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死槍と介入者

「ぎゃああああああああっ!!」


 だだっ広い空間に巨大な赤子の悲鳴だけが響く。


 斬られ、打たれ、射られるたびに血が舞う。

 四つん這いだった赤子がとうとう地面に倒れ伏す。


 それでも、怒りに燃えた瞳は諦めていないことを表していた。


「あああああああっ!」


 赤子は叫び、血まみれの手足をめちゃくちゃに暴れさせた。

 それだけで恐ろしいほどの攻撃になった。


 兵士たちが叩き潰され、頭をふっ飛ばされ、下半身だけになったりする。

 それでも兵士たちは恐れない。


 赤子の真正面に立つ、レイリアが最高の一撃を放つために。


「ぎっ……!?」


 四肢を動かせなくなった赤子の頭部に、縄付きの矢が2本撃ち込まれた。

 残った兵士たちが、左右から縄を引く。


 赤子は、真正面を向いたまま頭部さえ動かせなくなった。


「ああああああああああああああああ!!」


 叫ぶ。

 だが、最初のような威力はない。


 正面に立つレイリアは耳を塞ぐことすらせず、仁王立ちで笑みを浮かべ、赤子を見据えた。


「終わりだ」


 魔力を通した槍を構え、ぐっと腰を落とす。


 刹那、ドッ、という音とともにレイリアが消え、立っていた床が割れた。


 神の力を宿したような速度。

 そして、死を司る槍『ビョンヒル』が、赤子の額へと真っ直ぐに伸ばされる。


「きっ……」


 赤子の額に槍の切っ先が吸い込まれていく。

 しかし当然、貫くほどの長さはない。


 だが、槍は貫いた。

 纏った魔力がそのまま槍の刃先となり、赤子の頭部を貫くほど伸びたのだ。


「あぁ、あぁああぁ……」


 赤子型のダンジョンマスターが力なく声をこぼしながら、ざらざらと魔力の粒子となって消えていく。

 残ったのは、ごとりと落ちた赤いダンジョンコアのみだった。


「ふむ、良い強さだった」


 コアを拾ったレイリアはダンジョンマスターに敬意を払ってそう呟いた。

 それから兵士たちを労おうと振り返ったときだった。


「いいなぁ、くれよ。それ」


 いつの間にか入口に立っていた男が、そんなことを言うのだった。


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