初仕事とこっそりフラグもブレイカー
「薬草はこんなもんだな」
ミシュラルの森、通称初心者の森にやってきた俺は薬草を規定数集め終わった。
初心者の森と呼ばれているだけあって、周りは新米冒険者ばかりだ。
まだパーティーを組んでいないものばかりなので、ぼっちの俺が浮くこともないのでありがたい。
子どものころは身体が思い切り動かせるのが楽しすぎて、ずっと鍛え続けていた。
そうすると子どもたちとまともに遊べず、人付き合いも出来ないものだから、俺は前世と同じくぼっちとなった。
たまに友達というものに憧れを抱いたりをするものの、このスタイルでも困っていないので、自分の無頓着な性格と思考回路に感謝する。
「お、いたな」
俺はレベルアップとともに得た探知能力で森の中の気配を探る。
いくつか強い気配もあったが無視して、ゴブリンの群れへ突っ込んだ。
「ギャギャッ!?」
そしてすぐに拳と蹴りでぶっ飛ばす。
冒険者っぽい女の子が襲われていたが、俺は倒したゴブリンの魔石を収納袋に入れてその場を去る。
他の魔物は、依頼があったときに倒しに来よう。
☓ ☓ ☓
「クエストの品はこれで全部だ」
「ずいぶん早い帰りだな」
俺が受付に薬草と魔石を出すと、受付の男は驚いて目を見開く。
たまには女の子の受付に行きたいが、行くと大体この男相手となる。
まあ、顔見知りになってクエスト受注が楽になるのなら、それでもいいかと思う。
「すぐに鑑定する。待ってろ」
「わかった」
言って、受付の男は席をぐるりと回して後ろに控えていた何人かの職員たちに俺が持ってきたものを渡す。
ギルドの受付の背後はすぐ簡易鑑定所になっていて、判別が難しいとか、ドラゴンなどの大物以外はそこで鑑定してくれるらしい。
冒険者になりたての俺はもちろん作業自体見るのは初めてだが、なんだかワクワクする。
こういう職人さんたちの作業風景っていうのは昔から好きだったんだよな。
自分もこういうことが出来たならと思うが、非力と病弱で病院のベッドにいるほうが多かった俺には、憧れでしかなかった。
「終わったぞ」
と、作業に見とれていたら、いつの間にか俺の分の鑑定は終わったらしい。
まだ作業している職員たちは他の冒険者の分の鑑定をしているのだ。
「それで、どうだった? 間違いないと思うが」
「ああ、バッチリだ。武器も防具もないなんていうから、身分証として冒険者になるだけなのかと思ったら、良い腕してるぜお前」
受付の男が親指を立てて、俺の仕事を褒めてくれる。
素直に嬉しい。
「ありがとう」
「いい仕事をした人間を褒めるのも、報酬をやるのも当然のことだ。小さな依頼だから、そこまで色は付けられないが」
言って、男は採取報酬の銅貨80枚と討伐報酬の銀貨1枚に、おまけとして銅貨10枚を付けてくれた。
日本で言えばだいたい銅貨は1枚100円くらいの感覚で、銀貨は1万円といった感じだ。
なので合計で1万9千円の稼ぎとなる。
悪くないどころか、けっこう良い稼ぎだ。
「期待のルーキー現るって感じだな。期待してるぜ。ま、素手だからSSS級とかA級、B級とは言わないから、C級辺りの依頼をガンガンこなしてうちのギルドを潤してくれ」
「わかった」
俺は言って報酬を受け取る。
SSS級を目指していると言ったら笑われるだろうから言わないが、今の俺がどれぐらいまで上り詰められるのかは試してみたい。
そしてどうせ試すなら、トップを目指したい。
冒険者はレベルがすべてではないだろうから、経験も積まなくては。
どれだけレベルが高くても、使い方が間違っていれば意味がない。
「そうだ。とりあえず、初心者冒険者向けの宿がギルドの二軒隣にある。安いし朝食付きだからまずはそこを拠点にするといい」
「ああ、わかった。何から何までありがとう」
「いいってことさ。お得意様には優しくしとくもんだ」
ギルドは、まあある意味派遣業みたいなものか。
俺は苦笑しつつ、有益な情報に礼を言った。




