Logfile_033:公式なセッション確立(初デートの約束)
「……というわけで、ついに!!御八代さんを完全攻略しましたーっ!!」
終業後。あたしは莉奈と栞を会社の近くのカフェに引きずり込み、興奮冷めやらぬ様子で報告会を開いていた。
「マジで!?あのラックドンからの逆ハグ!?ミソラ、あんた本気でやり手すぎでしょ!」
「すごいよミソラちゃん……!ついに御八代さんが、自分の感情のバグを『仕様』として受け入れたんだね」
栞も感動したように両手を合わせて喜んでくれた。
「うん!もう親心とか年齢差とか、変な理屈で逃がさないからね。これからは堂々と『彼女』としてインフラチームに乗り込んじゃうんだから!」
あたしが意気込んでいると、テーブルの上のスマホがブルッと震えた。
画面を見ると、社内の連絡網から交換していた御八代さんの個人アカウントからのメッセージだった。
(えっ、御八代さんからLINE!?)
慌てて画面を開く。そこには、スタンプや絵文字が一切ない、まるで仕様書のようなガチガチの長文が届いていた。
『三神さん。本日のサーバー室でのインシデント(合意)について。
次回の休日に、正式なセッション(デート)を確立したいと考えている。
行き先の要件定義については、俺に一任してもらえるだろうか。
君のUI(服装)に合わせて、こちらで最適なルーティングを構築する。
承認いただける場合は、応答(Ping)を求む。』
「……ぶふっ」
あたしは思わず笑い出してしまった。
「ど、どうしたのミソラちゃん?」
「ちょっと、これ見てよ……デートの誘いなんだけどさ……」
画面を見た瞬間、莉奈と栞も腹を抱えて笑い出した。
「何これ!仕様書!?デートの誘いに『合意』とか『要件定義』とか使う人初めて見たんだけど!」
「ふふっ……でも、御八代さんなりに、すっごく真剣にミソラちゃんを楽しませようって考えてくれてるのが伝わってくるね」
「でしょ?本当に、不器用で愛おしいオジさんなんだから」
あたしは笑い涙を拭いながら、キーボード(画面)を軽快にタップした。
『承認(ACK)!楽しみにしてます!
あたしのUIは可愛い系でいくので、完璧なルーティング期待してますね!』
送信ボタンを押す。
これまでは一方的なエラーとすれ違いばかりだったけれど。
ここから始まるのは、互いのプロトコルを少しずつ理解し合う、甘くて不器用な『運用フェーズ』だ。
あたし、三神ミソラ・25歳。
45歳のインフラエンジニアのオジさんと、最高の恋、始めます!
オジさんに恋した三神さん
ここまでお目を通していただいた読者の皆様
大変ありがとうございました。
とんでもなく不器用なオジサンとめっちゃポジティブなミソラちゃん。
二人のやり取りはいかがだったでしょうか?
もし、この作品を気に入って頂けたなら幸いです。
オジさんに恋した三神さん
今後の展開はどうなるのか……
これで完結なのか……
またどこかでお会いしましょう




