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異世界から日本に帰ってきたらなぜか魔法学院に入学 この際遠慮なく能力を発揮したろ  作者: 枕崎 削節


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225/370

225 学院長はお断り

いよいよ教団の本部に……

 美鈴とカレンを乗せたワゴン車は外環道を順調に進んで、午後5時には立川駐屯地に到着する。ここで教団に踏み込む用意が整うまで待機する予定となる。


 軽食を取ってから、与えられた部屋でしばしくつろぐ二人。だがカレンの脳裏には再度色々と確認しておこうという事項が次々にひらめいてくる。



「美鈴さん、念のため言っておきますが、今回はブラックホールとかメテオバーストは自重してくださいね」


「あら、大魔王らしく派手にいきたいのに、なぜ自重しないといけないのかしら?」


「都心から離れた場所とはいえ、周辺には何十万もの住民が住んでいるんですから。それに聡史さんのご実家だって巻き込まれる恐れがあります」


「カレン、冗談よ。周辺の街は私にとっても馴染み深い場所土地だから、跡形もなく更地にするなんて真似はしないわ」


「美鈴さんが真顔で言うと、冗談には聞こえませんから」


「もう、生真面目な天使は融通が利かないわね」


「ルシファーの冗談なんて、とんだブラックユーモアですよ。大事なことなので二度言いますけど」


「はいはい」


「ですから今後は、真顔の冗談も自重してください」


「不便なものね。それよりも現場での担当はどうしようかしら?」


「いつものように美鈴さんがアタックで、私が安全地帯の構築でいいんじゃないですか」


「そうね。敢えて奇をてらう必要もないだろうし、その分担でいきましょう」


「私たちは立川駐屯地の隊員が配置につき次第襲撃を開始します」


「まだあと2時間くらいはこの場で待機になりそうね」


「今から臨戦態勢に入っても気疲れするだけですから、もうしばらくここでゆっくりしましょう」


 この二人が一緒にいる時の互いの関係は、美鈴が指揮官でカレンが参謀役といった感じだろうか。もちろん美鈴だって細かい部分を詰めていくのは得意。そうでなければ生徒会など務まらないであろう。だがカレンの性格であろうか… 作戦の細部に渡って把握して、くれぐれも間違いがないように気を配っている。学院長が今回の襲撃にこの両者を敢えて選んだのは、この組み合わせの妙を考慮した上だったのかもしれない。



「そうでした、もう一つ大事なことを確認し忘れていました」


「まだ何かあったかしら?」


「逆スパイとして潜入させた元信者の生徒が先日から学院に姿を見せていません。彼らの安否の確認と可能でしたら身柄を取り戻せるようにお願いします」


「善処するわ。仮に戦闘に巻き込まれてその生徒たちが命を落とすような場合でも、原形を留めていればカレンの力で復活は可能よね」


「美鈴さん、さすがに『原形を留める』という表現はどうなんでしょう。物ではありませんよ」


「つい口が滑ってしまったわ」


「そのような口調が続くようだと、あと20年もすれば立派な母の跡継ぎになれそうですね。学院長の座が手招きしています」


「そ、それは勘弁してもらいたいんだけど…」


 やや美鈴の態度に動揺の跡が見られる。ギリギリで余裕を保つも、かなり拙かったと自覚しているよう。そこにカレンの追い打ちが…



「いいえ、たぶん母の気持ちの中では、すでに内定を出している段階ではないかと」


「スイマセンデシタァァァ! 調子に乗りましたぁぁ! 心から反省しています。学院長の跡継ぎなんて考えるだけでもゾッとします。絶対ムリだから、どうかオネガイシマス」


 座っていたソファーから飛び降りて、床にジャンピング土下座を決める美鈴。床に頭を擦り付けて誠心誠意カレンに謝り倒している。いくらルシファーさんを内包する大魔王でも「学院長の跡継ぎ」というのは絶対に回避したいたい案件のよう。ブルブル震えながら天使に向かって手を合わせる大魔王という、とっても珍しい光景が出来上り。美鈴的に学院長がどのような位置づけにあるのか理解できる一幕だろう。


 すっかり余裕を失って視線を宙に彷徨わせる美鈴と、鬼の首を取ったかの表情のカレン。指揮官と参謀の立場がきれいに逆転した瞬間が垣間見られる。



「美鈴さんは生徒会の副会長という立場もありますから、発言にはくれぐれも注意してください。些細なことで揚げ足を取ろうとする人間もいますから」


 カレンはカレンで、美鈴にトドメをさすのに余念がない。その表情は美鈴をうまくやり込めて会心のドヤ顔を決めている。天使としては、時にこうして大魔王を悔い改めさせる必要があるのだろう。



「反省しております」


 いまだ土下座したままでひたすら低姿勢に努める美鈴。彼女とて完璧ではないとカレンは知っている。同じ部屋で生活しているうちに、意外とアタフタする場面を何度も目撃している。もっとも同じルームメイトの明日香ちゃんなんか四六時中アタフタしていて普通にしている時間の方が少ない。


 ともあれ素の美鈴は一皮剝けば完璧超人には程遠い17歳の女子であった。





   ◇◇◇◇◇





 午後11時。ようやく教団突入の準備が整う。自衛隊員の配置は予定通り午後8時までに完了していたのだが、何しろ周辺道路の交通量が多い。封鎖に手間取ったおかげで、この時間まで大きくズレ込んでいる。



「封鎖完了」


「了解しました」


 カレンのヘッドセットに通信が飛び込んでくる。



「ようやくね。ずいぶん待たされたわ」


「美鈴さん、くれぐれも周辺被害が出ないようにしてください」


「大丈夫よ。それじゃあ、行きましょうか」


 迷彩柄の戦闘服に身を包んだ二人が教団の正門に向かって歩き出す。いくら郊外とはいえ小学校の敷地並みの土地を構えている点は、教団の資金力を窺い知ることができる。


 周囲は高いフェンスで囲まれており、正門は頑丈そうな金属製の門扉に閉ざされている。さすがにこの時間ともなると外部からの訪問お断りという体で内側から施錠されている。



「せっかく施設見学をしてやろうというのに、来客を迎えるおもてなしの心に欠けているわ」


「迷彩服でやってくる客なんて99パーセントの人は歓迎しないと思います」


 美鈴のボケに冷静に突っ込むカレン。とはいえこのままでは内部に侵入できない。



「重力軽減」


 美鈴は自身に掛かる重力を5分の1まで下げると、地面を踏み切って華麗にジャンプする。フワリと2メートル以上はある門扉を飛び越えようとした時…



 ガッシャーン


 足が最上部に引っかかって、バランスを崩しながら美鈴の体は門の向こう側に消えていった。



「美鈴さん、大丈夫ですか~」


「はぁ~、ビックリしたわ。ちょっとお尻を打ったけど、重力が低かったから大したことないみたいね」


「気を付けてくださいね。大きな音を立てたから気付かれたかもしれません」


「もうちょっと運動能力を上げる必要性を感じたわね。柄にもないことをすべきじゃなかったみたい」


 美鈴は立ち上がって、門扉に差し込んであるかんぬきを外す。その時…



「一体こんな時間に誰なんだ?」


「とにかく音の原因を確認するぞ」


「もしかしたら侵入者かも知れないからな」


 物音を聞きつけたのであろう。薄暗い敷地の奥から数人の男が正門に駆けつけてくるのが見える。だがその様子からして、美鈴の目には素人同然に映る。こんな大きな話し声を立てながら近寄ってくるなんて、標的にしてくださいと言っているのも同然だろう。


 そして彼らは、敷地の内部に立っている美鈴の姿を発見する。



「侵入者だぁぁぁ!」


「警備本部に連絡しろぉぉ!」


 こうして美鈴は、7、8人の男たちの取り囲まれてしまう。



「新世紀創造会の皆さん、今夜は月も出ていないいい夜ですね」


「お前は何者だ?!」


「暗黒と深淵の支配者と申し上げておきましょう」


 なんという厨2病的な発言。だが、これは一応事実。そんな香ばしい発言をかます美鈴の背後からカレンの声が響く。



「美鈴さん、そんな厨2病全開にしていないで、早くカギを開けてもらえますか」


「カレン、もう開いているから入っていいわよ。すでに囲まれているけど」


「もう、美鈴さんが音を立てるから、こっそり忍び込む作戦が台無しじゃないですか」


 と言いながらカレンが門扉に手を掛ける。指先を軽く横に動かしただけで、何百キロもありそうな門が障子を開け閉めするがごとくにガシャーンという音を立てて横に大きくスライドしていく。



「カレン、そんなに音を立てるのは禁止よ」


「今さら何を言っているんですか。それに私は大した力も込めていませんから」


 そう、カレンはほんのちょっと指先に力を込めただけに過ぎない。だが覚えているだろうか。彼女には「女張飛」というニックネームがあるのを。その後天使の能力が覚醒してあれやこれやで、今やその腕力は大変なことになっている。先日腕相撲でカレンに3連敗を喫した聡史が涙目になっていた。あとは絶対女王の桜を負かせば、学院の腕相撲チャンピオンの座を獲得できる。



 ともあれ二人揃ったところで改めて美鈴がご挨拶。先程カレンから注意を受けているだけに、いつもの上から目線は封印している。



「改めて新世紀創造会の皆さんにご挨拶しましょう。あなた方にとっては地獄の使者がまいりました」


「美鈴さん、私まで地獄のメンバーに巻き込まないでもらえますか」


 天使という立場上カレンが抗議をしている。地獄仲間に加えられるのは彼女にとってよろしくないよう。それにしてもカレンの今日のツッコミスキルは抜群の切れ味を見せる。



「怪しい女だな。捕らえて事情を話させるぞ」


「おう」


 男たちは美鈴のボケとカレンのツッコミに付き合うつもりはないよう。相手が女二人という油断もあって不用心に接近してくる。そこに…



「エアーウエイブ」


 空気の大波が男たちの体を宙に浮かせて、そのまま地面に叩き付けていく。ほとんどの者が背中から地面に落ちており、呼吸ができない苦しさにゼイゼイ喘ぎだす。



「包囲部隊、正門確保しました。8名拘束願います」


「了解。すぐに向かう」


 カレンの報告によって教団施設周囲に待機していた自衛隊員がわらわらと正門内部に入り込んでは、正門の確保と倒れている男たちの拘束を開始する。その様子を見届ける暇もなく、美鈴とカレンは敷地の奥に歩を進めていく。その先には…



「お前たちは何者だ」


「この先には一歩も入り込ませないぞ」


 どうやら先程の男たちから連絡を受けた一団であろう。だが最初の男たちとは様子が違う点を美鈴の目は読み取っている。その違いとはこの一団全員の体に流れる魔力。その上門に集まってきたのが男だけであったのに対して、こちらには三人の女性の姿もある。



「まあ、そこそこ訓練しているようね。あなた方の魔法がどこまで上達しているのか、私が試験監督を務めてあげるわ。好きなだけ撃ってみなさい」


 上から目線が復活した美鈴さん。カレンには「まだいいから」と目で合図をして、居並ぶ教団の魔法使いたちを見つめる。



「怪我をさせないように取り押さえろ。魔法の出力に注意を払うんだ」


「「「「はい」」」」


 リーダーと思しき人物が指示を出すと、全員が一斉に魔法を撃ち出す態勢に移行する。中々統率が取れた動きのように見受けられる。



「もう一度警告する。脅しではないからよく聞け。手を挙げて降伏しろ」


「返事はこれよ」


 美鈴は右手の中指一本だけ立てて、リーダーに向けて突き出す。その表情はどこまでも不敵で、リーダーからするととんでもない侮辱と恐れを知らない大胆な態度に映る。



「降伏するつもりはないんだな。やむを得ない、撃て」


 リーダーの周囲に立つ魔法使いの手から一斉に風魔法が放たれる。それも相手を風の勢いで飛ばして動けなくする… つまり先程美鈴が正門で用いたのとまったく同じ攻撃魔法。



「あら、感心ね。こんな術式をどこで覚えたのかしら?」


 もちろんこの術式は美鈴が日本語訳して学院の内部に限定して公開した魔法。美鈴は情報を漏洩した犯人に心当たりがある。例の信者であった生徒たちだろう。ということは、ほぼすべての初級魔法がこの教団の魔法使いは使用可能ということに他ならない。


 美鈴に向かって飛んでくる透明な空気の波は、無詠唱で展開された魔法シールドに阻まれて彼女の元に届くことはない。この様子に…



「馬鹿な、これだけの人数の魔法を撥ね返すというのか」


 リーダーの口からは呆れた声が漏れ出てくる。彼は完全に「これで終わりだ」と思っていただけに、これほど精度の高いシールドを見せつけられて考えを切り替えざるを得ないよう。



「試験官がわざわざ的になってあげているのだから、もうちょっと本気を見せてもらいたいわね」


 華麗な上から目線が完全復活した美鈴はなおも挑発を続ける。その意図は、教団の魔法使いがどの程度まで魔法の練度を上げているのかを知りたかったため。



「全員本気で魔法を撃て。多少の怪我はこの際仕方ない」


 再び魔法の乱れ撃ちが開始される。今度はそれぞれの魔法使いが最も得意な属性魔法が20発以上撃ち込まれてくる。濛々と立ち上る煙が晴れて警備役のリーダーの目に映ったのは…



 何の影響も受けずに立っている美鈴とカレンの姿。



「あなたたちの魔法は概ね把握したわ。それではしばらくの間大人しくしてもらいましょうか。グラビティ・プリズン」


「「「「グワァァァ!」」」」


「いやぁぁ、助けてぇぇぇ!」


 ちょっとキツ目の4Gの重力がもれなく魔法使いたちに襲い掛かり、全員が崩れるように地面に這いつくばる。いつもならここでヘルファイアーによって灰になるまで燃やしてしまうところだが、後ろで見ているカレンが「ダメ、絶対!」という目をしている。



「カレン、こんな感じでいいかしら?」


「はい、美鈴さんにしては上々の自重具合でした」


「失礼ね。私はいつだって丁寧よ」


「いつもはご丁寧に灰になるまで燃やしていますよね」


 無線で新たな自衛隊の中隊が呼ばれて魔法使いたちを拘束していく。彼らは全身の筋肉がギシギシ音を立てるような悲鳴を上げており、この場から一歩も動けない状況。かといって下手にカレンの力で治癒を行えば、再び魔法を放つ危険があるのも事実… よってこのまま教団施設内のホール制圧後にそちらに運び込むこととなる。それまでは全身を襲う強烈な筋肉痛や肉離れと戦ってもらいたい。


 その後美鈴とカレンは建物の内部に踏み込んで次々に抵抗を排除していく。教団本部に詰めている警備担当の信者は約百名に及ぶ。通常であったらこれだけの魔法戦力相手の制圧の際には相当数の犠牲者が発生してもおかしくない。だが美鈴とカレンにとっては赤子の手をひねるが如くの造作もないお仕事。


 そして建物の上層階にある幹部たちがいる場所も抑えると、残すは教主だけとなる。



「そういえば、元信者の学院生の姿がどこにもありませんね」


「こことは別のどこかにいるのかしら」


 そんな話をしているうちに、建物の5階の突き当りに到着。



「ここが教主の部屋ね」


「幹部に対する尋問によれば、間違いなさそうです」


 他の部屋とはずいぶん違う豪華な造りのドアに手を掛ける美鈴。カギは掛けられておらず、ゆっくりとドアノブが回る。



「貴様ら、このような無法を働いて無事に済むと思うな」


 室内に踏み込んだ二人に向かって、デスクに着いている男が声をあげる。教主というからにはそれなりのカリスマ性があるのかと思っていたが、この場にいる男は極々平凡に映る。何分2代目なので、先代教祖のカリスマ性は引き継いではいないよう。



「治安維持並びにテロ活動防止法によって、自衛隊による制圧許可が出されています。大人しく同行する意思はありますか?」


「法律などどうでもよい。我らに加護を与える神々の罰が下るぞ」


 冷静に問い掛けるカレンの声に聞く耳を貸さない教祖。だが彼が発した「神々の罰」という言葉に敏感に反応したのは、ここまでずっと眠りこけていたルシファーさん。素早く美鈴の意識の表層に浮かび上がると、いつものように濃厚な神威を振り撒きだす。



「下らぬ羽虫が、どの口で神罰を語っているのだ?」


 あちゃ~… という表情を浮かべるカレン。せっかくここまでひとりも犠牲者を出さずに制圧したのに、最後の最後で嫌な予感が頭の中を駆け巡っている。


 一方の教祖といえば、ルシファーさんの神威に怯えて歯の根が合わなくなる勢いでガタガタ震え出す始末。完全に追い込まれている様子が手に取るようにわかる。このままにしておけないカレンは、ルシファーさんに意見を申し出る。



「恐れながらルシファー様、このようなつまらぬ人間に対して直々に尊きお声を掛けるのは無駄でしょう。この場は私にお任せくださいませ」


「うむ、良かろう。そなたに任せるとしよう」


 ということで、ここから先はカレンが引き受けて尋問開始。ルシファーさんによる破滅的な破壊がひとまずは回避されて、カレンはやや緊張を緩める。



「外国人が出入りしていたようですが、目的は何ですか?」


「せ、政府転覆を狙ったテロを起こそうと武器を準備していた」


「武器の隠し場所は?」


「横浜の本牧埠頭にある倉庫」


 こんな感じで、洗いざらい白状させられた教主。この二人に掛かったら、もう何の抵抗もできない様子。そして最後に…



「本物の神の威光を浴びた感想はいかがですか?」


「わ、私には無理だ。もう耐え切れない」


「それがあなたの人間としての限界です。イエスやブッダのようにはなれないと自覚しなさい。ということで、潔く教団の解散を宣言してください。さもないと、この場で処分させていただきます」


「な、何でも言うことを聞く。だからもう許してくれ」


「わかりました。では信者の前で教主を辞めて教団を解散すると宣言してください。逮捕はされますが、情状酌量の材料となります」


「わかった。従う」


 ということで、現在本部にいる信者全員を集めたホールに連行されて、教主は辞職と教団の解散を宣言する。ちなみに美鈴がルシファーさんに乗っ取られたままでホールに赴いたせいで、会場には大パニックが発生した模様。だがおかげで全員の洗脳が解けて、教義の矛盾やこれまで教団に搾取されてきた経緯に気付く。どうやらほとんどの人間がこれ以上信仰を続けるのは無意味であると考えているよう。


 まあこれが本物を間近で目にした人間の普通の姿勢であろう。全員が床にひれ伏した光景を眺めると、ルシファーさんは満足したように一つ頷いて帰っていった。





   ◇◇◇◇◇





 さて教団は解散したものの、数百人もの魔法使いを野放しにはできない。その上信者の中には住む家を解約したり売り払ったりして、住み込みで教団で活動している人間もいる。このまま追い出したりしたら、彼らはホームレス生活まっしぐらであろう。政府としても当面は教団施設での生活を認めざるを得ない。


 とはいえこのままにはしておけないのも事実。ダンジョン対策室が下した結論が後日公表される。新世紀創造会は宗教とは全く関係のない新たな組織として生まれ変わることとなる。


 新組織は〔魔法アカデミー〕という民間の魔法使い育成専門学校のような体裁となって、魔法技能を学びたいと希望するが学院の受験資格がなかったり不合格になった若者の受け皿として再スタートが切られる。


 その新体制のスタートの日、園長室ではこのような会話が交わされている。



「なんで私が園長を務めるのよ?!」


「美鈴さん、元信者の皆さんは美鈴さんの言うことしか聞いてくれませんから。それに私も副園長に就任させられています。もう諦めてください」


「カレンは本当にいいのかしら? 自由な時間が減っていく一方なのよ」


「それも諦めています。それよりも美鈴さんにとっては、将来私の母の跡を継いで学院長を務めるにあたってのいい経験ですね」


「絶対にお断りよぉぉぉぉぉ!」


 ということで美鈴とカレンには、魔法学院の生徒、自衛隊の予備役将校に加えて、新たな肩書が付与されたよう。もちろん常駐するわけではなくて月に3回ほど顔を出すだけなのだが、二人とも園生からは絶大な支持を集めるようになっていく。


 そして1年後には、魔法学院に匹敵する優秀な魔法使いを輩出する機関として人々の注目を集めるようになるとは、この時二人とも知る由がなかった。





   ◇◇◇◇◇





 話は戻る。


 美鈴たちが新世紀創造会の本部を急襲した同じ日の深夜、この場所は横浜の本牧埠頭。いくつもの倉庫が立ち並ぶ人気のない区域を歩く影がある。


 その人物は、似たような倉庫が並んでいる中で、目標が最初から分かっているよう。



「ここだな」


 倉庫の扉の前に立って、ひとしきり何かを考える様子。だが意を決して中に入ろうと、扉に手を掛けるのであった。


埠頭の倉庫に姿を現したのは一体誰?…… この続きは出来上がり次第投稿いたします。どうぞお楽しみに!


読者の皆様にはどうか以下の点にご協力いただければ幸いです。


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