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13-5


 曇天の下、クラベ村。

 地肌が剥き出しの道が南から北へと続いている。細い、馬車がすれ違えない程の狭い道は、エドンまで続いている。

 林業と農業、南に広がる森からの恵みを得ながら、細々と人々が暮らしていた小さな村――それは、少し前までの話。

 人が消え、村の中央にあるウォール・マナタイトも光を失った。

 今、闊歩しているのはゴブリン、そして村の入り口で門番のように立ちはだかる岩の化け物――ゴーレムだけ。


 にわかに、異変が訪れる。

 最初に、鳥が飛んだ。

 木々から一斉に飛び立つと、南へ向かって逃げて行く。

 次に訪れたのは、音の波。


 獣の鳴き声とも違う。鳥の羽ばたきとも違う。


 機械が空を切り裂く音だ。


 ローターが風を切り裂く音――そして、『鉄の鳥』が見えてきた。


 ローターを回し、空を飛翔する鳥。

 ファルコンのファイターユニットが急速に接近する。


『まもなく作戦領域に突入します――エール、準備はいいですか?』

「問題ありません、待ちわびていましたから」


 コックピットの中で、戦闘用AIは短く告げる。

 シーナも僅かに確認をすると、それ以上は言わない。


『ユートから承認が下りました。発砲を開始してください!』

「了解!」


 そして、鉄の鳥は咆哮する。

 両翼の下に取り付けられたガトリング砲が火を噴く。

 無数の弾丸が岩の巨人に向かって降り注ぐ。


「■■■■■■■■■■■!!!」


 岩の巨人は言葉にならないうめき声をあげる。

 岩の腕は金属の弾丸によって削られ、脱落した岩塊が草原に突き刺さる。

 ゴブリンたちが奇声をあげて空を見る、投石を行うが届かない。


『エール、やはり減衰があるようです』

「分かりました。さらに接近します」


 ファイターユニットは加速する、円の動きで砲火を続けながら距離を詰める。


「オ■■■■■ア!!!」


 ゴーレムは自らの腕をちぎると、強引に投げつける。

 だが、高速で旋回するVTOL機をとらえることなどできず、岩はあらぬ方向へと飛んでいく。


「グレネードガン、発射します」


 そして、十分に距離を詰めたところで、機体の下部中央からグレネードガンが展開する。

 ガトリングの銃弾よりも数倍の大きさの擲弾が放たれると、岩の巨体に着弾する。


 瞬間、爆裂。

 岩の巨人は断末魔の咆哮すら上げられず、岩の破片と化した。


 同時に、草原の彼方からローバーが走ってくる。

 未だ混乱するゴブリンたちを尻目に、ユートが飛び出してくる。


「よし! ありがとうエール!」

『エールは一時的に離脱。作戦目的はウォール・マナタイトの起動および制圧』


 入れ替わるようにエールが交代していく。

 そして、作戦の開始がシーナから通達される。


「これより作戦を開始します」


■■■■■■■

■作戦『クラベ村 ウォール・マナタイトの再起動』


概要:

 エドンより南東に存在する廃村、村の中央にある結界装置、ウォール・マナタイトの再起動作業中に、謎のモンスターによる襲撃が発生した。

 速やかに制圧をし、周辺の安全を確保せよ。


作戦目的:

 ウォール・マナタイトの起動。

 襲撃してきたモンスターは、幻体ゴブリンならびにゴーレム。

 ただし、ゴーレムは既に排除されている。

 必ずしも敵の殲滅は必須ではないが、激しい戦闘が予想される。


■■■■■■■


 ユートに続き、ローバーからケラウスとライカ――そして、マイトが降りてくる。

 オートマトンは二手に分かれ、三機がユートの隣に。残りの四機はアッカと一緒にケラウスたちを守るように立つ。


「よし、俺はこのまま村を回って陽動にうつる! アッカ、オートマトンを3機借りるよ!」

「うっす、残りはオレッチに任せて!」


 ユートは走り、村の中へと切り込んでいく。

 剣を抜き、銃を放つ。その後ろをシールド・オートマトンがフォローする。

 ゴブリンたちは、まともな抵抗も出来ずに村の奥へと追い詰められていく。


 そして、十分に距離を取ったことを確認すると、ケラウスたちも動き出した。


 作戦の二段階目は、村の制圧。

 そのためには、ウォール・マナタイトの起動が必要だ。


 ――ウォール・マナタイトさえ起動してしまえば、幻体モンスターは消失する――


 とは、ケラウスの言葉である。

 事実、エーテルの塊である幻体モンスターは、ウォール・マナタイトによって浄化された状態では存在することが出来ない。

 そのために、ケラウスとライカは起動に集中。

 ユートは、敵が集まってこないように村内を攪乱することになった。

 

「俺とライカ、それにマイトは起動準備だ!」

「はい、お師匠様!」


 力強く応えるライカ。

 だが、少年はか細い声が応えるだけだった。


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