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これコカトリスじゃないの?

「違う」


 俺がアイテムバッグから討伐した魔物を全部取り出すと、開口一番レジオがそう言った。


 ギルド裏にある解体場の獲物置き場でのことだ。


「これは違う。オークもフォレストブルもスモールコカトリスも合っている。だが、こいつは違う」


 レジオが指さしたのは、あのコカトリス(仮)だ。


「何が違うんだ? スモールコカトリスに良く似てるし、ただのコカトリスじゃないのか?」

「ああ、いいかリクド。コカトリスはスモールコカトリスの約2倍だ。どれだけ大きくても3倍。つまり、150センチぐらいにしかならない。だが、こいつはどうだ」


 俺はコカトリス(仮)を見る。

 横倒しになったこいつは、まず間違いなく3メートル前後はある。


「……じゃあこいつは何なんだ? 突然変異種か?」


 俺の問いに、レジオは首を振る。


「こいつはな、キングコカトリス。討伐ランクS級の化物だよ」

「はぁ? S級?」


 S級ということはドラゴンと同じぐらいということか?

 いや、さすがにドラゴンはないだろう。

 あの最強と呼ばれている生物だぞ。

 

 それと同列が俺に一発で倒されるわけがない。


「何かの間違いじゃないか?」

「何かの間違いに見える大きさか?」

「……うーん」


 まあ、見えない。


 なるほど、確かにそのキングコカトリスという個体なら、納得出来る大きさだ。


「しかしどうやって拾ってきた? まさか倒したわけじゃないだろ」


 レジオがそんなことを言ってくる。


「倒したんだが」

「……本気か? 真偽判定をかけられるぞ、さすがに」

「構わない。どうやってやるんだ」


 まさか倒したことを疑われるとは。


「というか逆に、S級の魔物が倒されてそこらに放置されているほうが問題だろう」

「それはそうだが……おい」

「はい」


 レジオが後ろにいた職員に声をかける。

 職員はすぐに裏へ走り、それからすぐに戻ってきた。

 手には水晶球を持っている。


「悪いが、規則でな。これに手を乗せてくれ」

「わかった」


 俺が手を乗せると、水晶がぼんやり光る。

 どうやら魔法がかけられているようだ。


「質問だ、リクド。お前がこのキングコカトリスを倒したのか」

「ああ、俺が倒した」


 水晶は光らない。

 レジオ以外の職員たちがどよめく。


「本気か? あいつはF級だろ」

「いや、そんなバカな」

「S級を討伐するF級なんてあり得ない……」


 そんな声を背後に、レジオが口を開く。


「リクド。もう一度聞く。こいつは本当に、お前さんが倒したんだな」

「ああ、間違いない。この魔物は俺が倒した」


 やはり水晶は光らなかった。

 それで今度は、職員たちは口を噤んだ。

 誰も喋らない。


 なんだか気まずいな。


「わかった。信じよう」

「レジオさん、本気ですか!?」


 レジオの判決に、職員のひとりが驚きながら言った。


「なんだお前、レミィ製の真偽判定球を疑うのか」

「い、いや、そんなわけでは……」

「ふーむ。しかしまあ、お前の気持ちもわからんでもない」


 レジオは顎に手を当ててさすり、それから俺を見た。


「悪いがな、リクド。少し、お前さんの実力を見せてくれ」

「構わないが、何をすればいい?」


 殴る蹴る、頭突きをそのあたりに山となっている魔物の屍体に当てればいいのだろうか。


「俺と戦ってもらう」


 レジオの言葉に、職員たちがざわつく。


「へ? 戦えるのか、レジオ」

「今は引退したが、昔はA級冒険者だったんだ」

「……へぇ」


 俺は頷く。

 言われてみれば、受付にしては筋骨隆々だと思っていた。


 元A級冒険者だとすれば納得だ。


「来い。模擬戦場でやるぞ」

「わかった」


 そして俺は、レジオの後をついて実力を見せるための戦いに向かった。


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