つい、やってしまいました。反省しています。
「……それで、依頼人が本当の犯人だったと」
「ああ。依頼人のビーニーがヒョヨルドであり、冒険者殺しの犯人だ」
失神したビーニーを連れて、俺はギルドに戻っていた。
ギルマスのアンナに起こったことを説明しつつ、職員にビーニーを預けて地下室に連れていってもらう。
「これからは依頼人の素性もより細かく確かめなくてはいけないな。今回のような怪しい依頼は特に」
「ああ。そのほうがいい」
「で、だ」
「……」
アンナが俺をじろりと見る。
「ビーニーがこのような蛮行を行った理由は、どうやらとある組織への採用試験だったらしく、その試験官みたいなヤツ、つまり貴重な情報源っぽいやつをお前はうっかり殺してしまった、と」
「いや、それはその……相手がレベル900台でものすごく強いみたいな雰囲気を出すから、つい本気で」
「レベル900とかが何かはわからんが、ついで殺すな、ついで。というか本気を出したら頭部がなくなるってお前……」
アンナがドン引きした顔をする。
「言動からして今回は相手が裏社会の相手だから良かったようなものの、もしカタギな人間だった場合、ヘタをしたらかばえないぐらいの行為だぞ」
「……すまん」
「まあ、とにかくその組織は危険だな。やり方はどうあれ殺人を容認、推奨している組織など一般市民や国にとって百害あって一利なしだ。ギルドでも調べておこう。もしかしたら、王都のほうのギルド本部では何かしらそういう組織の情報を掴んでるかもしれない」
「ああ、頼む」
「よし、これで依頼は達成だ。報酬はリムから受け取ってくれ」
「わかった。助かる」
「それが仕事だ。次の依頼を見繕って連絡をするから、別の街には行くなよ。こっちはまだ魔物が大量発生してる。お前のような実力者に抜けられたら困る」
「それはいいが、大量発生と言えばあの魔族はどうなったんだ?」
聞くと、アンナは渋い顔をして首を横に振った。
「ダメだな。口を割らない。痛めつけても、懐柔しようとしてもダメだった」
「そうか」
「ヤツがなぜひとりで廃魔族領を彷徨っていたのか、なにか重要なことを知ってるならいいと思ったんだが……」
「俺が聞いてみようか?」
「…………いや、まだいい。またうっかり殺されたら困る」
「さすがに今日の今日でそんなことは……」
と、そんな会話をしているときだった。
ドンッ──と凄まじい音がして、地面が揺れた。
「なんだっ!?」
アンナが振り向き、職員たちが悲鳴をあげる。
地下室へ続く扉が吹っ飛んだのだ。
「ふーっ……ふーっ……」
そして地下室への扉の前に、ひとりの男が立っていた。
右手には連れられたはずのビーニーの襟首を掴んで持っている。
「小賢しい……人間どもが……」
それは、まさに今話していた、青白い肌に巨大な翼を持つ──魔族だった。




