の上に、一枚の色褪せた写真。
縁の白いL判写真だ。
右下に刻まれたオレンジ色のデジタル数字は、自分が生まれる少し前の日付を示していた。
20代くらいの男性が写っている。
ギラギラした目した、熱い感じの男。
開いた襟に、ネックレスをしている。
当たり前のように、ピースをしていた。
「……」
自分の記憶の中にはない、親。
聞かされて、写真で見て、知っているだけの、親。
「とーちゃん?」




