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【第二部完】地球に落下するコロニーごと異世界に転移した俺は、次に何をすればいいんだ  作者: 狼二世
【第2部】ミッション22 第二次巨大構造物地球落下阻止
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304/315

22-14


 巨大な鉄の塊の周囲を、翡翠の光が舞う。

 光の線を引きながら、花の合間を飛び交う蝶のように飛ぶ。


 エーテルの粒子を巻き散らして宇宙を飛ぶユートとファルコンは、機械龍の周囲を飛び回り、的確にリキッドメタルブレードで一撃を入れていく。

 装甲が剥がれ、内部回路が露出し、それも薙ぎ払われる。繋ぎを失った鉄の塊が本体から分離し、散らばっていく。


 機械龍は荒れ狂うように残った手足と身体をよじる。残された装甲の隙間から濃紫のエーテルの光線が放たれるが、自棄じみた攻撃はユートを捉えることは出来ない。

 翼はとうになくなっている。攻撃デバイスはユート、そして彼を援護する仲間たちの手によって全て撃墜された。


 丸々と太っていた胴体に最早面影はない。

 外皮にあたる外面の装甲は全て剥がれ落ち、内部も削り取られ、ギリギリ半円を満たしている程度であった。


「シーナ、ウツロブネと比べてどれくらい削れた?」

『ユートが望む精密な値は出せませんよ』

「そこまで気にしない!」


 回避機動を取りながらもユートは状況を確認する。


『4~5割ほどです。破壊は正面に集中しています』

「ならっ」


 機体を反転させるとスラスターを噴かす。ちょうど放たれた光線と交錯するように突撃する。

 攻撃は掠りもしない。ファルコンは右腕のリキッドメタルブレードを突き出す。そして、機械龍と接触した瞬間に上昇。

 火花が散り、縦一文字に斬撃痕が伸びていく。

 最後に、シールドで無理矢理殴り飛ばす。


『攻撃――攻撃!』


 機械龍の腕が振り抜かれる。

 ユートはとっさにシールドで受け止めるが、衝撃までは完全に殺せなかった。

 そのまま吹き飛ばされ、スラスターを使ってバランスをとる。


 ユートはすぐに相手との距離を確認する。コンソールに表示された数値と、モニターの映像を確認。

 距離を取ったことで、機械龍の全身が見えていた。


 壊れた玩具のように装甲がはがされると、その下から出てきたのは機体を貫く円筒状の空間。

 外壁には螺旋階段がある――管制室へと続く中央の階段である。


(まるで脊椎だ……)


 螺旋階段から伸びる機体の各部は既にボロボロで、肋骨のようになっていた。

 しつこく挑んできた敵の満身創痍の姿、それに感慨が無いわけではないが、それよりもユートには目的がある。


『ユート、あそこです!』

「わかってる!」


 シーナがコンソールに情報をおくる。

 螺旋階段の先、『管制室があるブロック』に、光が灯っている。

 人工の光ではない――魔法の光。

 それを誰が発しているか、ユートには分かった。


 ファルコンは一気に加速する。最終的な目標が分かった。ならば、迷うことはない。


『くっ……』

「『表情』が変わったな! そこが目的だって言ってるようなもんだ!」


 漏れ出てきた通信越しの声には、悔しさが滲んでいた。

 機械龍に既に顔はない。だが、ユートにはハッキリと敵の表情が見えていた。


『狙いが分かっているなら迎撃も!』


 最後のあがきと言うかのように、タエナリウムは自身の機体をパージする。

 質量そのものを防壁として、直進してくるユートにぶつける――だが、それは――


『それはわたしたちも!』

『同じだよっ!』


 ビームと弾幕の嵐によって最後の悪あがきは防がれる。

 仲間の援護を受けて、ユートはファルコンを更に加速させる。

 ――そして――


『今です、ユート!』

「うおおおおおおおおおおっ!!」


 リキッドメタルブレードが光を発するブロックを切除する。

 すぐさま外壁が切り拓かれると、中からスラスターユニットが飛び出した。

 乗っているのは青いボディのオートマター・コマンド。そして、宇宙服を着た二人であった。


「ルーブ!」


 コックピット内で叫ぶと、呼応するかのように通信が復活する。


『ユート様、二人は無事です!!』


 飛び出したスラスターユニットには、確かに二人――ライカとシルリアの姿があった。


『回収は本機に任せてください』


 即座にエールがファイターユニットをスラスターユニットの先に移動させる。

 それに立ちはだかるように、ユートはシールドを構えてタエナリウムの前に立つ。


 龍は、動かない。

 代わりに、ノイズ混じりの音が聞こえた。


『演算装置分離――機能低下――計算能力――』


 機械音声は途切れ途切れであり、かつて挑発をしてきた面影はない。


 機械龍の残された手が動いた。

 『そうすること』とプログラムされたかのように、機械的に――空虚な一撃が振るわれる。

 一撃が空を切る。

 誰にも、何にも当たらずに、空を切る。


「今のは……」

『距離も測定出来なくなったのでしょう』


 何度も、何度も手が振るわれる。

 だが、その全てがユートに届くことはなかった。

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