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異世界から日本に帰ってきたらなぜか魔法学院に入学 この際遠慮なく能力を発揮したろ  作者: 枕崎 削節


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229 監視作戦発動

「付き合ってください」と言われた桜は……

 桜に手を引かれながら学は校舎の方に向かっている。傍から見れば一見子供のような二人が仲良く手を繋いで歩いている光景なのだが、その片割れが桜であると知った途端道行く学院生たちは「信じられないものを見た!」とその場で硬直して立ち止まる。



「桜ちゃん、僕たちを見た先輩たちの反応がなんだかおかしいよ」


「学君はなにも気にしなくて大丈夫ですわ」


「と言われてもなんだか気になってしまうけど… ところで桜ちゃん、どこに向かっているの?」


「私の部屋に行きましょう。まずは色々とお話をしたいですからね」


「ええぇぇ! 僕は女子寮なんかに入れないよ」


「心配いりませんわ。こちらですよ」


 こんな感じで、学を思いっきり戸惑わせながら桜は管理棟のエレベーター前に立つ。最上階にある特待生寮にこの見るからにいたいけな少年を連れ込むつもりのよう。果たして何を企んでいるのだろう? もしや年下の少年を危ない大人の道に… いや、たぶんそれはないとは思うが。



「そういえば学君はどちらのクラスですか?」


「Eクラスだよ。ギリギリで合格したから他のクラスはみんな凄い人ばっかりだよ。それよりもあんなに強い桜ちゃんが僕と同じEクラスなんて、なんだか信じられないなぁ~」


 学が「強い桜」と言っているのは、最近の桜の戦いぶりを指しているわけではない。中学時代に色々とヤンチャをしていた時分の桜の姿しか今の彼の記憶には残っていない。それでもその暴れっぷりが学の脳裏に鮮明に焼き付いているのは、桜が校舎裏でどれだけヤンキーたちをボコボコにしていたかという揺るぎ無い証明となる。



「ああ、私のクラス担任に話を聞きに行ったと言っていましたねぇ~。でも2年生のEクラスはちょっと事情が違うんですの。何しろ今や全校で最強クラスですから。それから私の中学時代の武勇伝は他の人には内緒にしておいてください」


「内緒はいいけど、最強クラスってどういうこと?」


「下剋上というやつですわ。おや、エレベーターが来ましたね。乗ってください」


「わかった」


 こうして二人は最上階へ到着する。学は見慣れない場所に連れてこられて明らかに挙動不審な様子。



「さ、桜ちゃん、こんな場所に勝手に入ってきていいの? 見つかったら先生に怒られちゃうよ」


「心配いりませんわ。この部屋に入ってください」


 カードキーでドアを開けた桜は学を特待生寮に招き入れる。中に入った途端、彼の呆気にとられた声が響く。



「ええ? なんだかすごい部屋だけど、一体ここはどこなの?」


「特待生寮ですわ」


「特待生寮? そんな部屋があるなんて全然聞いていないんだけど」


「一般の生徒には都市伝説扱いされているかもしれないですね。でもここが私とお兄様の部屋なんですの」


「お兄様… あっ、そうだった! 聡史先輩にも挨拶をしようと思っていたのに桜ちゃんの姿を見た途端に頭の中から吹っ飛んじゃったよ」


「嬉しいことを言ってくれますわね。さて、そちらのソファーに座ってください。飲み物を用意しますわ」


 驚くことに普段はまったくお茶の用意などしようともしない桜がいそいそとキッチンに向かっている。そしてお盆にアイスコーヒー(ペットボトル入りを移し替えただけ)の入ったグラスを運んでくる。



「どうぞ召し上がれ。ガムシロとクリームは好みでどうぞ」


「桜ちゃん、ありがとう」


 世界広しと言えども桜が用意したコーヒーを飲めるのは、ひょっとしたら学だけかもしれない。おそらく聡史にも無理な注文だろう。何故なら兄妹二人でいる時に飲み物を用意するのは聡史の役目となっている。それほど滅多にない貴重な出来事が現在この場で繰り広げられている。コーヒーに口を付けた学は…



「冷たくって美味しい」


「お粗末様ですわ」


 などとたわいもない会話を交わしている。どれだけ二人はラブラブなのかと想像する方もいるであろう。だがなんというか… この二人の間にあるのは恋人同士というよりも姉が弟の面倒を見ている ━━そんな雰囲気が伝わってくる。



「ところで学くん、クラスには慣れましたか?」


「知り合いも増えたし、先週から仲間でパーティーを組んでダンジョンに入っているよ。でも…」


「どうしましたか?」


「不本意だけど僕は魔法担当なんだ。本当は桜ちゃんのように最前線で戦いたいんだけど、いくら訓練しても武器スキルを手に入れられなくって」


「学君は小柄ですからねぇ~。武器を扱う際にはどうしても不利になりますわね。でも魔法が使えるならいいじゃないですか。それはそれで貴重な存在ですわ」


「自分ではまだ成長期だと信じているけど… それよりもやっぱり魔法使いというのはなんだか違うんだ。僕は桜ちゃんが戦う姿に憧れていたから」


 学の考えを聞いた桜はしばし無言になる。そしておもむろに…



「学君のステータスを見せてもらえますか」


「もちろんいいよ。ステータス、オープン」



  【中本 学】 16歳 男 


 職業     魔法使い


 レベル     5


 体力     42


 魔力     87


 敏捷性    47


 精神力    47

 

 知力     59


 所持スキル  火属性魔法ランク1 気配察知ランク1 格闘術ランク1 



「ふむふむ、中々バランスが取れていますね。初期のお兄様とよく似た感じのステータスですわ」


「聡史先輩と似ているの? 僕、聡史先輩にもすごく憧れていたんだ。カッコいいし、強いし、誰にも慕われているし」


「まあ、私の目から見ても自慢のお兄様ですからね。もっとも最近は各方面から慕われすぎて体がいくつあっても足りない状況ですけど」


「さすがは聡史先輩だね。やっぱりああいう信頼される人になりたいよ」


「信頼も行き過ぎると時には重たくなるもの… まあそれはいいでしょう」


「うん? 桜ちゃん、何の話?」


 学は桜の言葉の意味を理解するにはあまりにも様々な経験が少な過ぎるよう。この話はそこそこに切り上げて、桜は別の話題に移る。



「それよりも学君は、古武術の稽古を続けていたんですか?」


「もちろんだよ。桜ちゃんが寮に入ってからは道場の大人と混ざって稽古は欠かさなかったよ」


「それで格闘術のスキルがあるんですね」


「たぶんそうだと思う」


 再び桜は目を閉じて考え込む。いくばくかしてから両目を開くと、静かな声で学に語り掛ける。その口調には普段の桜が絶対に見せない優しさと慈愛に満ちている。もしかしたらこれはマジモノかもしれない。



「はっきり言って学君は、私のように最前線で戦う人間には成れませんわ」


「そうなんだ… やっぱり僕には才能がないんだね」


「違いますわ。学君が目指す究極的な姿は私のお兄様です。魔法と格闘を自在に操りながら、さらにパーティーの指揮も執れる… そんな人材になってみたくはないですか?」


「聡史先輩みたいに… 確かに桜ちゃんもすごいけど、やっぱり聡史先輩って尊敬しちゃうよ。でもそんな風に成れるかどうか僕には全然自信がないかな」


「当たり前ですわ。あんな完璧超人がそうそう何人もいて堪りますか! ようはそう成りたいと望む気持ちがあるかどうかです」


「もちろんなりたいよ! 僕だってあんな風になんだってできる人になってみたいよ」


「厳しいですが、覚悟はありますか?」


「僕は桜ちゃんに憧れて魔法学院に入学したんだ。だから桜ちゃんが言うことなら信じて突き進むよ。そこにどんな困難があっても絶対に乗り越えてみせる」


「とっても良い心掛けですわ。その言葉を忘れなければ、いつの日にかお兄様のようになれますわ」


「うん、絶対に頑張るから」


 桜による悪魔の育成計画がスタートした瞬間のよう。つまり弟のように可愛がっている学を兄のように育成て上げてしまおうという途方もない計画が発動する。果たして学の運命はいかに…



「ところで桜ちゃんはダンジョンをどの辺まで攻略しているの? 特待生というからには相当な深さまで行っているんだよね」


 何も知らない学が無邪気に尋ねている。真実を知ってしまったらその時点で学はもう引き返せない修羅に道に強制的に飛び込まされていただろう。だが桜はどうやらまだ早いと判断しているようで、適当に誤魔化す方向に舵を切る。



「そこそこの階層まで達していますわ。しかも昨年の全国の魔法学院生が集まる八高戦の優勝者でもありますの」


「やっぱり桜ちゃんはすごいや」


「同じパーティーには明日香ちゃんと美鈴さんもおりますのよ」


「えっ、明日香先輩も一緒なの。美鈴さんっていうのは…」


「小学校の時まで私の家のお隣さんだった西川美鈴ちゃんですわ。学院の生徒会副会長もやっているんですよ」


「ああ、思い出した。聡史先輩と仲が良かったよね」


「今は血みどろの三角関係が… おっとこれ以上は申し上げられませんわ」


 学の頭の上には大量の???が浮かんでいる。まだこの純粋な少年にはややこしい恋愛模様を理解するにはいささか早計であろう。桜がお茶を濁すのも無理はない。


 

「そういえば、桜ちゃん…」


 この後の特待生寮では、二人の中学時代の思い出話に花が咲くのであった。




   ◇◇◇◇◇




 所変わって、こちらはEクラスの生徒が自主練を行っていた第3訓練場。桜と学が立ち去ったフィールドでは現在大変な騒ぎが巻き起こっている。



「さ、桜ちゃんたちが手を繋いで行ってしましました」


「本当にどういう関係なのかまったく見当もつかないわ」


 明日香ちゃんと美鈴が依然目を泳がせたままどうしたらいいものかと途方に暮れている。



「まあ、そのなんだ… とりあえず訓練を続けようじゃないか」


「聡史さん、状況をよく見てください。あまりの衝撃で全員訓練どころの騒ぎではないですよ」


 聡史の提案をカレンが一蹴する。確かに見回してみると、いまだに衝撃から立ち直れないクラスメートたちがその場に立ち尽くしたまま何をどうすればいいのか絶賛錯乱中な模様。



「これはどうしたものかな。このままでは訓練に身が入らないだろうし」


「聡史さん、身が入らないどころか、全員上の空で下手をすると怪我の恐れがあります」


 さすがはカレン、聡史に対して的確な意見を述べている。どうやら「陰から聡史を支えろ」という桜のアドバイスに忠実に従っているよう。しっかり者のカレンにはうってつけの役であろう。


 そこにようやく我に返った頼朝がやってくる。



「なあ、聡史。どうも今日は自主練を続けても意味がなさそうだ。俺に考えがあるから、全員一旦クラスに戻ってもいいだろうか?」


「みんながそれでいいなら問題はないんじゃないか」


「じゃあ、そうさせてもらおう」


 と言い残して全員を振り返る。



「おーい、今日の自主練は中止だ! 話がしたいから、全員教室に集まってくれ」


 頼朝の大声で我に返った他の生徒たちは頷いて教室へと戻っていくのであった。




   ◇◇◇◇◇




 自主練を切り上げて、Eクラスの生徒たちは教室に戻っている。全員がつい先ほど起こった事件をどのように受け止めてよいのか戸惑った表情で着席している。


 当然第3訓練場にいた美鈴とカレンもこの流れに乗って一緒に来ている。余っている椅子に腰掛けて、何が始まるのか黙って成り行きに任せているよう。


 まあこの二人だけならまだいいが、天狐と玉藻の前まで教室に戻っているのは一体どういうことだろうか? というよりも両者にはちゃんと椅子と机が与えられており、当然のような顔でクラスに溶け込んでいる。大妖怪2体と魔王の娘が普通に座席を並べて学園生活を送るという実にカオスなクラスがここにある。


 全員が揃ったのを見計らって頼朝が教壇に立つ。彼が一通り教室内を見渡すと、空いているのは当事者である桜の席だけ。



「ついさっきボスが1年の男子生徒から交際を申し込まれて、それをあっさりと認めるという驚くべき事案が発生した。そしてそのままボスと1年生は姿を消して現在に至っている。この場は緊急事案に我々がどのように対応すべきかその善後策について協議したい」


「議長、提案があります」


 持っ先に手を挙げたのは真美。クラス内では最も成績がいい彼女の提案とやらに俄然注目が集まる。



「どうぞ」


「まずはその1年生の身元を明らかにするのが先決ではないでしょうか」


「確かに有効な提案と認める。副会長、検索は可能でしょうか」


 生徒会のデータベースを用いて相手の男子生徒の情報開示を求める頼朝。



「個人情報の開示には慎重になる必要がありますが、クラスと名前だけならオーケーと判断します。すでに検索は終えており、1年Eクラスの中本学と判明しています」


 なんという流れるような遣り取り。真美のレシーブから始まって、頼朝がトスを上げて、美鈴がスパイクを決めている。教室内は「やはり1年生か…」というどよめきに包まれる。



「さて、名前が判明したので、次はどうすればいいかだが」


「議長、まずは現在の桜ちゃんの居場所を突き止めましょう。聡史さんにメールしてもらえばいいと思います」


「俺なのか?」


 急に手を挙げて立ち上がった明日香ちゃん、その瞳は好奇心でいっぱいに満たされている。しかも自分でメールしてもいいのにわざわざ聡史にその役目を押し付けるという実にに手の込んだ策略。当然聡史からは反論の声が上がるが、クラス全体から「早よ、メール早よ」という視線が集まり、やむなく桜に向けてメールを打ち始める。


 ちなみに聡史たちのスマホは通信アプリなどのダウンロードは不可となっている。自衛隊専用サーバー経由の最強暗号通信なので、通話とメール以外のアプリによる通信が自動的に遮断される仕組みとなっている。明日香ちゃんなどはこの税金で運用されている暗号通信を使用して岡山室長とこんなメールのやり取りをしている。


>岡山のおじさん、最近流行っているデザートはありますか?


>都内のお店で販売されている洋ナシのタルトが大人気だよ。


>とっても美味しそうですねぇ~。想像するだけでもヨダレが垂れそうですよ~。


>これから6月までが旬だから、都内に来たときはご馳走するよ。


>ぜひぜひお願いしますよ~


 とまあ、こんな内容を自衛隊の超暗号通信で送っているのが明日香ちゃんの実態。果てしなくお気楽この上ない。相手は准将だぞ、室長だぞ、偉いんだぞ。せめて文面くらいは、もうちょっと何とかしてほしいものだろう。まあメル友の岡山室長もスイーツ談義を楽しんでいるんだけど…


 明日香ちゃんの話はさておいて、聡史は桜にメールを打ち始める。



>桜か、今どこにいる?


 すぐに返信が入る。


>お部屋に戻っていますわ。


>学君と一緒か?


>そうですわ


>こっちは気にせずに、ゆっくりしてくれ。天狐と玉藻の前は俺が食堂に連れていく。


>おねがいしますわ。


 とまあ、こんな感じのやり取りで終始する。固唾を飲んで聡史に注目するクラスメートたち。彼らに向かった聡史が厳かに告げる。



「どうやら桜は、特待生寮にいるらしい。学君と一緒だと言っている」


「「「「「「「なんだってぇぇぇぇぇぇ!!」」」」」」


 教室内は阿鼻叫喚の巷と化す。交際初日に相手を部屋に連れ込んで一体何をしている?… 全員がこのような妄想に取り憑かれても無理はなかろう。


 ようやく叫び声が一段落すると元原が手を挙げる。



「議長、今後のボスと1年生の行動を厳重に監視する必要があると具申いたします」


「ただ今の意見について、各位に異存はないか?」


 頼朝の問いに頷くクラスメート一同。その表情はいつになく深刻。なんでこの程度の個人的な話がクラス全体の問題に格上げされているのか、今一つ外部からは状況が理解できないかもしれない。



「ボスの行動を監視するのはいいが、問題はその方法だ。尾行などした日にはたちまち見破られるぞ」


 これは横田の意見。確かに桜を相手に尾行などもってのほか。1分もしないうちに逆に待ち伏せされて物陰から致命的な一撃をお見舞いされるのがオチであろう。そのあまりの危険度を想像するだけで、全員が息をのんでからため息をつく他ない。



「やむを得ない、クラス全員の協力が必要な大掛かりな作戦になるが了承してもらいたい。まずは放課後、ボスが教室を出る前に全員が素早く離脱する。聡史は可能な限りボスを引き留めてもらいたい。その後は全員が割り当てられた場所に待機してボスが通ったら連絡を入れる。こうして徐々に網を絞って、ボスの行き先を突き止めよう」


「「「「「「了解」」」」」」」


 こうしてEクラスは、謎の団結力によって頼朝が立案した作戦を承認する。あとは実行あるのみであった。




   ◇◇◇◇◇




 翌日は午後からダンジョンに向かったので特段の動きはなかった。桜がデビル&エンジェルと行動を共にしたおかげで頼朝立案の作戦は不発に終わる。だが次の日、ホームルーム終了後に学が桜を迎えにくる。



「桜ちゃん、すごく楽しみで授業が手に着かなかったんだよ。早く行こう!」


「いいですわ。まいりましょうか」


 Eクラス全体に緊張が走る。いよいよ桜と学がどこで何をするのか突き止める大作戦が発動する。本部が設けられたEクラスで待つ頼朝の元には、次々と校舎内外に配置された生徒からの連絡が飛び込んでくる。



「こちら2階Fポイント階段脇、ターゲットの姿を確認」


「了解、先回りして次のポイントへ向かえ」


「こちら1階Gポイント、ターゲットを確認。どうやら校舎の外に向かいます」


「了解、ターゲットが外に出たら進行方向を確認しろ」


「室内演習場方面です」


「了解、すぐに次のポイントに向かえ」


「こちら屋上、演習場方面に向かうボスの姿を確認… ウッ」


「どうした? 何か問題発生か?」


「ボスが一瞬こちらの方向を見上げて殺気を飛ばしてきました」


「無理をするな。他の班に任せて一旦撤退しろ」


「了解」


 やはり桜の目は誤魔化せないかという絶望感が頼朝の心中を過ぎる。だがここで諦めるEクラスではない。屋上からの監視の目を失っても、各所に配置された地上班が彼らの分を埋め合わせるような働きをする。



「こちら屋外班、ターゲットは屋内演習場の前を通過」


「了解、くれぐれもターゲットに気付かれないように監視を続行しろ」


 建物の陰に身を隠して決死の監視を行うメンバーからの連絡が入る。それにしても全員なんだか無駄に練度が高い。頼朝たちやブルーホライズンのメンバーは2週間に1回程度伊勢原駐屯地で予備役として訓練に参加しているからまだわかる。だが他のクラスメートまでがまるでプロの諜報員張りに巧みに気配を隠して桜の行方を監視している。


 そしてついに桜の行方の重要な手掛かりになる情報がもたらされる。



「こちらは武道場前の監視班。ターゲットは武道場に入っていきました。繰り返す。ターゲットは、ウグッ…」


「しっかりしろ! 大丈夫か?」


 通信はそのまま途切れている。頼朝は即座に判断する。



「救護班、至急武道場に急行せよ! メーデー、メーデー! 救護班は武道場に急行。クソッ、救援がくるまで生きていてくれ」


 教室に待機していた救護班が大急ぎで武道場に向かう。その後ろ姿を見送った頼朝は聡史たちに向き直っている。



「残念だが犠牲者が出たようだ。だが彼らは最後まで任務を放棄しなかった。ボスの行き先は武道場だ。聡史、どうか尊い犠牲を無駄にしないでくれ」


「いやいや、どう見ても死んでいないだろう。仮に桜が襲ったとしても気絶程度で済ませるはずだ」


「今のところは何とも言えない。だが聡史、どうか頼む。ボスが何をしているのかその目で確かめてきてくれ」


「武道場だから、武道をやっているんじゃないのか?」


「それもわからない。だが何かしら大きな秘密が隠されている気がしてくる。聡史、どうか頼む」


「しょうがないな。じゃあちょっとだけ様子を見てくる」


 こうして頼朝の懇願に応えた聡史たちは、重い腰を上げて武道場へと向かうのであった。

 


二人っきりで武道場に消えた桜とその姿を追う聡史、この追跡劇の行方は…… この続きは出来上がり次第投稿します。どうぞお楽しみに!


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