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選択肢:全部壊す 全部壊す 全部壊す

「うわっ、なに〜……?」


 西のダンジョンの敵を一撃で蹴散らしながら進んでいたルカとブリュンヒルデが足を止める。

 そして何も見えないはずの、東の方向を真っ直ぐに見つめて嫌そうな顔をした。


「ルカちも感じたー? めっちゃ嫌な気配ー」

「その呼び方許可した覚えないんだけど〜、まあいいか。どうせそのうち倒すことになるでしょ」

「そうかなぁ。あれ、なんか魔獣とかとは違うっぽいけど」

「人だろうね〜、ったんじゃない〜?」

「魔獣に?」

「魔獣に〜」


 喋りながら、ふたりは再び歩き始める。

 それから、片手間のように、最難関のダンジョンを攻略していく。


 目の前に立ちはだかる魔物や魔獣たちは斬られ、潰され、屠られていった。


 次代最強に最も近いふたりのSSS級は、息も切らさず、恐怖もなく、ただ散歩しているようにダンジョンを歩いていく。


「たまにいるでしょ。妄執に取り憑かれたヤツがさ」

「私はまだ倒したことないんだよねぇ、そういうヤツ」

「じゃあ今度倒してみるといいよ。強くて面倒だから」

「どう面倒なの?」

「とにかくタフ。しつこくて、核を破壊するまで何度でも再生する」

「うげー、そういうのかぁ。ご勘弁」

「まあまあそう言わず〜」

「いい、いい。私は強くてあっさり勝負がつくヤツが好きだからー」


 強靭な肉体と攻撃力を持つリザードマンが叩き潰される。

 双剣を持つハイコボルトが、瞬きの間に64個のパーツに切り分けられる。


 ふたりのSSS級を止められる魔物はこのダンジョンにはいない。


 ふたりが歩いた後には魔物と魔獣の屍体だけが積み上げられていく。


 これが強いということだった。

 ただの暴力で、上澄みに行くほどに純粋にただ暴力が磨かれていく。


 人類の頂点を超えて、人外の上澄み。

 ルカとブリュンヒルデ。

 このふたりは間違いなく、現時点で最強の一角だった。


「とうちゃーくっと」

「ここがマスターの部屋?」

「そうみたいだよー。気配が全然違うじゃん」

「ふーん。でも、思ったより……かな」

「そうだねー。まあ、入ってみようよー」


 街をぶらつき、目に入ったショップに入るみたいな気軽さでふたりはダンジョンマスターの部屋へと足を踏み入れた。


 そして、扉が締まると同時に複数の気配が立ち昇る。


「1、10……わぁ、いっぱい」

「それだとあんた、算数できないみたいだけど大丈夫?」

「いやぁ、だって……ねえ?」

「まあ……」


 ルカとブリュンヒルデが増殖していく気配を見つめる。


 それは土塊だった。

 人の形をした土塊がいくつもいくつも出来上がっていく。


 数十からあっという間に数百、そして数千──。


 ダンジョンは広い。

 それだけの気配が生まれてもなお、まだ余裕がある。


「四大元素の、なんだっけ? 土? これがそいつの能力みたいだねぇ」

「どうする?」

「どうするもなにも」


 ルカは巨大なハンマーを軽く持ち上げて見せる。


「全部こわ〜す」

「さんせーい」


 ふたりは強く、そして実際に実力は人外だ。

 複雑な解決方法なんていらない。

 ただ目の前にある問題を、破壊すればいいのだ。


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