↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オジさんに恋した三神さん ~45歳の鉄壁インフラエンジニアは、25歳ギャルからの恋心を「システム障害」と言い張って認めない~  作者: Jin-生-Kaiki
要件定義1:恋心は『システム障害(バグ)』!?鉄壁の防壁とギャルによる侵入テスト

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/39

Logfile_015:予期せぬパケット受信

 休日のカフェは程よく混雑していたが、運よく窓際の対面席に座る事が出来た。

あたしが甘いパンケーキとカフェラテを頼む向かいで、御八代さんはブラックコーヒーを注文すると、なんと本当に小さめのノートPCをカバンから取り出した。


 「えっ、御八代さん。本当に調査するんですか?」


 「当然だ。ダミーの理由で承認プロセスを回すほど、僕は不真面目ではない」


 カタカタカタッ、と凄まじい速度で黒い画面(コマンドプロンプト)に文字を打ち込み始める。

本当にPing(通信確認)を打ってルーターの応答速度を計測しているらしい。


 (マジで調査してる……!この人、ブレなさすぎでしょ!)


 でも、タイピングする無骨な指先と、真剣な表情をこんな至近距離で独り占めできるなんて、オジさん愛好家のあたしにとっては最高の特等席だ。やがて、あたしの前にホイップクリームたっぷりのパンッケーキが運ばれてきた。


 「ん~っ!美味しい!……あ、御八代さんも一口食べます?」


 「不要だ。僕は業務中(調査中)に糖分は摂取しない」


 画面から目を離さずに断る御八代さん。あたしは小さく息を吸い込むと、フォークにパンケーキとクリームを少し乗せ、ノートPCと彼の顔の間にスッと差し出した。


 「はい、あーん」


 「……なっ!?」


 御八代さんのタイピングの手が、ピタッと止まった。至近距離に突き付けられた甘いペイロード(パンケーキ)と、あたしの笑顔。


 「あ、あーん、だと?馬鹿な、そんな未承認の直接プロトコル……受け付けられるわけが……っ」


 「美味しいですよ?ほら、調査で頭使ってるんだから、当分補給しないとエラー出ちゃいますよ」


 あたしが小首を傾げて促すと、御八代さんは顔を真っ赤にしてフリーズした。周囲の客の目もある。ここで意地を張って騒ぎにするのは、彼の合理主義に反するはずだ。


 「……っ、今回限りの、例外処理だ……!」


 御八代さんは震える声でそう宣言すると、身を乗り出し、あたしのフォークからパンケーキをパクリと口に含んだ。


 「ど、どうですか?」


 「……異常に、甘い。……だが、レスポンスとしては……悪くない」


 口元を手の甲で隠しながら、彼がボソリと呟く。その耳の先は、以前休憩室で見た時よりも、さらに鮮やかな赤に染まっていた。


 (……勝った!!)


 鉄壁のインフラエンジニアの口に、パンケーキ(物理)と、あたしの想い(パケット)をねじ込むことに成功した瞬間。


 確実に、彼の中の何かが書き換わろうとしているのを、あたしは感じ取っていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。