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アマンダの魔法を見たレーブとヒカリはその魔法に感嘆の声を上げていた。

「すごい…こんな短い詠唱で魔法が発動するなんて!」

「ほんとアマンダさんって規格外ですね!」

「私の魔法は全て師匠から学んだものです。私が規格外なら師匠がそうだったのでしょう」

「それでアマンダ様。カウザさんはどこにいらっしゃるのですか?」

「えっと、ちょっと待ってね」

水の線はどんどんと進んでいっていたが、途中で進むのをやめ、段々と消えていった。

「これは…ああ、カウザさんはもうこっちに向かってきているのではないでしょうか。他の道に入ることもなく道が消えているので」

「それなら安心だね」

「この速度だと…馬?でしょうか。もうすぐ着くと思いますよ」


ヒカリ達がカウザの帰りを待っていると、馬のいななく声と店の裏口のベルの音が聞こえた。アマンダが扉を開くと、そこには予想通りカウザが立っていた。

「カウザさん、皆さんが中でお待ちですよ」

「はい…」

カウザの声には覇気がなく、昼間見た時とは違いひどくやつれて見えた。

「なんだか疲れて見えますけど…何かありましたか?」

カウザは少しの間黙り込み下を向いていたが、唐突に顔を上げるとアマンダの手を勢いよく掴んだ。その表情は何か切迫した雰囲気を感じさせた。

「アマンダさ「何をしているんですか」…いたっ!」

「あ、ウォルフ」

アマンダの後ろにいたウォルフはカウザの腕を強く握った。その腕には苛立ちからか筋が浮かんでいる。

「人がせっかく心配して待っていたというのに何をしているのでしょうか」

ウォルフは無表情にカウザを睨んだ。あれだけ魔女のことを非難していた彼が短期間でよくもまあこれだけ慣れたものだ。別にカウザに対し最初ほどの敵対心はないが、この行動はカウザであるなど関係なく許容できない。今にも攻撃してきそうなウォルフの剣幕にカウザは冷や汗をかき、久しぶりにウォルフのそんな表情を見たアマンダも顔をひきつらせた。

「す、すみません…」

「と、とりあえず中に行きましょうか。顔が真っ青です。落ち着いたところでゆっくり話しましょう」

もしかしたらアマンダを思ってくれての行動かもしれないが、こうもあからさまだとどう受け止めていいのかわからない。アマンダはカウザを掴んでいるウォルフの腕に軽く手を添え、ぎこちなくも微笑むとウォルフはバツが悪そうに手を離した。


「小僧に何をした」

カウザが気を失う直前、魔女はカウザに防御魔法をかけた。だが、カウザはそのまま倒れてしまった。特に外傷などは見受けられないが、中身はどうなっているか分からない。

「別に何もしていない。していないというよりできなかったというべきか」

シュトルツはカウザの胸元を見た。そこには小さな隠しポケットがあり、中にはヒカリが作ったお守りが入っていた。白の魔術師は月の神の力を分け与えられた白の神の末裔。月の力により赤の神の力は相殺されたのだった。

「聖女の力が小僧を救ったか」

「やはり月の力というのは忌々しい存在だな」

シュトルツはカウザを睨み舌打ちをした。その様子を見て魔女は疑問を持った。

「お前の魔力は封じたはずだが…それにお前たちは器となるものに赤い石を持たせることで徐々にその器を乗っ取るのではないのか?」

「残念だがその考え方は間違っている。別に我々がその器を乗っ取るだけなら、わざわざ時間をかけて適応させる必要などない」

「つまり何かしらのリスクを回避するためにお前たちは器の中に長時間潜む必要があるのか」

先ほどのシュトルツの行動から見て、目を合わせるという行為がキーとなるのだろう。また、目の前の魔女ではなくわざわざカウザを呼んだということから魔女ではダメな理由があるということ。一緒にいる年月なども関係しているかもしれないが、赤の神の特性からおおよそ月の力を持たぬ黄の魔術師か人が器としての前提でなければならないのだろう。そして器を乗っ取るだけならという言葉から、条件さえ合えば魔力や赤い石がなくても意思を奪うことは可能ということ。なのにわざわざ時間をかけるということは…

「器の耐久性に関わっているのか?精神に関与する魔法は対象者への負担が大きく、禁忌魔法の一つとされている」

「よくわかったな。確かにこの方法では私たちが入ったところですぐに器は壊れてしまい使い物にならなくなる」

「下衆が…」

魔女がなぜこの男の邸宅に潜んでいたのか、またなぜカウザを助けたのか。それはカウザの母であるアモルが原因である。魔女は数年前アモルに助けてもらったことがあった。その時にアモルにまとわりついている気配からアモルに助言をしたのだ

『大切なものがいるならあなたの近くの人間には十分に気をつけろ。そこには異質な存在が混じっている』

『はあ…』

アモルはその時不思議そうな表情をしていたが何か気になっていることはあったのだろう。何かを思案する表情をしてから魔女から離れていった。そしてその後すぐ、アモルが亡くなったということを魔女は風のうわさで知った。理由は病だった。だが、数日前の彼女からは病の気配などなくとてもすぐに死ぬようには見えなかった。となれば思いつく理由は、自分の話を聞いたアモルが事を起こし、それに感づいた赤の神が病と偽って彼女を殺してしまったのではないかということだった。

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