↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
106/118

素手で上り詰めた男

「そろそろ、来る」


 俺は呟き、前方を睨む。

 ルカとブリュンヒルデは臨戦態勢のまま、構えを解かない。


 嫌な気配だ。

 しかし嫌でありながらも、己に似たものを感じる。


 拳を血で洗ってきたような気配。

 そんなものがあるのかわからないが、俺は確かにそんな気配を感じ取っていた。


 果たして現れたのは、ひとりの男を引きずった筋骨隆々とした男だった。


「ギール……」

「うぇ、私あいつ苦手ー」


 ルカが男の名を呼び、ブリュンヒルデが舌を出した。


「強いのか?」


 聞くと、ルカが頷く。


「SSS級まで素手の暴力で上り詰めた男って言えばわかる?」

「なるほど」

「でも何より嫌なのはイカれてること。戦えばわかるよ〜」

「わかった。なら、ふたりは手を出さないでくれ」

「え? ひとりで戦うのー?」


 俺はルカとブリュンヒルデに向かって頷き、やってくる男──ギールを見据えた。


「熱烈な歓迎、感謝するぜ」


 ギールは冗談めいて言ったあと、手にしていた男をこちらに向かって投げ捨てた。

 死んでいる? かすかに生きているような気配もあるが、たとえ生きていても瀕死だ。

 そしてずいぶんと様変わりしたが、この顔には見覚えがあった。


「……ナッシュ、か?」

「やはり知っているんだな」


 俺のつぶやきに応えたのはギールだった。


「やはりってのは?」

「そいつはお前を殺すって殺気立って仕方なかった。万が一、お前が噂以下の存在だとしても、こんなヤツに殺されるのはつまらんと思ってな」

「だからこんな風にしたのか」

「どのみち飲み込んだダンジョンコアを取り出さないといかん。遅かれ早かれ、こいつはこうなる運命だった」


 ギールは不敵な笑みを浮かべて、ゆったりと構える。


「さて、そっちのお姉ちゃんたちはあとでるとして、俺の本命はお前だよ。リクド・アルスベール」

「光栄だが、俺はあんたを知らない」

「いいさ。名前とこの姿だけ知っててくれりゃ。どうせすぐに何もわからなくなる。お前は俺と素晴らしいステゴロをして死ぬ。出来るだけ楽しませてくれよ」


 軽く足をほぐして、数回ジャンプ。

 首を回し、手首をぶらぶらと揺らして緩める。

 そうしてから、ギールは直立してピタリと動きを止めた。


ろうぜ、リクド。どっちが殴り合い最強か決めよう」

「ああ、わかった」


 俺も軽く構える。

 ルカとブリュンヒルデは俺の頼みを聞いてくれて、武器をしまい、後ろに下がってくれた。

 クラッドはもちろん、もっと後方にいる。


 ギールがどれほど強いかわからない。

 けれど、相当の使い手であることは肌でわかる。


 SSS級まで素手で上り詰めた男。

 魔王だけじゃない。

 リクドは、気を引き締めることにした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。