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シークレット・ブラッド  作者: うさぎさん⭐︎
【インタールード】 トワイライト・ディソナンス

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14/18

③どきどきビデオ鑑賞会

 

「いらっしゃいませ〜」

 男性定員の接客ヴォイス。

 美少女と、かわいい系の男子が、狭い入口から、店内に入ってくる。

 レンタルビデオ屋『WING』。

 双葉行きつけの店だった。

 なぜ、双葉の姿かというと、いつも学校帰りに直にこの店来ているから。

「へぇ〜。こんなとこ、はじめて来た、あれ、なんだろ、この、のれん」

「バカ! そっちは……」

 肌色とピンクのコーナーだった。

 牙は回れ右した。

「は、ははは……」

「またおまえは、そういうアレを……」

 ところ狭しと並ぶ棚。

 <若木>の夢が、いっぱい詰まってる、棚。

 目をキラキラさせてビデオテープを選ぶ双葉を、牙は赤くなりつつ、盗み見る。

(か、かわいい……)

 いつもの冷血双葉とは、また違った感じにかわいい。

(だ、だめだ、こんなこと考えちゃ……)


「赤羽、決まったよ! 赤羽は何にする?」

 ビデオ抱える双葉。太陽学園の制服がキマってる。白いブラウスに、青いベストとスカートだ。

「い、いや、僕はいいや」

 ちなみに牙は、ワイシャツに、ブルーのスラックス。

 レジカウンターに行くと、あからさまに定員の男性が牙を睨んできた。

「何この中学生? 双葉ちゃんのなに?」

「はは。金さん、ダチでーす!」

「……中学生?? きんさん???」 

 牙が不機嫌になる。目がすげく嫌がっている。

「双葉ちゃん、観たがってた、『ウィニングランデブー』入荷してるよ!」

「ほんと? 嬉しい‼︎」

 今度は頬が、引きつりまくる。

(なんか、ムカつく)

「双葉さん!」

 牙は双葉の手を取った。

「早く、行こう!」


「なんだよ、赤羽、痛てーなぁ」

 双葉が手を解いて、振った。

「そんなにビデオ観たいなら、早く言えよ」

「ち、ちが……」

「?」


 道を歩く2人。

 ボブヘアがよく似合う双葉に、見惚れる。

 薄い茶色の瞳は、クールな一重。

(僕たちって、はたからどう見えるんだろう)


「ただいま〜」

 海山家。

 白い、平均的な広さの、かわいい家だった。庭には自転車が3台、停まっている。

「お母さん、友達つれてきたよ」

「お友達?」

 海山ママが嬉々としてやってくる。

「ま〜ぁ、可愛らしいお嬢さん」

「男です!」

 牙が吠えた。

「お、おとこ?」

「制服、ズボンでしょ、お母さん」

「そ、そんな、こんな日が来るなんて……きょうは、お赤飯ね!」

「お母さん、なに言ってんの?」

 双葉は呆れた。


 とりあえず、階段攻略して、2階に上がる2人。

「こ、これが、双葉さんの部屋?」

 白い壁に映画のでかいポスター。デスクには、最新のパソコン。

 棚には、ビデオやCD、漫画本など。

 気になるベッドは、かわいいピンク色。

「おまえ、何言ってんの」

 双葉は急に制服を脱ぎ出した。

「ぎゃー!!! ふた、若木‼︎」

「なに? ふつう、着替えるだろ、帰宅したら」

「……」 

 牙は、後ろ向いて、手で顔を覆った。


 ホラーだった。

 いきなりホラー映画だった。

「あれ、これ……」

 <世界一の吸血2>だった。

「もう続きが?」

 謎だった。

 双葉は、真剣に画面を観ている。

 半袖に、ショートパンツ。ラフな格好から覗く、白い手足が眩しい。

 思わず、また見惚れる。

 ふと見ると、綺麗な指をした手が、絨毯の上に無造作に置かれている。

(手、繋ぎたいな)

 息を呑んで、手を伸ばしかける。

 それを必死で引っ込める。

(い、いかん! これは、若木。しかも、僕は振られん坊将軍……)

 ため息が出る。

(双葉さん……。いいな、双葉さんに思われる人は)

 一体どんな人?

(いや待て、双葉さんは若木。なら、若木に思われる人??)

 映画に集中しすぎて、こっちにまるで気がつかない双葉。

(あぁ、このまま時間が止まらないかな……)


「お邪魔しました!」

「赤羽、送ってくよ」

「れぇ⁈ 双葉さん、夜道は危ないよ」

「んだと⁈」

 部屋着にジャンバーひっかけて、双葉が追いかけてくる。

「俺は、男!」

「いや、どうも見ても、女の子でしょ。危ないよ」

「なんだと⁈」

 帰り道。辺りの電灯は光ってるけど、やっぱり心配だ。

「も、もういいよ、帰りなよ」

「む〜。俺が弱いみたいに!」

「だってどうみても、女の子じゃないか!」

 牙は、双葉のいる後ろの壁に、両手を勢いよくつけた。

「え……?」

 壁に双葉を閉じ込める。

「無防備すぎ! 人の気も知らないで!」

「え、あの。赤羽?」

 

 その時だった。


「わ〜〜ん!」

 足元で、変な声がした。

 犬だった。

 とても、かわいい、ちわわ。

「か、かわい……飼い主さんはどこ?」

 牙が呟く間もなく、

「うわぁぁぁぁ!!!」

 双葉が勢いよく、抱きついてきた。

(え……)

「い。犬、犬犬犬⁉︎」

「だ、大丈夫、こんなかわいいワンちゃんは、噛みつかないよ」

「で、でも……」

 双葉の柑橘類の香りがする。

 牙は息を呑む。

 女の子らしい柔らかい体が、自分に急接近している。

 さらさらの、色素の薄い髪に手が届きそう。

 もうなんつか、心臓が破裂しそうだ。

(やばい、なんか、しあわせ……)


「やっっぱり、だめぇぇぇ!!!」


 気づくと、双葉は若木にチェンジしていた。

「え、泣いたの?」

「うるせぇ!」

 若木のパンチが、牙の顔面に決まった。

「さっきから、バカにしやがって!」 

 若木が踵を返す。肩を怒らせて歩いていく。

「ま、待って……あれ? なんか、変だな……」

 牙がおでこを押さえて、俯く。

 顔を上げた瞬間、その瞳が、赤黒く光った。


 




 


 

 
















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