ふたりのSSS級
「これでコアがひとつ。残りは3つだが、他に取得しているヤツがいるかはわからないな」
クラッドが言った。
「だったら、俺たちで他の3つも取りに行けばいい」
「簡単に言うけどな。相手が個人ならまだしも、国が相手だったら厄介だぞ? 下手にそいつらからコアを奪ったら一国が敵に回ることになる。いくらお前さんが強いからって、国はないだろう国は」
「まあ、俺と戦いたくて来るわけじゃない人と戦ってもな」
「……そういうことじゃなくてだな。いいか、国と喧嘩だぞ? それはつまり戦争だ。そして仮にだ、お前さんが仮に勝ったとして、今度は同盟国やらが敵に回るからな。下手したら人族すべてが敵になるってことだぞ?」
クラッドの解説を聞いて、俺は少し笑ってしまう。
「なにを笑ってる」
「いや、そうなったら、俺こそ魔王だなって。物語に出てくる魔王と一緒だ」
「……確かに。いやいや、そうなったら勇者に殺されることになるんだから、やっぱりコアを取ったヤツがいるとしても個人で後腐れないといいなって俺は思うよ」
「そうだな」
俺たちはそんな会話をしながら、南のダンジョンから魔王城(仮)の方へ向けて歩く。
ダンジョンコアを4つ集めたら、そこに隠されている魔王城が出現するという。
古文書や遺跡を調べるのが趣味であり仕事でもあるというクラッドの話だから本当だろう。
どちらにせよ、ダンジョンコアを集められるほどの猛者たちが集まる可能性があるのだ。
少しワクワクしてしまうのは仕方ないと思う。
「個人的には実際に4つのダンジョンを見たいから、俺たち以外に誰も攻略してないといいんだけどな」
「それは遺跡として見たいからってことか?」
「そういうことだ。魔王が現れたときにしか出ないという4つのダンジョン。気にならないと言えば嘘になる。俺は正直、自分が生きている間に魔王が生まれるとは思ってなかったからな」
「そういう考えもあるか」
魔王城出現予定地。
そこに戻ってきた俺たちは、辺りを見渡す。
誰もいない。南のダンジョンへ向かう以外ですれ違ったか、それともまだ誰も攻略者がいないのか。
「行くとしたら、どこから攻めるのがいいと思う? クラッド」
「そうだなぁ。北はあまりおすすめ出来ないな。魔王が出たら必ずそこから勇者が現れる聖教国があるから、たぶん兵隊をもう動かしてるだろうし、十中八九ダンジョンコアを取ってるだろうな。幸運にも取られてなかったら、見には行きたいが」
「さっそく相手は国じゃないか」
「そう。だから俺は万が一、億が一の可能性で個人が持ってたらいいなと思ったわけだ」
「なるほどな。じゃあ東か西」
「そうなるな……となると……」
クラッドが言いかけたときだった。
「あれ〜、私たちが二番目〜?」
「そうみたいだね、ルカち」
ふたりの女性がやってきた。
すぐ近くに来るまで気配がまったくなかった。
すごい。
このふたりは、強い。
「え、SSS級……雷鎚と双剣……?」
クラッドが戸惑ったようにつぶやくと、雷鎚と双剣と呼ばれたふたりが同時に笑みを浮かべた。




