人外たちの邂逅
「変な気配がすると思ったら、お前……魔物に成ったのか。ダンジョンコア飲み込みやがったなぁ」
SSS級冒険者、極拳のギールが、魔王城が出現する予定地へ向かっている途中だった。
東のほうから、禍々しい気配が迫ってきたのだ。
恐ろしく強い気配のする南とはまた違う、嫌な気配。
これは人間が出せるものではない。
魔物。それも途中から魔物に“成った”ヤツ特有の気配、いや臭いと言えた。
「ダレだ、お前は……?」
相手は、一見すると人のようであった。
だが、ギールにはわかる。こいつはもう、人ではない。
「俺は、殺さなければならない。あの男を殺して、証明しなければならない。俺こそが強く、最強であるト」
手には抜き身の剣を握っていた。
様子が明らかにおかしい。
普段ならば、歯牙にもかけない相手だ。
「最強、ね。てめぇにゃ無理だと思うがね」
「……お前に何がわかる?」
「てめぇが言ってるのはアレだろう? リクドのことだろう?」
「……なぜ、それを」
男の反応に、ギールは口角をあげた。
やはりあの男なのだ。
リクド・アルスベール。
冗談みたいな経歴の持ち主。
最初は“ホラの相場”がわからないバカが広めた噂だと捨て置いた。
けれど今はわかる。
リクド・アルスベール。
ヤツは“本物”だ。
その姿を見たことはない。
しかし、会えばわかる。
殺し合いをすれば、もっとわかる。
ギールと同じステゴロで戦う男。
「万が一、だ。てめぇごときに倒されちゃあ興ざめなんだよなぁ」
ギールは拳を握って、目の前の男に対峙した。
目は据わっている。
いわゆるキマッている状態だ。
まともじゃない。
それを言うなら、ギールだってそうだ。
まともじゃないから、この地位にいて、ダンジョンコアなんてものを手にしている。
「あいつ以外はどうでもいい……だが、邪魔するというなら」
男が剣を構える。
不気味な動きだった。
だが、ギールはそれを冷めた目で見ていた。
「お前も、殺す」
「そうかい。そりゃあ楽しみだ」
ギールは構え、そして男も構えた。
「地獄への土産に教えてやる。俺はナッシュ。それが、今からお前を殺す男の名だ」
「ふっふ、残念だがそりゃあ無理な話だ。なぜかって? 死ぬのはてめぇだからさ」




