S級昇格とさっそくの依頼
「合格だ。むしろお前さんみたいに強いやつを燻ぶらせておくと世界にとっての損失になる」
審査と称した立ち会いから3時間後。
意識を取り戻した審査官のエスジックが言った。
「本当か!」
「よしっ!」
俺よりもアンナが拳を握って喜びを露わにした。
自分のことのように喜んでくれる人がいるのは嬉しいものだ。
エスジックが頷き、リムに何かを渡す。
それからすぐにリムが何か作業をして、俺のもとへやってきた。
「リクドさん〜、おめでとうございます〜。これで名実共に人外の仲間入りですよ〜」
なんだか微妙に喜べない言葉とともに渡されたのは黄金色に輝くギルドカードだった。
名前の横に、Sの文字が刻まれている。
「そいつは審査に合格しないと作ることができない。ヒヒイロカネっつう希少な金属を使っててな」
「おぉ……これがS級」
「聞いちゃいねぇ。しかし本当に驚いた。お前みたいに強いヤツは過去見たことがない。しかも武器も防具もなく。いったいどこで鍛えたんだ」
「俺か? 生まれ故郷でずっと魔物を倒し続けていただけだ」
「ずっとって……それだけであれほど強くなれるものか」
「実際にこうなっているんだから仕方ないだろう」
「……なるほどな、規格外。そういうことか」
エスジックは何やらひとりで納得して、うんうんと頷いていた。
「お前さんなら、勇者じゃなくても魔王を倒してしまいそうだな」
「そうなるように全力を尽くすつもりだ」
「ははは、冗談だ。いくらなんでもひよっこひとりで倒せるものじゃない。お前の実力は相当なものだがな」
「……本気なんだがな」
俺の呟きはスルーされ、エスジックはギルマスのアンナを見る。
「さて、本部への報告は儂がやるが、一応伝令も飛ばしておいてくれ」
「わかった。ここにはどれぐらい滞在する?」
「明日の朝には発つ。他にも審査があるからな。それでだ、リクド」
「なんだ?」
「お前さんに頼みたい依頼がある。このギルドにいずれ持ち込まれるだろう依頼だから、この街から離れることもない。本当は儂がやろうと思っていたが、お前の実力なら任せられる。どうだ、引き受けてくれるか?」
「それはいいが、どんな依頼なんだ」
聞くと、エスジックは真剣な顔をして頷いた。
「廃魔族領に新しく出現したダンジョン、その攻略及び破壊だ」




