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32.5

「あの、大丈夫ですか?」

ブーイオがアマンダ達を連れて王都へとやってきて魔法屋を始めてから数週間。ブーイオが店番をしていると男の子を連れた1人の健康的な女性が声をかけてきた。ブーイオはその時、カウンターでうとうととしてしまっていた。

「っ!ああ、すまない。少し寝不足気味でね。商品を貰おうか」

ブーイオは大きな欠伸を1つしながら女性の持っている商品の受け取ろうとした。だが女性は心配そうな表情でまじまじとブーイオの顔を見ている。日頃他人からまじまじと見られることのないブーイオはその女性の様子に少し動揺してしまった。

「えっと…ご婦人?私の顔に何かついてますか?」

「ああ、すみません。そんなことは」

女性はようやく気付いたように目を瞬かせ、商品をカウンターの上へと置いた。ブーイオが会計を済ませると女性はまたブーイオの顔を見ていた。そしておずおずとブーイオに切り出した。

「あの…とてもお節介かもしれませんが、休みをとり医師に診てもらった方が良いのではないでしょうか?あなたはとても働いていていい状態には見えません。もし診察にいくのに難しいということでしたら私も協力させていただきますが…」

ブーイオの肌は元々白い。それは日頃から外に出ることを極力控え、外に出る時もローブをかぶっているため日に焼けにくいからだ。だが、今は青白いと言っても過言ではないくらい肌色が悪かった。また、目の下のくまもひどく、とても健康的には見えなかった。女性はそんな今にも倒れそうなくらい顔色の悪いブーイオの健康状態を心配して提案をしたのだった。

「ああ…別に医師にかかれないとかそういうわけではない」

ブーイオの最近眠りが浅いのはブーイオが現在預かっているアマンダが原因であった。王都に引っ越してきてからというものアマンダは夜中に起き出すことが多くなった。といってもアマンダには起きているという意識がなく、どうやら無意識で行ってしまっているようであったが。1週間に3回程度、夜中にベッドから起き出しては廊下や階段近くをうろうろとする。だが朝起きるとそのことを覚えていない。階段から落ちそうになっているのを見て、最初の頃はアマンダを起こそうとしていたが、そうすれば大きな声で泣き出してしまい落ち着かせるのが大変だった。なのでブーイオは夜通しアマンダが危険なことをしないか見守るしかできていなかった。それを女性に話している間にもブーイオは欠伸を3回ほどしてしまった。

「なるほど…それは確かに大変だったでしょう」

女性はブーイオに共感を示した。そしていくつかの対策を教えてくれた。

「そうか…そうすれば…」

「はい。無理に起こすより、優しく誘導してあげた方が落ち着きます。ですが今後もずっと困るようであれば、やはり医師に相談するのがよいかと。実はこの子ももう少し幼い時に、同じような症状になっていたのです」

女性は男の子の手を引いた。きょろきょろとお店の商品を見ていた男の子は母親のその行動に驚き、母親の後ろに隠れるようにしがみついた。

「今は治りましたが、当時は私も困っていましたからそのお気持ちはわかります。早くお子様の症状が治まるとよいですね」

「ああ。ありがとう。そういえばこんなに話を聞いていたのに自己紹介もしていないな。私の名はブーイオだ。あなたのお名前を聞いても?」

「私はアモル・アカルディです。先ほどから私にくっついているこの子はカウザ・アカルディです」

アモルはカウザに挨拶をするように促すが、カウザは恥ずかしいのかさらにアモルの後ろに隠れてしまった。

「父親が少し厳しい人で、私にべったりになってしまっているのですけど…本当はとても良い子で強い子なんです」

アモルはカウザの頭を撫で微笑んだ。その顔は慈愛に満ちており、アモルが本当に自分の子どもを大切にしているのが分かる表情だった。ブーイオは先ほどの恩とその様子を見て、気になっていたことをアモルに教えることにした。アモルがブーイオに話しかけてきた時からその嫌な気配はアモルにまとわりついていた。

「にわかには信じられないかもしれないが、大切なものがいるならあなたの近くの人間には十分に気をつけろ。そこには異質な存在が混じっている」

「はあ」

アモルは最初不思議そうな表情をしていたが、少しだけ表情を曇らせるとまたブーイオに向きなおった。

「わかりました。ご助言ありがとうございます」

アモルは商品を買ってから店を後にした。その間も少年はずっと彼女に張り付いていた。ブーイオはその日からアモルに教えてもらったことをアマンダに実践してみた。アマンダは途中で泣き出すこともなく、次第に夜に歩き出す頻度も少なくなっていった。その出来事があってから数年後、彼女があれからすぐに亡くなっていたことをブーイオは知った。自分が関与したことで彼女の運命が変わってしまったということにブーイオは後悔こそなかったが、何となく後味が悪かった。

病気についてはネットで調べただけなので詳細が違ったらすみません

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