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オジさんに恋した三神さん ~45歳の鉄壁インフラエンジニアは、25歳ギャルからの恋心を「システム障害」と言い張って認めない~  作者: Jin-生-Kaiki
要件定義2:『親心』への逃避と、サーバー室での管理者権限(スーパーユーザー)移行

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Logfile_027:オーバーヒートと論理の破綻

 「ぷくくっ……あははははっ!!」


 少し離れた洗い場で、一部始終を見ていた莉奈と栞が腹を抱えて笑っていた。


 「見たミソラ?あの御八代さんの顔!『若いもん同士』って言われた瞬間の、あの般若みたいな目!」


 「もう、最高すぎる……!自分でセッティングしたくせに、完全に自爆してるじゃん」


 あたしも洗い物をしながら、笑いが止まらなかった。


 「栞の言う通りだったね。親心なんてただの強がり。あんなの、どう見ても『男の嫉妬』でしょ」


 「うん。御八代さんのシステムの中で、いよいよ論理的な矛盾が臨界点に達してるみたいだね」


 栞がスポンジを握りながら、名探偵のように頷く。


 ーーー


 その頃、喫煙所の裏手。

御八代一也は、自販機で買った冷たい缶コーヒーを額に押し当てて、荒い息を吐いていた。


 「……どうした一也。随分と『親心』に溢れたBBQだったな?」


 様子を見に来た三本木が、ニヤニヤしながら煙草に火をつける。


 「……黙れ」


 「神楽坂のやつ、マジでビビってたぞ。普段あんなに理性的でクールな御八代さんが、俺が三神さんと喋るたびに親の仇みたいな目で睨んでくるって」


 御八代は力なくその場にしゃがみ込んだ。


 「……わかっている。俺は今、最悪のエラーを起こしている」


 頭を抱え、苦悶の表情を浮かべる。


 「神楽坂は正しい。年齢的にも、スペック的にも、三神ミソラと釣り合うのはあいつだ。俺が介入すべきじゃない。俺の感情は、単なる保護者としての親心で……」


 「まだ言うか。お前、さっき三神さんが神楽坂にタレ拭かれそうになった時、本気で神楽坂の腕へし折りそうな顔してたぞ。親心が聞いて呆れるわ」


 三本木の容赦ない指摘に、御八代は返す言葉もなかった。


 (そうだ。徳大の言う通りだ。……神楽坂が彼女に触れようとした瞬間、俺の頭の中を埋め尽くしたのは、保護者としての使命感などではない)


 『触るな。彼女に、触れるな』という、ドス黒く、身勝手で、醜い独占欲。


(……俺は、親心という名前のダミーファイルに、自分の『恋心』を隠蔽していただけだ)


 45歳のインフラエンジニアは、秋の冷たい風の中で、ついに己のシステムの完全な敗北(バグの正体)を認めざるを得なくなっていた。


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