①喜美枝の乙女ダイアリー
【第1部:あらすじ】
吸血鬼の末裔であることを隠して生きる「貧血少年」赤羽牙。
ある夜、憧れの美少年・海山若木と星を眺めていた牙は、抑えきれない衝動で彼の首筋に牙を立てようとしてしまう。
しかし、そこで明かされたのは、若木の驚くべき秘密――。
彼は**「泣くと性別が入れ替わる」**特異体質の持ち主で、牙の憧れの美少女・双葉と同一人物だった!
牙は玉砕覚悟で告白するも、主性別が男性である若木に振られてしまう。
失恋を乗り越え、二人は唯一無二の友情を築き上げて第一章は幕を閉じた。
▼絆を深めた二人が歩む、新たな物語「第2部」がついに始動!
◯月◯日 曇り
今日も、牙くん学校に来なかった。
大丈夫かな? 具合悪いんだろうなぁ。
保健室登校でもいいから、来ないかな。
あ、でも、大丈夫! 授業のノートは、ちゃんと取ってあるから!
◯月×日 晴れ
双葉という子と、仲良くなった。
とても綺麗な子で、なんかクール。
でも、なんか憎めないかんじ。
◯月△日 晴れのち曇り
珍しく、早い時間に牙くんが登校してきたと思ったら、
双葉に猛アピール!
でも、双葉はまっったく相手にしなかった。
牙くんの何が気に入らないの?
……ムカツク。
◯月⬜︎日 雨
なんだか、ユウウツ
***
「坂井さん」
牙くんの、かわいい声が降ってくる。
やば。隠すように、ファンシーな日記帳を閉じる。
み、見られてないよね⁈
「今日、ゴミ当番だよね!」
「う、うん」
「一緒に、ゴミ捨て行こうよ」
牙くんの笑顔!
かわゆすぎる〜。
「うん!」
ミニスカートの裾に気をつけて、机のイスから立ち上がる。
教室のゴミ箱に溜まったゴミ袋を持って、並んで歩く。
廊下の窓から夕陽が差し込んで、あたしたちを、茜色に照らす。
上履きの音が2人分響く。
「お、重い……」
「は、ははは」
相変わらず、普段は男子としては頼りない。
でも、高校生になって。
牙くんは、少し背が伸びた?
顔つきも、少し変わった?
ちょっとだけ、たくましくなったみたい……
「牙くん」
あたしは、思い切って訊いてみた。
「双葉のことが好きなんでしょ?」
「え?」
牙くんが気まずげに目線を逸らす。
「双葉のどういうトコがいいの? ホレホレッ、言うてみ、言うてみ!」
「い、いや、僕はもう……」
横向いて、頭掻く牙くんに、あたしは言った。
「大丈夫! あたしがついてる!
応援するからねっ!」
あたしは、ガッツポーズして、笑顔を作った。
━━そう。これで、いいんだ。




