2話:NPCのお姉さんの頼み事を聞きますにゃん
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真っ青ですにゃ!
うにゃ? 顔がかって? 違うにゃーっ!
この部屋がですにゃよ。
つい勢いにまかせて、適当なゲートを潜った私は
ゲームのログアウトを実行したはずでしたにゃ。
ところが、目を開けてみるとそこは現実世界の寝床ではなくて……。
見たこともない奇妙な部屋でしたのにゃ。
「これは一体どういうことですにゃ……」
混乱気味にそう言ってみたものの、答えてくれる人はいませんにゃ。
辺りをきょろきょろと見回してみると、床や地面が光っていたり、
その辺にサイコロのような形をした石が浮かんでいたり……。
現実離れした光景なので、まだ『絵本』にログインしたままなのは分かりますにゃ。
でも、ここは何処なんですにゃ?
そんなことを考えていると、どこからか謎の声が降ってきたにゃ。
『ウェルカムっ! うぇるかむ、ウェルダ~ン!!』
「ふにゃっ!?」
びっくりしたにゃ。
一体、誰ですにゃ!? しゃー!!
『やーっとのことでオープンしたのに、まだだーれも来てないってどゆこと?
って思ってたら、こりゃーずいぶん可愛いお客さんが来たもんだわーん』
「誰なのにゃ! 姿を見せろなの!」
私の威嚇に恐れをなしたのか、謎の声はしょんぼりした様子でこう言ったにゃ。
『えーっ!? つれないなぁ……。
ちょいと、お嬢ちゃん。目の前をよーーく見てごらんなさいよ。
あたしはここだわよん。ほらほら、かまってちょーだい』
気持ちが悪い声ですにゃ……。
目の前を良く見ろって言っても、こんなSF染みた不思議空間に
何があるんですにゃ?
そう思いながらも、目の前をじぃーっと見つめてみたにゃ。
するとどうだろう。
たちまち、私の目の前で煙が上がり始めたにゃ。
効果音をつけると、
「ぼわん」とか「もわーん」って感じの紫色のアヤシイ煙ですにゃ。
「こ、これはなんですにゃっ!」
『はいはい、あわてなーい。ご対面はこれからでーす』
慌てふためく私を謎の声が諌めたにゃ。
通常なら反論するところだけど、それを忘れるくらい気が動転していた私は、
謎の声に従い大人しくしましたにゃ。
少し待ってみると煙が晴れたにゃ。
晴れた場所には、金のランプがぽつんと置いてありましたにゃ。
むむ、つまりどういうことだってばにゃ?
『はい、どうぞ! さぁさぁ、遠慮なくやってくださいよー猫ちゃん』
いやいや、やってくださいって言われても困りますにゃ。
何が何だかさっぱりですにゃん!
「どうしたらいいですにゃ?」
仕方がないので、謎の声に尋ねると、
謎の声はあからさまに落胆したようにぶつぶつ言い始めたにゃ。
『あら、今の子って魔法のランプを見ても擦らない系?
やだーん、カルチャーショックぅ~★ ジンったらどうしましょう』
だから、その声はやめるのにゃん!
とにかく、こしこしすればいいのですにゃね!?
こしこしにゃん!
これ以上、謎のオカマ声を聞いてられなかった私は、
すばやく魔法のランプ(?)とやらに近づき、こしこしと擦ってやったにゃ。
爪でバリバリしてやってもよかったけど、謎のオカマ声が煩そうなので、
我慢してやったのにゃ。
擦られたランプが小刻みに震えて、「きらきら」とか「ぼわわーん」なんて、
アニメちっくな演出を披露しながら、中から何かが出現したにゃ。
「呼ばれて、擦られて、じゃじゃじゃじゃーんぷっ★ なんちって!」
「……」
私はあっけにとられて言葉も出てきませんでしたにゃ。
ランプから出てきたのは、気持ちの悪い男……ではなくて、
なんと布地面積がとても少ない、アラビアン風の爆乳美女でしたのにゃ。
腰まで届く長さの髪をポニーテールにしており、
金や宝石を使った豪華な装飾品を身に付けているところを見ると、
貴族、もしくはお姫様といったお金持ちを思わせますにゃ。
(まぁ、胸とあそこ以外はほとんど露出したお姫さまなんてゴメンですにゃん)
口元は薄いベールで覆われていて、
それが彼女のミステリアス度をぐっと上げていますにゃ。
何の種族かは分かりませんが、青白い肌と尖がった耳は、
間違いなく人外種の証ですにゃ。
軽い口調とは裏腹に彼女は、男ならコロリと落ちそうな
魅惑の笑みを浮かべていましたにゃ。
でも、私は彼女を見てすぐに気持ちを引き締め、警戒しましたにゃ。
気配……とでもいうのでしょうか、
彼女からは只者ではない気配(と書いてオーラと読むのにゃ!)
が立ち上っていたのにゃ。
おそらく、高レベルのプレイヤーかNPCに違いないですにゃん。
「そう固まらないで、子猫ちゃん」
「うにゃにゃ、貴方が言うとなんだか冗談じゃすまされない事を、
されそうですにゃん。とりあえず、子猫ではないですにゃー」
「あらま、つれない。じゃあ、貴方のお名前はー?」
毛を逆立てて警戒するけど、彼女はどうでも良いという感じで、
自分のペースに引き込もうとするにゃん。
まったく、油断ならない相手ですにゃね!
けど、名乗らないのも面倒になりそうなので、
(じゃあ、子猫ちゃんて呼ぶわよ? って言われそうだし)
私は素直に名前を名乗りましたにゃ。
「チアーク・ペローだにゃ」
「OK。『チアーク・ペロー』ちゃんね!」
私の名前がキーワードになったのか、彼女の顔から急に表情が無くなったにゃ。
機械っぽくなった、とでも言えばいいのかにゃぁ?
ぶつぶつと何か呟いていますにゃ。なんかほらーっぽいにゃ。
今さらですけど、これって何かのイベントなのかも?
1人事が終わったのか、女性に表情が戻ってきましたにゃ。
けど、どこか戸惑った様子ですにゃん。
いったいどうしたのですにゃ?
「うーん……貴方って、
【ID:2237428】のユーザーが所有してるペットよね?」
「に、にーにーさん……なんですにゃ?」
そんな数字の羅列を並べられてもわかんないですにゃよ。
そう伝えると、女性は「それもそうねー」と返されたにゃ。
むー、失礼なやつにゃー。
「ユーザー名:【リーリエ・ヴェルモント・エーデルシュタイン3もしくは4世】様
と言えば、わかるかしら?」
「あ、マスターですにゃん」
「……」
うな? 何やら女性が固まったにゃ。どうしてですにゃん?
それにしても久々にフルネームで、『絵本』でマスターが使ってる名前を
聞きましたにゃー。
たしか、名前を決める時に何世にしようか迷って、
何時間も悩んだ末に、NPCにまで「はやく決めてー」って急かされて、
とっさに口にしたのが、「3世もしくは4世」だったらしいにゃ。
どう間違ったのか、それで名前登録が完了してしまったそうですけどにゃ。
以来、マスターはフルネームで呼ばれるのを嫌がってましたにゃー。
「ご、ごほん。とにかくそのユーザーのペットなのよね?」
「あ、はい。そうですにゃよ」
「あららー、どーしましょう? なんてラッキーな子猫ちゃんなのかしらん。
そして、不幸なわたしぃー……」
なんだか良く分からないけど、お姉さんはしょんぼりして考え込んでますにゃ。
なんか「これってバグ?」とか「でも、もともと申請はあったし……良いかしら」
とかぶつぶつ言ってますにゃー。
むー、なんですにゃー!!
「あのね、子猫ちゃん。あなたに言って理解できるか分からないけど、
とりあえず説明しとくわ」
「お願いしますにゃん」
お姉さんは悩んだ末に、状況を説明してくれるそうですにゃ。
こっちとしては、最初からしてくれって感じだけどにゃ。
「私はアクセル・サーバーオープン記念限定イベントNPCの『ジン』っていうの」
ほう。ジンさんですにゃね。ようやく自己紹介ですにゃ。
「結構レアNPCなのよ? 何せアクセル・サーバーにログインしたユーザー
先着1名だけが会える仕様なんですもの」
おお、それはレア過ぎますにゃね。
後から、都市伝説扱いになりそうなレア仕様ですにゃ。
……あれ? アクセル・サーバー?
「うにゃっ! こ、ここってアクセル・サーバーだったのにゃ!?」
「そうそう」
どうも見たことがないと思ってたらアクセル・サーバーでしたにゃん。
ログアウトのゲートじゃなくて、アクセル・サーバーのログインゲートを
潜っちゃったんですにゃね……。
「それで、記念すべきラッキーなログイン第一号者と面会してみたら……、
なんとユーザーじゃなくて、ペットだったのよねーどうしましょうってわけ」
「なるほどですにゃん」
ジンさんによると、通常なら、持ち主と一緒にいるはずのペットが
自発的にアクセル・サーバーに来ることはまずない。
そして、万が一間違って入ってしまってもシステム的に弾かれて、
このイベントが自体発生することはなそうですにゃ。
むむ、確かにこれってバグだにゃー。
「原因って分かるのですにゃ?」
「ログを見ると……、同時期に実装された『ペットシステム』が
悪さをしてる感じだわ。
特に、鑑賞用ペットの『制限解禁』とペットアバターの部分が不安定ね……」
うーん。良く分からないですけど、緊急メンテナンスが入るかも?
「でもね。飼い主さんからは、猫ちゃんの申請をもらってるから、
貴方さえよければこのまま進めたいなぁーって思ってるんだけど?」
「どういうことですにゃ?」
「このイベントよ! 『ランプの精霊と3つの頼み事』」
ランプの精霊……、それでランプを擦ってとか言ってたんですにゃね。
たしか、3つの願いを叶えてくれるってやつでしたかにゃ???
いやいや、頼み事になってるにゃよ?
なんだか、戸惑ってあわあわしていると、とてもいやーなシステム音が響いたにゃ。
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『ランプの精霊と3つの頼み事』を開始します。
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「ちょっ! 強制スタートですにゃ!?」
「そうこなくっちゃ!」
ジンさんはとてもノリノリで嬉しそうにぴょんぴょん跳ねているにゃ。
いやいや、そーじゃないですにゃん!
「『チアーク・ペロー』のアクセル・サーバーの入場を許可するわ」
あわわ……本当に始まってしまったですにゃん。
ちょ、運営!!
このバグをどうにかしろだにゃーーーっ!
「貴方に『冒険者』の力と身体、そして私の祝福をプレゼントします」
ジンさんがそう告げると、私の身体が急にぴかぴかと光出しましたにゃん。
おまけに目の前がだんだん光で霞んで見えなくなってきましたにゃ。
本格的にまずいと思い、私はジタバタと脱出を試みましたが、
イベント中の為か、身動きが一切とれませんにゃ。
「その代り、私の3つの願いを叶えてほしいの」
や、やっぱり、本家の童話と違って3つ願いを叶えてくれるんじゃなくて、
3つ願いを叶えなきゃいけないんですにゃね……。
レアイベントなのに、外れクジ引かされた感がしますにゃ。
「1つ叶えるごとに、特別なスキルを解放してあげるわ」
特別なスキル?
「まずは1つ目。特別に『―――』をあげる」
良く聞こえないですにゃー。ジンさーん!!
「さぁ。行きなさい『チアーク・ペロー』」
ジンさんの声と共に視界が光であふれて見えなくなってしまったにゃ。
同時に、ぶつりと途切れるように私の意識も、そこで途切れてしまいましたにゃ。
バグ駄目! 絶対にゃ!!
ジンさん「3つの願いを叶えてもらうわ」
チアーク「確定事項ですにゃ!? とんだ悪徳ランプ商法にゃ」
ジンさん「クーリングオフも受け付けないわよ★」
チアーク「不幸だにゃーーーっ!!!」




