第7話 ミノタウロスを倒せ
斧の振り下ろし。
わたしはバックステップで斧を回避。斧は地面に振り下ろされ、ゴツゴツの地面に裂け目を作る。
「アレは喰らったら真っ二つだ」
逃走開始。
ミノタウロスから視線は離さず、全力で逃げる。
「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!!」
ミノタウロスは斧を振り回しながら追撃してくる。
「猪突猛進……あ、ミノタウロスは牛か。だったら牛突猛進?」
そんなくだらないことを呟きながら、わたしは『ルーブ』のスクロールを3枚撒いた。
「創星の時来たり」
スクロールは開かれ、スクロールに描かれた魔法陣が輝く。
3枚のスクロール、魔法陣から飛び出すは『潤滑油』。ルーブは油を撒く魔法なのだ。
油はミノタウロスの眼球と足に命中。ミノタウロスは油のついた足で地面を蹴り、足を滑らせて転んだ。
「光より速く、風よりも鋭く」
さらにスクロールを5枚撒く。撒いたスクロールからは雷が飛び出す。
雷はミノタウロスの体を痺れさせ、さらに油を着火させてミノタウロスの体を炎上させた。
「ゴアアアアアアアアアアアアアアッ!!?」
「暗き闇を照らし、天を停めよ」
さらにスクロールを4枚追加。スクロールから魔法『チェイン』が発動。チェインは鎖を出す魔法、スクロールから飛び出た鎖がミノタウロスを束縛する。
これだけしてもミノタウロスはほぼ無傷。チェインの束縛も3秒で突破されるだろう。
でも、3秒あれば十分だ。もう詠唱は終わる。
「連なる三ツ首は番犬の証」
コンボフレイムでは角ごと焼いてしまう。だからここは、
「閉ざせ凍狩星――アイス」
ミノタウロスと同じサイズの冷気の塊が3つ生成される。
まず1つ目がミノタウロスの首から下を凍結させた。これでも十分なのだが、
2つ目がミノタウロスの全身を氷漬けにし、
3つ目の冷気が氷塊を作り、その氷塊を凍ったミノタウロスにぶつけて砕いた。
カラン、とミノタウロスの頭(氷漬け)がわたしの足元に落ちた。冷気の余波が、遥か先にあるマグマの池をも凍らせる。
「ふぅ~……」
結果は圧勝だけど、一手間違えれば死んでいた。
油断は禁物だ。わたしはまだまだこの層には不釣り合いなレベルなんだ。帰りも気を張って、注意して行こう。
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無事ダンジョン脱出、
だけどこれで終わりじゃない。これだけじゃランクは昇格しない。今度はギルド協会に足を運ばねば。
オリジンから300m離れた場所にギルド協会本部はある。要塞だ。大きな橋を渡り、城門をくぐって、玄関を越えると受付広間に辿り着く。広間には大量の窓口があるので、その内の1つの窓口に足を運ぶ。
「こんにちは。ご用件はなんでしょうか?」
緑髪のお姉さんが応対してくれる。
「シーカーランク昇格試験を受けたいのですが」
「かしこまりました。シーカーライセンスを提示してください」
「はい」
わたしはシーカーライセンスをお姉さんに渡す。お姉さんは窓口内にある読み取り機にシーカーライセンスをかざし、PCに視線を移す。
「はい、確認しました。氷室メメ様ですね。現在のシーカーランクはビギナー。では、ブロンズランクへの昇格試験を受けたい、ということで間違いありませんか?」
「はい」
「試験資格はお持ちでしょうか? ミノタウロスの角、あるいはミノタウロスに匹敵する魔物の1部、あるいはプラチナランク以上のシーカーの推薦状が必要になります」
「ミノタウロスの角があります。あ、頭ごとでいいですか?」
「あ、頭ごと……?」
「ちょっと上手く解凍できなくて……」
わたしはアイテムポーチからミノタウロスの頭(氷漬け)を出す。
「きゃあ!?」
お姉さんは驚いて椅子から落ちてしまった。
「大丈夫です。死んでます」
「見ればわかります! な、なんで凍っているのですか!」
「それは……凍らせて倒したからです。この氷が中々に硬くてですね、弱い炎じゃびくともせず。かと言ってあまり強い火力で溶かすと角ごと溶かしちゃう可能性があるので……わたしの持ち得る手段じゃどうしようもなく。――こうなりました」
「……」
お姉さんは手袋を嵌め、渋々ミノタウロスの頭を受け取る。
お姉さんはなんらかの魔法を発動し、右手から緑の光を照射。ミノタウロスの頭に緑の光を当てる。
「本物ではありますね……」
いまの緑の光で解析したのかな?
「では、こちらを」
お姉さんから1枚のプリントを渡される。プリントには昇格試験に関する注意事項やわたしの個人情報が書かれており、その下には受験番号3番と大きく記されていた。
「明後日の正午に昇格試験を実施します。Fエリアの受付にその受験票を渡せば後は案内してくれます。試験15分前までには必ず受付に受験票を渡してください」
「わかりました」
「あと、物を納品する際は必ず解凍してから納品するように」
「ですが要冷凍の納品依頼も稀に――」
「揚げ足を取らないでください」
「……はい。すみません」
お姉さんを怒らせてしまった。ここはすたこらと退散だ。
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