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異世界から日本に帰ってきたらなぜか魔法学院に入学 この際遠慮なく能力を発揮したろ  作者: 枕崎 削節


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228/370

228 年下の男の子

桜たちの女子会は続きます。新キャラも登場して……

 酒盛りをしている男子たちが早々に酔い潰れて撃沈したのに対して、特待生寮での女子会はまだまだ続いている。


 桜のカマかけに引っかかった美鈴は依然顔を真っ赤にしたまま「なんでこんなことを口走ってしまったんだろう…」と心の中で自問自答している真っ最中。不意に彼女は立ち上がると、フラフラとした足取りでベランダに向かう。



「美鈴ちゃん、どちらに行くんですか?」


「ちょっと夜風に当たって頭を冷やしてくるわ」


 そう言い残して、美鈴はベランダに姿を消していく。残された四人は…



「美鈴さんが放心状態ですけど、大丈夫でしょうか?」


「カレンさん、そんなに気にせずとも問題ありませんわ。それよりもカレンさんはどうなんですか?」


「どうっていうと?」


「決まっているじゃないですか~。お兄様に対するお気持ちですわ」


 今度はカレンの顔が真っ赤になる番。特に彼女の場合は色白なので顔色の変化が実にわかりやすい。つい先ほどまでは青い顔をしていたのに、聡史と美鈴の間に大きな進展がないと聞いて一安心という心境。そんなところにもってきて桜からの前触れなしの直球についつい本音が顔色に出てしまっている。



「カレンさんはわかりやすいですよ~」


「本当に嘘がつけない人です」


 明日香ちゃんとクルトワがさらに煽り立てると、カレンは先程の美鈴以上の真っ赤な顔。誰にも見られたくないとばかりに両手で顔を覆ってイヤンイヤンしている。



「美鈴ちゃんもそうですけど、カレンさんも恋する乙女ですわ。天使と言えども恋の前には形無しですね」


「恥ずかしいから、何も言わないでください」


 カレンは消え入るような声で懇願するが、桜たちは「せっかくの女子会だから洗いざらい吐け」という悪代官のような腹黒い表情を浮かべている。



「ところでカレンさん、妹の私から見て現在のお兄様の心の中では、6対4で美鈴ちゃんが優勢という感じかと思われます」


「はい、私もまだ美鈴さんには追い付けないと自覚しています」


「ですがここが我慢のしどころですわ。徐々に差が詰まっているのは間違いありませんから」


「そうなんですか?」


 カレンは恥ずかしいのも忘れて、顔を覆っていた手をサッと外して桜の肩に掴みかろうかという勢い。本当にわかりやすい。



「ですがお兄様はガツガツ迫ってくる手合いの女性にはドン引きするタイプですからねぇ~。この辺の兼ね合いが実に難しいですわ」


「はい、私もそう感じていました。ですからあまり積極的にいくのはどうかと色々と迷っています」


「結構積極的な気もしますが… まあ、それはいいでしょう。ということで、カレンさんは今のままでいいと思いますわ。そっと陰からお兄様を支えるキャラという立ち位置を確立するのがよろしいかと思います」


「さ、桜ちゃん!」


 カレンはその身を思いっきり桜に向かってダイブして、彼女に抱き着いたまま離れようとしない。



「桜ちゃんのおかげで色々と迷っていたことが吹っ切れました。私は美鈴さんのように聡史さんと一緒に過ごした長い時間はありませんが、これからもずっと聡史さんを支えていきます」


「時々はアピールしてもいいんですよ」


「はい、その時は応援してください」


 涙をにじませながら満面の笑顔を浮かべているカレン。天使と言えど色恋沙汰に関して焦りや不安はあるらしい。だが桜の言葉で今まで霧がかかっていたような自分の進む道が一気に視界が開けた… そんな心地になっている。その時…



「はぁ~、やっと落ち着いたわ。あら、桜ちゃんとカレンは抱き合って何をしているのかしら?」


 ベランダで頭を冷やしていた美鈴が戻ってくる。



「美鈴ちゃん、カレンさんは手強いですわよ。先延ばししていたらあっという間にお兄様を攫われてしまいますから、どうか心して頑張ってくださいませ」


「そ、そんなことはわかっているわよ。ルシファーの名に懸けて聡史君は私のものにして見せるわ」


「美鈴さん、天使の名に懸けて私は堂々と勝負いたします」


 こうして改めて聡史を巡る両者の最終戦争の火蓋が… 切られなかった。二人はニッコリと微笑んで互いの健闘を誓いあう。かれこれ1年に及ぶ学院生活で美鈴とカレンの間にも確かな友情が築かれているのは言うまでもないだろう。



 という感じで美鈴とカレンの恋愛事情が落着したところで、改めて乾杯をして別の話題に移る。お返しとばかりに爆弾を投げつけたのは美鈴。



「ところで桜ちゃんには彼氏とか気になっている人とかいないのかしら? 私にあれだけ話をさせたんだから正直に白状しなさい」


「はぁ~… 私にそんな話題を振ってきますか。正直に申し上げますと、いません。というか、そのような殿方を作らないようにしています」


 真面目な顔で桜が答えているところに明日香ちゃんが割り込んでくる。



「そういえば桜ちゃんは、中学校の頃結構モテモテでしたよ~。男子が何人も告白してきたのに、誰とも付き合わなかったじゃないですか」


「そんな時代もありましたわね~。中学の頃は強くなりたい一心で武術の修行に明け暮れていましたから誰とも付き合わなかったんですわ。でも現在は少々事情が違います」


「桜ちゃん、どう違うというのかしら?」


 美鈴が首を捻っている。もう十分に強くなったのだから、今度は別の目標を掲げてもいいのではないかと… どうやらカレンも同調しているよう。



「いえねぇ~、調子に乗って強くなりすぎてしまったのですわ」


「ますます意味が分からないわね」


「一昨日自分のステータスを見たらレベルが700を超えていましたの。たぶん古代遺跡から出てきた変な形の戦車を倒した際に大量の経験値を得たのでしょう」


 ちなみに明日香ちゃんも一気に60以上レベルが上昇しており、200が目前となっている。太らずにデザート食べ放題になるのもあと一歩かもしれない。



「レベルが上がると何か不味い点でもあるのかしら?」


「美鈴ちゃん、問題はそこなんですわ。仮に私に好きな人が出来て感情に任せてその人にギュッと抱き着いたとしましょう。その結果として私の恋人は99パーセントの確率で胸椎粉砕骨折もしくは背骨が圧迫骨折しますわ」


「ああ~」(遠い目)


 桜の話でこの場の全員が理解している。確かにその通りだと。人外の力を身につけた者の苦悩と呼ぶべきものがここにはある。桜も人知れず苦労しているのだと、他の女子たちにもようやく伝わったよう。



「美鈴ちゃんやカレンさんはお兄様がいるから幸せですわ。お兄様は頑丈ですから相当な無茶でも壊れません。お二人をしっかり受け止めるにはうってつけの存在だと思います。たぶんお兄様ならどんな状況であっても、この世でただひとり私の力を受け止められるでしょう。けど、私には… 何しろ血の繋がった兄ですからね~。恋愛対象としては論外のさらに外ですわ」


 達観した表情で淡々と語る桜。その様子に女子たちの同情が集まる。普段は力をセーブできても、誰かを好きになって感情的になった結果無意識にその人物に自分の力を向けてしまったらどうしようと桜は恐れているらしい。それだけ臆病になっているともとれる発言だろう。



 ちょっと場が沈んだ雰囲気に包まれる。だが桜はこの空気を良しとはしない。自分のせいで落ち込んだムードを打開するため、今度は明日香ちゃんに話を振る。



「明日香ちゃんは浮かれた話はございませんの?」


「特にないです。スマホのアドレス帳にある男性は父親と弟と岡山室長だけです」


「クラスの男子からアドレスを聞かれませんの?」


「一度も聞かれた記憶がありません」


 どうやら明日香ちゃんは強烈な日照りの真っただ中にあるよう。大干ばつで空前の大飢饉が起こりそうな強烈な日照りがここ10年は続いている。



「ちなみに明日香ちゃんは男子とお付き合いしたことは?」


「小学校の時に仲が良かった子はいますが、最近は音信不通ですよ~」


 やっぱり乾燥した大地に潤いをもたらす恵みの雨が降る気配は1ミリもなさそう。このままでは明日香ちゃんが干からびてアジの開きになってしまう。顔立ちはそこそこ可愛いのに、頭の中がお花畑なツケかも知れない。


 またまた雰囲気が暗くなったので桜はクルトワに話を向ける。



「クルトワさんは、どなたか気になる方がいるんですか?」


「えっ、ええ! そ、その…」


 急にモジモジして体をくねらせるクルトワ。明らかにその態度は怪しい。



(ええええ、クルトワさんに何かあるんですかぁぁぁ!)


(男が出来たの?)


(わかりやすすぎですわ)


(クルトワさんったら、可愛い)


 四人ともクルトワに何が起きているのかすでに把握済み。あとは追及あるのみという表情を浮かべる。



「さあ、クルトワ! 大魔王の命令よ。誰とどうなっているのか、この場で全て白状しなさい」


 美鈴が権力の行使に打って出ている。個人の秘密を大魔王の権限で吐かせるなど、とんでもない暴君の誕生だろうに。



「美鈴様、どうかそれだけはお許しを」


「ならぬ、この場で全てを白状いたすのだ」


「無理でございます」


「そのような頑なな態度… ならばよい、一切話をするな」


「いえ、美鈴様。どうか話をさせてください」


「「「「結局、喋りたいのかよ!」」」」


 クルトワと美鈴の間でどうでもいい茶番が繰り広げられている。実はこのクルトワという娘は、自分から話をしたくてしょうがないよう。ここまで他の参加者の話の聞き役に回っていたが、今度こそ自分の順番と張り切っている。だが一応は魔王の娘としての嗜みで一度目は断るのが礼儀と教えられている。そんなクルトワの思わせぶりな態度に女子四人からの総ツッコミが入るのは致し方ないだろう。



「え~とですねぇ… アライン砦で桜ちゃんたちに助けられまして、こうして魔法学院に入学させてもらいました」


「確かにその通りですわね」


「それで、しばらくの間レイフェンたちと一緒にダンジョンに入っていたのですが、彼らも臨時講師の仕事で忙しい日もありましてですね…」


 ちなみにフィリップとエリザベスはそれぞれ魔族の親衛隊長と宰相としての職務を与えられているが、レイフェンは現状では何の役職がないままにナズディア王国に留め置かれている。後々正式な国交を結んだ際に彼はナズディア王国大使として日本に赴任する予定となっている。



「ダンジョンに入れない日が何日かありまして、暇を持て余して食堂でパフェを食べていた時、ひとりの男性に声をかけていただきまして…」


「ふむふむ」


「その方に誘われて何度かダンジョンに一緒に入りました」


「いい感じに展開しているわね」


「それで今は、毎日メールのやり取りをしています」


「そうなの。で、その人は誰かしら?」


「Aクラスの浜川様です」


「ん?」


「浜川様です。美鈴様と同じクラスの」


「「「「…… ええええええぇぇぇぇ!」」」」


 四人の声が揃っている。クルトワの口から飛び出てきた男子生徒の名前、浜川茂樹とはもちろん勇者のこと。



「クルトワもよりによって一番ややこしいカードを引き当てたわね」


「美鈴様、それはどういうことでしょうか?」


「知らなかったの? 浜川茂樹は勇者よ。魔族にとって天敵とも呼べる存在ね」


「ええぇぇ! 全然知りませんでした」


 今度はクルトワがビックリしている。どうやらまったく気づいていなかったらしい。確かに「俺は勇者だ」と出会った人間に触れて回る人物はちょっと痛いであろう。茂樹の名誉のために言っておくが、彼はそのような人柄ではない。というよりも1年生の頃から比べるとその人間性が格段に成長している。


 振り返れば、美鈴の命によって魔族は人間との敵対を止めた。だが過去の歴史で語られる勇者は魔族の世界では極悪人そのもの。中には災厄とまで呼ばれる勇者も存在する。つまり勇者というだけで、ナズディア王国ではあからさまに敵意を向けられる可能性が高い。



「クルトワはどうしたいの? 仮に勇者と恋愛するとか結婚するとかなったら魔王の娘にとってはイバラの道が続くわよ」


「どうしましょうか… 突然なので、今はよくわかりません」


「混乱するのはもっともでしょうけど、その辺の事情は魔王の娘としてよくよく考えてね」


「わかりました」


 クルトワの目からは涙が溢れている。ついさっきまではあれほど嬉しそうだったのに、浜川茂樹が勇者だと聞いて地獄の底に突き落とされたような心境に違いない。



「クルトワさん、そんなに思い詰めないでください。明日私がパフェをおごります」


「明日香ちゃん、ありがとうございます」


 クルトワは明日香ちゃんに抱き着いてそのまま大泣きを始める。明日香ちゃんはクルトワを抱き止めながら優しく語り掛ける。小難しいことを何も口にしない明日香ちゃんの性格がクルトワの救いになっているよう。



「今日は私のベッドで一緒に寝ましょう。いっぱい泣いても大丈夫ですから」


「はい」


 こうしてクルトワは、明日香ちゃんに抱えられたまま部屋に姿を消していく。残された三人は…



「私たちは恋愛に関する課題がてんこ盛りじゃないですか」


「これだけ色々出てくるとは思わなかったわ」


「一番平和なのは明日香ちゃんでしょうか?」


 聡史と美鈴とカレンの三角関係、桜の諦めにも似た境地、明日香ちゃんの大日照り、クルトワの道ならぬほのかな想い… 色々抱えたまま、この日の女子会はお開きとなるのであった。




   ◇◇◇◇◇




 翌日のEクラス… 昨夜飲み会に興じた男子たちは聡史を除いて例外なく二日酔いの表情で机に突っ伏している。



「お兄様、信長たちは具合が悪そうですが、一体どうしたのでしょうか?」


「桜、信長ではなくて頼朝だぞ。奴らは飲みすぎで二日酔いになっている。昨日男子寮で飲み会だったんだ。俺も呼ばれたぞ」


「まあ、そうでしたの。男の付き合いというやつですわね」


「午後には元気になるだろう」


「アルコールを排出する意味で本日の自主練はたっぷり汗をかいてもらいましょう」


 このような会話が兄妹の間で交わされているとも知らずに、授業が始まっても頼朝たちはダウンしたままという体たらくぶりを晒し続ける。



 この日の放課後、Eクラスの面々はいつものように自主練で第3訓練場に集まっている。二日酔いだった頼朝たちも昼までには何とか立ち直って、現在桜にシゴかれている最中。


 全員が手にする武器を振るって真剣におのれの技量向上を目指す最中、訓練場の内部を覗く人影がある。ややおずおずした態度で首だけを壁から出して、Eクラスの自主練の様子を窺っている。


 やがてその人影は思い切ったように一歩内部に入って、そこからは駆け足で頼朝たちが汗を流す場所へと向かっていく。そして大声で…



「桜ちゃん!」


 その声にフィールドで汗を流す全員が振り返る。そして当の名前を呼ばれた本人といえば…



「誰かと思ったら学君じゃないですか~。学院に入学していたなんて全然知りませんでしたわ」


 今まで鬼の形相をして頼朝たちを空高く舞い上がらせていたにも拘らず、急に表情を緩めてその人影に向かって走り寄る。桜を呼んだこの人物は中本学、この4月に入学した1年生。



「桜ちゃんと一緒に色々と学びたくて、頑張って試験に合格したんだ」


「そうなんですか。嬉しいですわ」


「でも入学してからずっと桜ちゃんの姿が校内のどこにも見当たらなくって。桜ちゃんの担任の先生にも聞きに行ったりしたんだけど、行き先は教えてもらえなかったんだよ」


「ああ、3月からずっとよそのダンジョンに遠征していましたからね~。戻ってきてまだ10日程ですから」


「そうだったんだ。僕もこのところ授業についていくのがやっとで、今日は久しぶりにちょっと時間の余裕があったから、桜ちゃんがいるかなと思って見に来たんだ」


「メールをしてくれればよかったのですわ」


「いや、自分で桜ちゃんを探し出したかったんだ。そのほうがビックリするでしょう」


「確かに驚きましたわ」


 再会を喜び合う桜と学。すっかり二人の世界に入り込んで周囲の目など眼中にない。そして二人を取り巻く周囲はといえば、全員がポカ~ンと口を開いてフリーズしている。


 ちなみにこの学という生徒、身長は160センチで体格も細身。見ようによっては女子と間違えてしまうくらいの色白で可愛い顔立ちをしている。こうして魔法学院の制服を着ていなければ、大抵の人間が中学校に入学したばかりの男子と間違いそうだ。


 

「それで桜ちゃん、再会したばかりで急だけど、前みたいに僕と付き合ってもらえますか?」


 ピシッという音を立てて訓練場の空気が凍り付く。全員が耳をダンボにして桜の返答に集中する中…



「ええ、いいですわ」


 フィールドにいる全員の脳内が大パニック。まさか桜の口から承諾の返答が飛び出すとは…



「良かった~。断られたらどうしようってすごくドキドキしていたんだ」


「私が学君に対してそんな態度を取るはずないですわ。さて、ここではゆっくりお話しできませんから、もっと静かな場所へ行きましょうか」


「いいの? 訓練中じゃないの」


「大丈夫ですわ。私がいなくてもしっかりと自分たちで訓練できますから。ポチとタマ、ちょっと席を外しますから、夕食の時刻になったら食堂に来てください」


「主殿、承知いたしました」


「主殿の背の君かえ? 中々に睦まじき様子なのじゃ」


 見送る天狐と玉藻の前にも振り返らずに、桜は学の手を引いて訓練場を後にするのだった。





   ◇◇◇◇◇






 桜が立ち去ってからしばらくして、ようやく凍り付いていた訓練場の空気が元に戻ってくる。それと共に全員の脳みそが徐々に回り出す。一番最初に声を発したのは桜と学の遣り取りを間近で見ていた頼朝。



「な、なんだか物凄い光景を見てしまった気がする」


「まさかボスに告白する命知らずが現れるとは」


「ボスも人並みに好きな人がいるなんて、ある意味ショックだな」


「なんだかボスが遠い存在になっていく」


 口々に今目のあたりにした出来事を振り返っている。女子に告白する勇気のない男たちの中には、違う意味で学に尊敬の念を抱く者も出る始末。



 頼朝たちが、あーでもない、こうでもないと、今起きたばかりの衝撃映像の感想を述べあっていた頃、聡史の周りには美鈴、カレン、明日香ちゃん、クルトワが集まってくる。



「桜ちゃんは一体急にどうしたのかしら?」(美鈴)


「昨日は『誰とも付き合えない』的なことを言っていたのに、1日であっさり撤回なんですか?」(明日香ちゃん)


「でも見るからに仲がよさそうですね」(カレン)


「ビックリしました。私もあんな感じで告白してもらいたいです」(クルトワ)


 何とか衝撃から立ち直って思い思いに心に浮かんだ感情を口にしている。何しろ昨夜の女子会で色々とぶっちゃけていただけに、昨日の今日で頭が追い付いていかない様子。そこに聡史がやや冷静に言葉を挟む。



「あの1年生、何度か会っているな」


「聡史君も? 私は小学校の時に見覚えがあったかしら」


「美鈴さんもですか? 私は中学の時… 何回か教室に来て、桜ちゃんと話をしていた男子だと思いますよ~」


「確か家にも何度か来ていたな。あの子が来た時だけは、桜が『絶対に開けるな』といってドアを閉め切って部屋に二人っきりで何かやっていたぞ」


「それって中学校の時の話でしょう。桜ちゃんが男子を部屋に引き入れて… ま、まさか」


 それぞれの脳内で多種多様な妄想が生じる。それよりも聡史たちの話を総合すると、学という少年はどうやら桜とは小学校から一緒の1年下の男子らしい。


 聡史すら詳しい事情を知らないこの1年生に、一同は「何がどうなっているんだ?」とEクラス全員を巻き込んでそれからしばらくの間議論するのであった。

桜に恋人か? 衝撃の展開は一体どうなる…… この続きは出来上がり次第投稿します。どうぞお楽しみに!


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[一言] なるほど学くんは女の子だな
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