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聖教国のレイリア

「勇者の出現は、あとどれほどだ」


 聖教国のトップ、教王が言った。


「聖女アリアンナによれば、あと一ヶ月ほどだと」


 傍らに立つ宰相がそっと耳打ちをする。


「一ヶ月か。ダンジョンコアの攻略はどうなっている」

「東と西にはそれぞれ冒険者たちが向かっております。SS級の部隊とSSS級のふたりなのでまず間違いなく入手できるかと」


「南は」

「そちらはまだ手つかずになっております。なので北の攻略のあと、我が軍を」


「そうだな。ひとまず、一番近い北からか」

「はい」


 宰相との話が終わり、教王グラボは正面に跪く女騎士を見た。

 聖教国軍『ヴァルキリア』軍団長、レイリアだ。


「レイリアよ」

「はっ」


「勇者が生まれる前に魔王が復活した。知っているな?」

「はっ」


「魔王は、勇者が倒す。我が聖教国から生まれた勇者が、だ。お前たちはそのサポートするために存在している。ゆえに、他国の軍に負けるはずもない。ゆえに、人類最強であることは疑う余地もない。そうだな」

「はっ」


「北のダンジョンへ向かえ。ダンジョンを攻略し、コアを入手。勇者が現れたあとは出陣パレードのあと、すぐに魔王討伐に向かわせる。東西の冒険者がコアを渡さないようであれば、問答無用へ神のもとへ送れ。いいな」

「はっ」


「行っていいぞ。お前の私兵を含め、1000名の出陣を許可する」

「ありがとうございます。失礼します」


 レイリアは機敏な動きで立ち上がり、颯爽と教王の間から出ていく。

 その顔に隠しきれない笑みが浮かんでいたことを、教王と宰相は気づかなかった。


「レイリア様、出陣ですか?」


 部屋を出ると、待っていた副官のエディンが並び歩きながら言う。


「ああ。私兵含め、1000名を使っていいとご許可いただいた」

「1000名……教王様は都市のひとつやふたつでも破壊するおつもりですか?」


「ふっ、ダンジョンひとつに、だ。もちろんそのあとSSS級冒険者たちとの戦いにもなるだろう。相手ではないがな。準備しろ」

「はい、わかりました」


 SSS級冒険者にも匹敵するとされる聖教国軍のトップ、レイリアは、隠しきれない悦びとともに長い廊下を歩く。


 勇者様と教王様、そしてこの素晴らしい国に仕えられる。

 いずれすべての国が聖教国になる。


 誰にも邪魔はさせない。

 そのための剣が、このレイリアなのだ。


読んでくださりありがとうございます!

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