↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オジさんに恋した三神さん ~45歳の鉄壁インフラエンジニアは、25歳ギャルからの恋心を「システム障害」と言い張って認めない~  作者: Jin-生-Kaiki
要件定義1:恋心は『システム障害(バグ)』!?鉄壁の防壁とギャルによる侵入テスト

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/39

Logfile_008:パーソナルスペースのファイアウォール

 「あー、やっぱり疲れた時は微糖じゃない甘いカフェオレに限るよね~」


 休憩室の自販機で紙パックのカフェオレを買い、ストローを刺したその時だった。


 「……」


 「……えっ。お、御八代さん!?」


 休憩室の奥、窓際にある丸テーブルの席。

そこには、片手にブラックの缶コーヒーを持った御八代さんが、ボサボサの黒髪を揺らして静かに佇んでいた。


 (ウソ、どうしてここに!?今日の午前中はインフラチーム忙しそうだったのに!)


 あたしが固まっていると、後ろから来た莉奈と栞が「うわっ、本当にいるし」「……鉄壁のインフラさんだ」と小声で囁き合った。御八代さんはあたしたちに気づくと、黒縁メガネの奥の瞳を僅かに見開いた。


 「……三神さん。奇遇ですね」


 (奇遇……ってことは、偶然!?運命じゃん!)


 テンションが急上昇したあたしは、莉奈たちが止めるのも聞かず、御八代さんのテーブルへと小走りで駆け寄った。


 「お疲れ様です!御八代さんも休憩ですか?」


 「……ッ」


 あたしが笑顔で距離を詰めた瞬間。

御八代さんは、まるで磁石の同極同士が反発するかのように、無言でスッと一歩後ずさった。


 「え?」


 「……三神さん。これ以上、パーソナルスペースという名のファイアウォールを破らないでいただきたい。」


 「ふぁいあうぉーる?」


 「……セキュリティ上の問題です」


 御八代さんは真顔のまま、あたしとの間にきっちり『1メートル』の絶対領域保っている。


 (な、なにそれ……距離感バグってるけど、警戒してる小動物みたいで可愛い……っ!)


 あたしはさらにキュンとしてしまい、少し首を傾げて上目遣いで彼を見た。


 「でも、少しお話しするくらい、いいじゃないですか。昨日のスーツ姿、本当に似合ってましたよ」


 「……っ!」


 その瞬間、御八代さんの表情は一切変わらなかったが、ブラックの缶コーヒーを握る太い指先に、ギリッ、と異常な力がこもったのが見えた。


 「……レスポンスタイム遅延。心拍数、エラー値に到達。……検証、失敗。データの収集を中断し、直ちにロールバック(撤退)する」


 「えっ?御八代さん?」


 「……失礼。サーバーの再起動が必要です」


 御八代さんは早口でよく分からないIT用語を並べると、あたしに背を向け、逃げるように休憩室から去っていった。


 残されたあたしは、その後ろ姿を見つめながら、ポツリと呟く。


 「……もしかして、照れてた?」


 




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。