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なるほど、これがコカトリス(仮)

「ふんっ!」

「ぷぎいぃっ!?」


 二足歩行になった豚みたいな姿の魔物、オークを殴り倒す。


「はっ!」

「グモォッ!?」


 続いてフォレストブルの頭に鉄槌を落として昏倒させて〆る。


「まあ、こんなものか」


 食用になるぐらいだから、それなりの冒険者であれば簡単に倒せるのだろう。


 俺はかなり手加減はしつつ、オークを5匹、フォレストブルを2匹討伐した。


 討伐した獲物はギルドから貸与された食肉捕獲用のアイテムバッグに入れて持ち歩く。


 アイテムバッグはいわゆるアイテムボックスと呼ばれる魔法製品で、見た目以上の許容量を誇る。

 オークもフォレストブルも300から500キロはありそうなのに、あっさりと入ってしまうのは、さすが魔法といったところだろう。


(俺も欲しいな。けど、一番小さいモノでも白金貨一枚らしいしなぁ)


 白金貨は前世換算で一枚1000万ほどだ。


 目が飛び出るような高額だが、まあその利便性を考えればそれぐらいして当たり前かとも思う。


 SSS級冒険者を目指してみるという夢に追加で、アイテムバッグを手に入れるという夢も加わった。


「……ん?」


 肌がざわりと粟立つ。

 それは何か強いモノが近づいてきたときに感じるモノだ。


「カッ、カッ」


 硬いものを打ち鳴らすような鳴き声。


「……これは」


 振り返ると、そこには鳥がいた。

 白い羽毛に覆われ、黄色い鶏冠の大きな鳥だ。


「カッ、カッ……!」

「……でかいな……」


 討伐依頼書に描かれていたスモールコカトリスを大きくしたような見た目だった。

 ここは街の近くの森の中では、かなり浅層だ。


 コカトリスであるなら、C級上位からB級冒険者でないと倒せないはずだ。


 こんな浅層に出てくるはずはない。

 だが、現に出てきている。


「強そうだ。嬉しい誤算だな」


 俺は拳を握り、構えた。

 レベル999にするまではずっと同じような魔物ばかりを倒していた。


 だからコカトリス種を相手にするのは初めてだ。


 ワクワクする。


「カァッ……カッ、カッ……」


 コカトリス(仮)が威嚇してくる。


 ものすごい威圧感だ。

 B級はこのクラスの化物と対峙しているのか。


 SSS級ばかりを見ていたが、ちゃんと足元を確認して戦わないといけないな。


 俺がそう意識を改めたところだった。


「ケーッ!!」


 コカトリスが大音声を発した。


 森の木々がざわめく。

 他の鳥たちが飛んで逃げていく。


 ビリビリと全身に感じる衝撃に、俺はたまらず頬を緩めていた。


「いいっ、いいなっ! やはり冒険者になって正解だ!」


 俺はたぶんこれ以上レベルは上がらない。

 だが、こうして村の外に出たことでこのような敵と相対することが出来ている。

 レベルを上げることはできないが、技術を磨くことはできる。


「はぁっ!」

「ケーッ!」


 俺は駆け出し、コカトリスの啄みを避ける。

 そして、握った拳を突き出す。


 ドンッ、と地鳴りのような音がした。


「……ケッ……カッ……」

「あれ?」


 俺の拳は見事、コカトリスの胸を叩いていた。

 手応えありだ。


 俺はコカトリスの反撃に備えて後ろに飛び退ったが──。


「ケェェェ……」


 コカトリスは情けない声を出して倒れた。

 巨体が地面に落ち、土煙を上げる。


「終わり、か……紙装甲だったのかな」


 攻撃力に全振りして、防御が伴わない個体もいる。

 たぶん、このコカトリスはそういうものだったのだろう。


 あれほどの威圧を出せるものが、これほどあっさり倒せるとは思えない。


 とりあえず俺はコカトリスをアイテムバッグに入れる。


 そして──。


「コケェッ?!!」


 しばらく歩いてやっと見つけたスモールコカトリスを〆て、無事討伐対象をすべて捕獲することに成功するのだった。


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