↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オジさんに恋した三神さん ~45歳の鉄壁インフラエンジニアは、25歳ギャルからの恋心を「システム障害」と言い張って認めない~  作者: Jin-生-Kaiki
要件定義1:恋心は『システム障害(バグ)』!?鉄壁の防壁とギャルによる侵入テスト

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/39

Logfile_010:ペネトレーションテスト(侵入テスト)の準備

 「やっぱり、どう考えてもおかしいっしょ!」


 翌日の昼休み。社員食堂のテーブルで、あたしはオムライスを勢いよく頬張りながら宣言した。向かいの席では、莉奈が呆れたようにため息をつき、栞が優雅にサラダを口に運んでいる。


 「何がよ。またあのボサボサカーディガンの話?」


 「御八代さん!ちゃんと名前で呼んで!……じゃなくて、昨日の休憩室の一件だよ!」


 あたしはスプーンを握りしめ、熱弁を振るう。


 「栞の言う通り、インフラチームのデスクには高性能なコーヒーメーカーがあるんだよ?それなのに、わざわざ遠い休憩室まで『ブラックの缶コーヒー』を買いに来るなんて、非効率すぎる。あの超・合理的主義の御八代さんが、そんな無駄な動きをするわけない!」


 「まぁ、確かにミソラちゃんの言う通り、不自然ではあるよね」


 栞が納得したように頷く。


 「でしょ!?つまり、御八代さんは『あたしが休憩室に来ることを知っていて、わざとあの時間にあそこにいた』ってこと!これ完全に脈あり確定演出じゃない!?」


 「いや、飛躍しすぎでしょ。それに、ブラックの缶コーヒー……あれってあのオジさんが良く飲んでるやつっしょ?近場の自販機が売り切れだったとかじゃないの」


 莉奈が冷たいお茶を飲みながら、バッサリと切り捨てる。


 「それに……もし本当に待ち伏せしてたんだとしたら、ミソラが近づいた瞬間に『ファイアウォールがどうの』って謎の言葉残して逃げ帰るわけないじゃん。どっちかっていうと、マジで警戒されてるだけじゃない?」


 「うっ……それは、確かに謎だけど……」


 なぜ待ち伏せまでしておいて逃げたのか。そこだけはギャルの恋愛フィルターを通しても全く解読できない。だけど、トップオペレーターとしてのあたしの直感が告げている。あの時、御八代さんの無骨な指先は確かに震えていたし、声も上ずっていた。


 「……待ってても逃げられるなら、こっちから攻め込むしかない。決めた。今日の午後、もう一回インフラチームに突撃する!」


 「えっ、また行くの?理由もないのに?」


 「理由はこれから作るの!オペレーターの意地、見せてやるんだから!」


 恋する乙女の『攻めのプロトコル』

あたしは気合いを入れ直し、午後の業務へと戻っていった。


 ーーー


 同時刻。インフラチームのデスクでは、一人の男が未知の脅威に対する『防壁』の構築に追われていた。


 「……よし。これで俺の視界(UI)から、物理的なノイズを遮断できるはずだ」


 御八代は、自身の耳に『強力なノイズキャンセリング・イヤホン』を装着し、さらにデスクのパーテーションに書類の束を積み上げて、通路側からの視界を完全にブロックしていた。


 「おい一也、お前自分のデスクを要塞化して何やってんだよ。インフラの人間が物理的に孤立してどうすんだ」


 昼食から戻ってきた三本木が、その異様な光景を見て呆れ果てる。しかし、御八代は極めて真剣な顔でイヤホンの片方を外し、低く答えた。


 「……セキュリティパッチの適用だ。昨日の異常終了(アボート)から導き出された結論は一つ。現在の俺のシステムは、三神ミソラというノードからの『直接通信』に対する脆弱性を抱えている」


 「だから、ただあの子に話しかけられて、照れてパニックになっただけだろ」


 「照れてなどいない!これは悪意のないゼロディ攻撃(未知の脆弱性を突く攻撃)に等しい。……いいか徳大、もしあいつがこのデスクに接近してきたら、俺の代わりにPing(応答)を返してくれ。俺は一切の外部接続を遮断する」


 「……お前、45歳にもなって好きな子から逃げるためにノイキャン装備してんの?マジでダサすぎないか?」


 悪友の正論すぎるツッコミにも、御八代の決意は揺るがない。


 (どんないダサかろうと構わん。俺の職人としてのロジックを、これ以上あのギャルに破壊されてたまるか……!)



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。