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シークレット・ブラッド  作者: うさぎさん⭐︎
【インタールード】 トワイライト・ディソナンス

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13/17

②続・海山双葉新伝説:下駄箱ラブレター事件‼︎


 双葉がクールに登校し、下駄箱を開けると、下駄箱が破裂する勢いで、ハートのシールついた封筒が溢れ出し、辺りに散乱した。

「まぁた?」

 ポニーテールを揺らし、学生鞄を持った坂井喜美枝が声を上げる。

「一体、誰が……」

 双葉は手紙を無視し、上履きに履き替える。

「ちょ、読んであげないの?」

「興味ないから、男の子」

「あのねぇ……」

 そこへ。

「おはようございます、双葉さん、坂井さん!」

 奇跡的に朝の登園を果たした牙が、青い鞄をしょって、寄ってくる。

「赤羽くん!」

 喜美枝の横を通り過ぎ、双葉は珍しく笑顔で牙に近いづいた。

「おはよう。って、大丈夫?」

 牙は朝から真っ青だ。登校がきつかったのか。

「ありがと、双葉さん」

「ほんと、体弱いんだから。朝は食べたの?」

 少しだけ離れたところで、喜美枝がそれを見ている。

 もう、何ていうか、牙は双葉にデレデレだ。

 双葉は……??

 そう思って、喜美枝が近づいたとき。

「あれ?」

 すっとんきょうな声を、牙は上げた。

「手紙?」

 下駄箱の自分の上履きの上に、手紙が一通載っていた。

「なになに、牙くんに、ラブレター? 新手の勢力?」

 牙が困った顔で、手紙を貴美枝に見せる。

 そこには、血文字を真似した赤いデカデカとした文字で、


『果し状』


 と書いてあった。


「果し状?」

「どゆこと?」

「早く、開けて!」

 黄色い声に、牙はたじろぐ。


『果し状』

 ボクの愛しい双葉ちゃんに、最近慣れ慣れしいんだよ!

 放課後、B棟の屋上に来い! 

 PS.おまえの秘密を知ってるぞ〜⭐︎


 ***


 放課後。

「お、屋上……」 

 屋上に上がるには、長すぎる階段と格闘が必要だ。

「はいはいはい」

 双葉がめんどくさそうに言う。

「双葉さん、なぜ? 手紙は僕に」

「ほらよ。貴美枝が開封した。

 あのおせっかい」


『双葉ちゃんへ』

 好きです!

 放課後、B棟の屋上で待ってます。


「えぇ〜⁈ 双葉さんも屋上⁈ 行くの?」

 牙の目に、嫉妬の炎が一瞬浮かぶ。

「しかたねーだろ。よっと」

 2段抜かしで、双葉は揚々と階段をクリアしていく。スカートが翻るのもお構いなしだ。牙しかいないからだろうか。

 牙が手すりにすがって、登っていると、

「ほら」 

 双葉の手が、上から差し伸べられる。

「掴まれよ」

 双葉の笑顔。

 牙の心臓がひっくり返りそうになる。

「どうしてだよ……」

「なにが?」

 階段ひっぱり上げられながら、牙が言った。

「まさか、手紙書いた人と付き合う気じゃ」

「まさか! 俺は男だぜ」

 どこからどう見ても、女の子なんですけど。

 という言葉を牙は飲み込む。

「しかたねぇじゃん。お前の秘密を知ってるって、言うんだから」

「僕の秘密? 僕の秘密って???」

「馬鹿野郎。決まってんだろ、おまえの秘密っていったら━━」


 屋上。

 強い風吹く、その場所に、そいつはいた。

「双葉ちゃん! ……赤羽牙」

 凡庸な外見の男子生徒だった。黒い短髪も、顔も、なんていうか凡庸。

「来たね。待ってたよ!

 赤羽牙。秘密をばらまかれたくなければ、双葉ちゃんから撤退しろ。

 双葉ちゃん、さぁ、ボクとつきあおう! 苦労はさせないよ〜」

 そいつが近づいてくる。

「想いだした! 若木、柔道部のエース、夕夜忍ゆうやしのぶだよ」

「え? そのわりには、見た目、普通?」

 庇うように、双葉の前に出た牙を押しのける。秒で牙が屋上に転がった。

「あかば……こいつ!」

「かわいいなぁ、双葉ちゃん」

 双葉が、胸の前で腕を構える。ファイティングポーズだ。

「顔もマジかわいいし、クールな声もボク好みだし」

 忍が、エロそうな目で、双葉を見た。

「胸も大きいし」

 双葉が身を固くする。

「き、キモ……」

「ふたばちゃ〜〜ん、でへへへ」

「く、来るな、近寄るなっ! 変態‼︎」

 次の瞬間、双葉が投げ飛ばされる。

「うげ」

 目を開けると、

「ぐへへへへ、ふ〜た〜ば〜ちゃあん」

 組み敷かれていた。

「なんで、こんな変態が強い……」

「ちゅう〜〜♡」

 唇が近づいてくる。

「や、やめ!」

 鳥肌が立つ。

「赤羽……たすけ」


 上から水が降ってきた。

「な?」

 見ると、バケツを持った喜美枝がいた。

「喜美枝、ナイス!」

「双葉、逃げるよ!」

「え? でも、赤羽くんが……」

「牙くんは強いから、平気よ!」

「強い??」

 2人は逃走した。

 

「チッ」

 忍が目を回したままの牙を蹴飛ばす。

「てめーのせいで、双葉ちゃんが逃げちゃっただろう!」

「え? なんのこと?」

「ともかく、秘密をバラされたくなければ、ボクの家来になれ!」

「秘密って?」


「おまえが、ホモだってこと」

「僕が、吸血鬼だってこと」


 声が、不協和した。


 風が4秒吹いた。

「ホモ?」

「吸血鬼??」


『どゆこと⁈』

 今度はユニゾンする。


「あ〜〜、しまった!」

 牙が髪を掻き乱す。

「なに、おま、吸血鬼って?」

「だぁれが、ホモだ‼︎」

「だってボク知ってるもん。小学校お前一緒だったろ」

「そだっけ?」

「《《黒板ホモ事件》》」

「━━言うなぁ!!!」

 牙がすごむ。

「こなくそ! 僕の吸血鬼の血よ、こいつを倒せ!」

 泣き目で牙が言った。


「ハーハーハー‼︎ 呼ばれて、飛び出たぜ!」

 忍が驚いた瞳で牙を見た。

 目が別人のように赤黒くなり、口端くちはから白い牙が覗いている。

「あんまりオレ様の好みじゃねーなぁー……」

 品定めをして、ため息をつく。

「ま、仕方ない。いただきます!」

 牙が忍を捕まえ、首筋に平然とその白い牙を立てる。

 ━━忍はなぜか、恍惚とした表情を浮かべた。


 翌日。

 下校近い時間にやっと登校した牙は、下駄箱を開けた。

 すると、

 一通の手紙が、足もとに落ちた。

 キラキラしたハート型のシールがついている。


『赤羽キバ様』

 昨日から、貴方のことが頭から離れません。忘れられません。サイコーです!

 一生、ついていきます!


          〜あなたの忍〜



 牙は、手紙を破いた。

「勘弁してください……」



 




 


 








 



 

 





 











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