VSウォー・モンキーの群れ
「キーッ!」「キキーッ!」
「ケキャッ!」「キャッ、キャキャッ!」
依頼書に書かれた街の近くの森の入口に着くと、さっそくウォー・モンキーの群れに出くわした。
もっと進んだ先にある森の奥が住処だろうから、こいつらはまさに今、街に向かって森を出ようとしていたところだったのだ。
「タイミングが良かったな」
俺は言って、リラックスした体勢で拳を構える。
どこから襲われてもいいように、脱力しておく。
「キケーッ!」「ケーッ!」「キキーッ!」「キキャー!」
それにしても、多い。
「多いな。何匹いるんだ」
木々にぶら下がり、こちらを見る無数の赤い瞳。
緑と黒のまだら模様の体毛は、森の中で迷彩の役割も担っているのだろう。
集中しないと見えにくい個体がいくつかいる。
「まあ、いいか。倒したあとで数えればいい」
幸い、全員の敵意がこちらに向いている。
下手に逃げ出されるよりよっぽどいい。
「キキャー!!」
1匹が威嚇してくる。
「ふっ!」
俺は息を強く吐き、身体を沈めた。
「キ……?」
次の瞬間、大木の枝から威嚇していたウォー・モンキーの前に飛び上がり、握った拳を思い切り振り抜く。
「きぇぺっ!?」
ウォー・モンキーが1匹、吹っ飛んだ。
地面に落ちたそいつは、あえなく絶命した。
「さあ、かかってこい」
着地した俺が言って挑発すると、敵意だけではなく殺意が膨れ上がった。
この群れはたぶん、ひとつの巨大なグループではない。
いくつかのボス猿が集まって、連合を組んでいるのだ。
「キキャー!」
猿たちが様々な角度から攻撃を仕掛けてくる。
特に頭上から、大量のウォー・モンキーが振ってきた。
しかし、俺は大人しくやられてやるつもりはない。
「はっ!」
「キャべッ!?」
「ふんっ!」
「ギャギャ!?」
俺は手加減など一切せず、殴打と蹴りでウォー・モンキーを蹴散らしていく。
ウォー・モンキーたちは木々を蹴り、斜め上や下から飛び込んでくる。
恐ろしいほど連携が取れており、1匹を捌いても次、さらにその次と連続して襲いかかってくるのだ。
1匹1匹がたとえ弱くても、この連携は脅威だ。
だが──。
「遅い」
「ギャギャーッ!?」
俺は襲いかかってくるウォー・モンキーを1匹ずつ丁寧に殴って撃墜していく。
飛んで俺の距離に入る森の猿状態だ。
「ギャッ」「ギッ」「げぐっ」「ぎぎゃっ」
仲間をやられて頭に血が上ったウォー・モンキーから絶命していく。
何十匹倒しただろうか、そろそろ事態を飲み込み始める魔物が出始めてもおかしくはない。
「キキーッ!」
案の定、ボス猿と思わしきウォー・モンキーが叫ぶと、群れが撤退を始めようとする。
しかし、俺は逃がす気はない。
「無駄だ」
「キッ!? ギャッ!?!?」
俺は逃げるウォー・モンキーたちに並走し、先程と同じように1匹ずつ倒していく。
そして──。
「キィーッ!!」
最後の1匹になったボス猿が進退窮まり、木を蹴って俺に向かってくる。
「ふんっ」
「ぺげっ!?」
そのウォー・モンキーを、俺は腰を回転させた右フックでぶん殴った。
ウォー・モンキーは大木に激突し、ずるずると崩れ落ちる。
ウォー・モンキーの気配が消えた。これで終わりだ。
「さて……」
俺は背後を振り返って、ウォー・モンキーで死屍累々となった森の中を見る。
「これを全部収納するのが、一番骨が折れそうだ」
ボロいアイテムバッグを見つつ、俺はこれに、あれら全部が入るのかと不安になるのだった。




