3話:うししなアイツと再会ですにゃん
誤字・脱字などありましたらご指摘、ご報告お願いします。
目の前が真っ白になって、気が付くと私は……。
とても薄暗い森の中に転送されていましたのにゃ。
周囲にはキノコやら、毒々しい花が溢れていて嫌な感じの場所にゃ。
だけど、私はこの場所を知っていますのにゃん。
ランプの精霊、ジンさんに無理やり飛ばされた先は、
どんな魔境が待っているのかと、ビクビクしていたんですけど、
まさかここに到着するとは……。
見た目はとんでもにゃい魔境に見えますけどね。
さて、この薄暗い森に飛ばされたということは、次はアイツが登場するはずにゃ。
「うししししっ! ようこそー、ここは
『第一アクセル・サーバー:ワールド・ワンダーランド』
(以下、AS1:ワンダーランド)だよ~。
キミキミー、新米『迷い人』さんでしょー? うししし」
「うにゃー、やっぱりお前ですにゃん……」
真後ろから聞こえた声に、少しドキッとなったけど、
タネが分かっている仕掛けほど、面白くないものはないのですにゃ。
冷静に後ろを振り返れば、空中にぷかりと浮かんだ金の瞳が、
こちらをニヤリと見つめていたにゃ。
まったく、予想通りご登場ありがとうございますにゃん。
初心者の心臓に宜しくない、ビックリ系トラップですにゃね。
ふふん、でも残念でしたにゃん。私は初見ではありませんのにゃ。
同じ技は二度と通用しない!! ってヤツですにゃん。
「んーー? うんんーー?? キミキミー、何か変かも。
何だろ? うしししっ」
「変とは何ですにゃん」
失礼な奴なのにゃー。どう考えてもそっちの方が変なのにゃ。
私がそう告げると、金の瞳はさっきより、もっと忙しなく動き回ったにゃん。
動く瞳の周りをにんまりした口が追いかけるて、ぐるぐると回転する。
あべこべに空中を彷徨う、顔のパーツ達。
若干、ホラーに見えなくもないですけど、どっちかと言うと、
お正月に遊ぶ『福笑い』みたいで、とてもマヌケに見えますにゃん。
「しっしっし。キミキミーお名前は?」
「……チアーク・ペローだにゃ」
「んー? うししっ、そっかー。
例のペロペロちゃんなのか、キミ!
どーりで、驚かないわけだ~。うんうん、理解理解」
「しゃーーー!!! ペロペロじゃないのにゃ!!!」
私が名前を告げると金の瞳とにんまり口は、違和感の正体が判明したようで、
ケタケタと地面を笑い転げたにゃ。
「ペロペロ」なんて失礼な呼び方をしたので、
私は思わず威嚇すると、そのまま猫パンチを繰り出してやったにゃ。
ところが、相手は動じることなくニタニタと笑ったままにゃ。
「くるりんぱっ♪」
何ですにゃその呪文と私が思うより先に、
渾身の猫パンチは綺麗にすかっと何もない空中を殴ってしまい、
その反動で私は前方にぺしゃりと倒れてしまったにゃ。
「ふぎゃん!」
い、痛いですにゃー……。おまけに何か潰れた声が出ちゃったのにゃ。
「うっしっしっしっし!!
あーたるわけないよー、前と同じ事するなんてガッカリーン♪
学習能力が無いのかな? ペロペロちゃん」
う、うるさいのにゃ!
ヘンテコな金の瞳は、私がユーザー名を告げたことで、
以前のログを参照したのか、私の情けない失態(なかったことにしてほしいにゃん!)をあっさりとばらしたにゃ。
だから、こいつは嫌いなのにゃー! ぷんぷん。
「チアーク・ペローですにゃ! ペロペロじゃないのにゃ!
そっちこそ、学習能力がないのにゃん!
性悪にゃんにゃの『チシャーネコ』!
……もういい加減悪ふざけはやめろだにゃ。
姿を見せて、チュートリアルを開始して欲しいにゃー」
「ネタバレするキミキミも、性悪にゃんにゃじゃないのー?
本題に入る前の前置きは大事なことだよ?
特に、名乗りはね」
「前置きが長すぎだにゃ。しゃー!」
ヘンテコな金の瞳こと、チシャーネコは、
私に名前を言われてしまったことで、しょぼくれてる様子だにゃ。
仕返しが出来たので、ちょっとイライラが収まったのにゃー。
「まー、いっかぁ。うんうん」
チシャーネコは仕切り直しとでも言うようにごほんと咳払いをすると、
「改めましてー、うっしっし!
AS1:ワンダーランドの水先案内猫の『チシャーネコ』だったりして♪
キミキミ達『迷い人』……ああ、ペロペロちゃんは猫だね、失礼。
を、案内したり案内しなかったり、するんだけどね。
うっしっし、そんな感じのお助け猫です~。お一つよろしくね」
自己紹介になっていない挨拶を私に述べると、そいつは正体を現したにゃ。
それは、私より一回りも大きい真っ黒な猫ですにゃん。
辺りが暗いせいもあって、景色に同化して見失いそうだにゃ。
そうでなくても、チシャーネコは神出鬼没に姿をくらます能力を持っているから、
見失いやすいですにゃー。
物語中盤に現れそうな、掴みにくい性格をしてるチシャーネコですけど、
実はものすごく序盤でお世話になる……というか、
なるしかないキャラなんですにゃん。
『絵本』の世界は、複数のワールド(国みたいなものにゃん)に分かれていて、
プレイヤーは最初にゲームを開始すると、
ランダムでどこかのワールドの初期位置に飛ばされますにゃん。
チシャーネコが言うように、プレイヤーは『迷い人』。
つまり『絵本』の世界に迷い込んだ訪問者という設定なので、
そんな演出になりますのにゃ。
そのワールドのうち、『ワンダーランド』に飛ばされた初心者プレイヤーに対して、
操作の仕方やゲームの目的を説明するチュートリアルキャラが……。
えっと、その……、このチシャーネコなんですにゃ。
初心者相手にチシャーネコが容赦するはずもにゃくて、
『ワンダーランド』は、題材こそ人気のあるワールドなんですけど、
色んな意味で、初心者殺しとして悪名高いワールドでもあるんですにゃ。
(運営こんにゃろーww 的な意味でも人気が高いワールドですにゃね……)
なんで、私が知ってるかというと、
マスターが最初にプレイして飛ばされたワールドが、運悪く?
(マスターは歓喜してましたけどね)
通常サーバーの『ワンダーランド』だったからですにゃ。
だから、この場所にも見覚えがあるし、
チシャーネコのことも知っていたって訳ですにゃん。
「でも、だからってアクセル・サーバーでも、
初期ワールドが『ワンダーランド』だなんて、運が悪すぎですにゃー……」
「うしし、人気ワールドに2回も当たるなんて、
ペロペロちゃんはラッキーだよね! うしししー!」
うみゃーーーっ! そんなわけあるかーっ!
性悪にゃんにゃめっ! よくもぬけぬけとそんな事をっ!!
私はじろりとチシャーネコを睨み付けてやったにゃ。
チシャーネコは私の眼力に怯みもせずに平然としているにゃ。
それどころか、ぬけぬけと、「あれれ、ご機嫌斜め?」なんてわざとらしく
聞いてくるのですにゃ!!
私はぷんぷんしながら「……当たり前ですにゃ」と告げると、
ぷいっとそっぽを向いてやったのにゃ。
私がへそを曲げるていると、チシャーネコはふむと考えこむ。
「ああーそっか! ペロペロちゃんは初心者じゃないから、
お助けがいらないんだね~。
このイベントをスキップしたいってことか!」
「んにゃ!? こ、困りますにゃん!!」
違いますのにゃ! なんでそうなるのにゃん!!
チシャーネコのとんでもない勘違いに、私は即座に否定してやったにゃ。
マスターと一緒にいて、ある程度のイベントは知っているけど、
実際にプレイはしていないのだから、ほぼ初心者で間違いないのにゃ。
チュートリアルをスキップされたら困るのにゃーーっ!!
「本当にー?」
「ほ、本当ですにゃ!」
「……ふーん」
チシャーネコが胡散臭そうに眉をしかめると、システムメッセージが飛んできたにゃ。
私はなんですにゃ? と思ってメッセージを覗き込むと、
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『チュートリアル1:チシャーヌコの導き』をスキップしますか?
>はい
YES
OK
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「うにゃーーーーっ!!!
ありえないっ! それはないっ! ですにゃ!!」
なんですにゃこのメッセージは!!?
なんで、最初からスキップする前提で進めるんですにゃ!?
しかも、選択肢があってないも同然ですにゃ!
きちくにゃ! おにちくにゃーーっ!
私は、すっかり取り乱してしまい、懇願するも同然でチシャーネコに泣きついたにゃ。
「受けるにゃ、受けますにゃーーーっ!
"チュートリアルを受けさせてください" ですにゃん!!」
「うっしっし! おっけ~」
チシャーネコはあっさりと私の意見を受け入れたにゃ。
それと同時にシステムメッセージも新たに追加されたにゃん。
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『チュートリアル1:チシャーネコの導き』を受託しました。
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あ、あれ? どういうことですにゃ???
「いやいや、今自分で受けさせてくださいって言って、
クエストを受託したでしょー?」
「い、言ったけど……」
でもでも、スキップしますかって聞かれてて、
しかも選択肢が「はい」しかなかったですにゃよ?
「うっしっし、最初のはボクが作ったニセモノでしたー」
「に、にせもの???」
「うしし、そうそう。
『チシャーネコ』じゃなくて、『チシャーヌコ』になってたでしょ?」
そう言って、チシャーネコは過去ログを渡してきたにゃ。
どれどれ……。
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『チュートリアル1:チシャーヌコの導き』をスキップしますか?
>はい
YES
OK
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ああっ! たしかに変だにゃ。騙されたにゃーー。
「うっしっし! お知らせはきちんと目を通しておかなきゃダメだよー?」
「むむむ……手の込んだ嫌がらせですにゃね」
「あ、言い忘れてたけど、アクセル・サーバー専用のシステムがあるから、
安全のために、初心者・既存プレイヤー問わずに初回アクセス時は、
必ずチュートリアル1を受ける仕様になってるんだったー♪
うっかりうっかり、ゴメソー。うしししーー!」
謝罪の欠片もないチシャーネコの止めの一言に、
私はへにゃへにゃと地面に倒れ込んだにゃ。
ま、ますたー……私は、チアークはもう駄目かもしれないでにゃん。
先立つ不孝を許してほしいですにゃー。
「ではでは、チュートリアル開始ー。うっしっし~」
お手上げだにゃー、序盤で詰んだのにゃー状態の私を華麗にスルーすると、
チシャーネコは、意気揚々と開始宣言をしたのだった。
リセットボタンが来いだにゃ……。しゅんしゅん。
チシャー「次回は『チシャーネコ先生の初心者(殺し)講習』でお送りします。うししっ」
チアーク「むむっ! なんか物騒な文字が隠れてる気が……」
チシャー「来週もまた見てくださいね! じゃんけんグーチョキーパー!
あれー勝っちゃった♪ うししししっ」
チアーク「勝負する気ないにゃ! ついでに勝たせる気もないですにゃ!」




