第28話 マッドネスサイスとケント
迷ったけど投稿します。
本日2回目です。
今回も大量だ。かなりの金額になるだろう。
ヴァルチャー討伐依頼を受けたオレ達は、その数56匹を討伐してギルドへ帰還している。
「オーグストンさんはいるか?ロードウインズと言えば分かるはずだ。」
「ロードウインズ様ですね。オーグストンを呼んだ際には解体場へ通すよう命じられております。
どうぞ、あちらになります。」
おおー!既に対応がしっかりしている。ギルド長が職員に通知でも出したのかもしれない。
オーグストンは直ぐにオレ達を見つけ此方にやってきた。
「どうも。今日はまた素材まるごとですか?」
「ああ、依頼での討伐だからな。よろしく頼むぜ。」
そしてオレはアイテムボックスからヴァルチャーを出した。
「これはまた……。」
そう言うと溜息を一つ吐き、ヴァルチャーを一つ一つ調べ始めた。
「今回はこれで全部ですか?」
そう言われ思い出した。ポイズントードがそのままあったのだ。
「まだあります。これです。」
ポイズントード24匹だ。
「それから……こいつです。」
それは大型ポイズントード。改めて思う。デカい。
「ポイズントードか。こいつは大きいですね。とりあえず依頼分は纏めてあります。
受付で依頼達成報告をしてきてください。その間にこちらは見積もりしておきます。」
「依頼達成報告だ。これで頼む。」
解体場で渡された依頼達成報告書を渡す。
それを見て受付嬢の顔が強張るのが分かる。
「えーと、今回の依頼、ヴァルチャー討伐一匹2万Gが56匹になり、合計112万Gになります。
続けまして、そのヴァルチャーの素材買い取りが一匹1万Gになり、合計56万Gになります。
こちらでよろしいでしょうか?」
「あー、ごめん。六匹分の肉だけ持って帰りたいんだ。それを差し引いてくれ。」
「畏まりました。すると肉分一匹7千Gが六匹で4万2千G。そこから解体代差し引きまして5万Gですね。
では、112万Gと51万G合わせまして、163万Gになります。
またしてもとんでもない金額だ。
しかも肉が6匹分持って帰れるとか。凄い。
皆も凄い喜びようだ。
「おーおー、えらいはしゃいでる奴がいると思ったら、天下のロードウインズ様じゃありませんか。」
後ろから誰かが何かを言ってきた。
「パウロ……」
エイルの知ってる顔のようだがいい顔をしていない。
「新入りこき使って羽振りがいいらしいですねぇ。ロードウインズの皆さん。」
「なんか用か?お前には関わりたくないんだがな。」
その瞬間、そのパウロという男の表情が怒りの表情に変わる。
「ふん、調子に乗るじゃねえぞ?直ぐに追い抜いてやるからよ。……行くぞ。」
その場を離れようとしたその集団の後ろに知った顔を見つけた。
「ん?ケント?」
「え?ケント!」
ミルファがケントを呼び止める。
しかしケントは一瞬こっちを見ただけで、そのまま行ってしまった。
その一瞬こっちを見たあの目、冷たく、絶望してるかのような冷ややかな目。
やはりミルファに怒ったままなのだろうか。
「エイルさんあいつらは?」
「ああ、シルバーのマッドネスサイスだ。あのケントってヤツが入ったらしいな。」
「いい噂は聞かないわよね。パウロは何を考えてるのかしら。」
「……さあな。」
エイルはそれだけ言いその場を離れていった。
「ミルファ。」
「……やっぱり私があっちに行かなかったことを怒ってるのでしょうか?」
ミルファは静かにそう呟いた。
「あのスタンピードの時あそこのパーティのグループに入り参加しましたが、とてもついて行けそうにないと感じました。
リーダーは下の人達に命令し、うまくいかなかったら暴力で言うことを聞かせるようなパーティでした。
ただ、あのリーダーの人はとても強く、一人でどんどんゴブリンを倒して行ったんです。
それを見たケントは憧れを抱いてしまって……。」
強い者に惹かれる気持ちは分からないでもない。
オレもエイルのその強さに惹かれたのだから。
しかしケントの身体は傷だらけだった。大丈夫なんだろうか?
「オレも似たようなもんだしな。あれを見る限りケントの扱いは良くはないよな。」
ミルファは頷く。
「でも外部のオレ達がどうこう言える問題じゃないしな。自分で選んだんだ。自分で解決するしかないさ。」
「そう……ですね。」
先に行ったエイルを追いかけるようにオレ達はその場を離れた。
解体場では見積りが終わっていた。
通常のポイズントードが一匹1万5千G、24匹で36万G。
大型が8万Gで合わせて44万Gらしい。
思ったより高い。というのも、毒の魔物は誰もが運ぶのを嫌がるらしい。
毒自体は需要があるのだが、それを持ってくるリスクが大きすぎるのが理由らしい。
「なーんかスッキリしないな。今日は飲むか?」
エイルもアイツ等には思うところがあるみたいだ。
「じゃあ家で飲まない?ヴァルチャーで何か作って。」
マリーがいい事言った。オレも丁度作りたい料理がある。
「いいですね。オレもヴァルチャーを使って作りたいのがあるんですよ。しかもそれはマヨネーズを使います。」
「レイジ!それ決定な!」
やはりマヨを出せばイチコロだった。予想通りだ。
「でもそれを作るには砂糖もいるんですよね。」
「俺が行ってくる。」
まさかのディルだ。あまり出さないけど実は既にマヨネーズの虜だったらしい。
「ミルファもそれでいい?」
「あ、はい。」
ミルファはまだケントの事を考えてるのだろうか?ずっと黙ったままだ。
家に着くと早速取り掛かった。
作るのはチキン南蛮だ。タレに使う醤油はこの間買った魚醤で対応してみる。
肉はマリーに切ってもらう。その間に準備を済ませよう。
が、早速躓いた。小麦粉がない。まあいい、片栗粉でいってしまえ。
そこでマリーがミルファに呼ばれ行ってしまった。
エイルが代わりに切ってる。
ディルが帰ってきた。早い。
という感じで作っていった。
揚げるのは任せている。オレはタルタルを作る。そう、タルタルソースだ。
同時に甘酢だれも作り揚がった肉にかけた。
多分完成だ。色々違うもので代用したから味は保証しない。
完成と同時にマリーとミルファが戻ってきた。
何かあったのか気になるがまずは皆で実食したい。
「あのね、ミルファちゃんアレ来たから明日は休ませようと思ってるの。
でね、ギルドでも色々しなきゃいけないから私も付いていこうと思ってるのよ。
だから明日依頼受けるなら三人でよろしくね。」
二人で居なかったのはそういうことだったらしい。
ミルファがさっきまで元気が無かったのもそれが原因だったのか。
それを了解し、チキン南蛮に口をつける。
「うお!うっまっ!」
「おいしー!」
「ふぁっ、おいちい。」
皆其々の反応をしている。オレ的にはイマイチなんだが。
やはり魚醤が合わないのかも知れない。
一応癖のないのを選んだのだがそれでも甘酢には向かなかったらしい。
それでも皆は喜んで食べてくれている。それはそれで嬉しいことなのだ。
「じゃあ明日は皆休みにするか?」
エイルが切り出した。
「オレは鍛冶をするのに鉄鉱石とか欲しいんですよね。どうすればいいんでしょうか?」
「おお!じゃあ採掘護衛を受けて鉱山行こうぜ。ディルもそれでいいか?」
「オレは構わない。」
「決まりだな。」
速攻で決まった。鉱山での採掘。楽しみだ。
皆が順番に風呂に入り、部屋へと入ってく。
おれは今日は一人で風呂に入り、ミルファにはウォッシュをかけた。
「レイジくんごめんなさい。」
「えっ?な、何が?」
ミルファが急に謝ってきた。なにがあったのだろうか。
「その……今日は無理そう…だから……。」
うん、理解した。てか、それは謝る事では無い。
まあ、確かに残念ではあるが。
オレはミルファを抱き寄せ頭を撫でた。
「大丈夫。問題ないから。」
「けど、その代わり……ね。」
部屋のランタンを消し、ベッドに入った。
今回もありがとうございます。
ケント再登場でした。
ブクマ等出来たらよろしくお願いします。
これからもよろしくお願いします。




