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オジさんに恋した三神さん ~45歳の鉄壁インフラエンジニアは、25歳ギャルからの恋心を「システム障害」と言い張って認めない~  作者: Jin-生-Kaiki
要件定義1:恋心は『システム障害(バグ)』!?鉄壁の防壁とギャルによる侵入テスト

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Logfile_004:例外的なドレスコード

 年に一度の全社表彰式、当日。

各部署で優秀な成績を収めた社員が表彰される、社内の一大イベントだ。


 「おー、ミソラ。今日はすっかり『完璧なプロ仕様』だね」


 更衣室の鏡の前でリップを直していると、莉奈が感心したような声を上げた。

今日のあたしは、いつもの派手な巻紙をタイトなシニヨンにまとめ、バチバチのつけまつげも控えめに。服装も、ビシッとした黒のパンツスーツで決めている。


 「当然っしょ。トップオペレーター賞をもらうんだから、見た目から『仕事できる女』オーラを出していかないと」


 「普段からそれくらい落ち着いてればいいのにね。……でも、ミソラちゃんが真面目な格好すると、本当に隙がないというか、かっこいいよ」


 隣で手を洗っていた栞が、ポニーテールを揺らしながら真面目なトーンで褒めてくれた。


 「ありがと!よし、気合い入れていこっ!」


 ーーー


 大ホールの壇上。

スポットライトを浴びながら、あたしは社長から賞状とトロフィーを受け取り、深く一礼した。


 『今年度、トップオペレーター賞。カスタマーサポート部、三神ミソラ」


 フロアから大きな拍手が沸き起こる。


 (よしっ、今年も無事に取れた……!)


 誇らしい気持ちで壇上から降り、指定された席へと戻ろうとした時だった。あたしの視界の端に、信じられないものが飛び込んできた。


 (……えっ!?御八代さん!?)


 インフラ部門の表彰席。そこには、いつものボサボサ髪と季節感ゼロのグレーのカーディガン……ではなく、ダークネイビーのスーツをきっちりと着こなした御八代さんが座っていた。無精髭の跡が少し残る顎のライン。ネクタイを少し窮屈そうに緩める無骨な仕草。普段の気怠げな姿からは想像もつかない、大人の男の『本気のスーツ姿』。


 (ヤッッッバ……!!なにあれ、破壊力高すぎでしょ……っ!!)


 心臓がドクンッと大きく跳ね上がり、顔が一気に熱くなる。

あたしは膝の震えを必死に抑えながら、すまし顔を装って自分の席に戻るしかなかった。


 ーーー


 「……おい一也。お前、さっきから姿勢良すぎだろ。ロボットかよ」


 隣の席で、三本木が声を殺して笑っていた。御八代は前を向いたまま、微動だにせず低い声で答える。


 「……慣れないアーマー(スーツ)を装備しているせいで、可動域が制限されているだけだ。それより徳大、なぜ俺がここにいる。お前が出席するはずだっただろ」


 「だから急なトラブル対応(別件)が入ったって言ったろ。……ほら、そんな事より。トップオペレーター賞、三神さんだったな。パンツスーツ姿、ギャップがあっていいじゃねぇか」


 三本木の言葉に、御八代の黒縁メガネの奥の瞳が、僅かに揺れた。


 (……三神ミソラ。普段の過剰な装飾(ギャル服)を排した、合理的なフォーマル仕様。……視覚的ノイズが減ったはずなのに、なぜ俺の思考リソースはさらに圧迫されているんだ……?)


 自身の内側で起きている原因不明のシステム異常に、御八代は誰にも気づかれないよう、小さく息を吐いた。


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