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第28話 八人で作れば、大きな家も作れる



 朝飯を食べ終えた瞬間。


「お父さん!」


「分かってる」


「まだ何も言ってない!」


「雪の家だろ」


「うん!」


 フェルナの黒い尻尾が。


 ぶんぶん。


 ものすごい勢いで揺れている。


「約束!」


「ああ」


「晴れた!」


「ああ」


「仕事もする!」


「ああ」


「だから!」


「まず皿を片づけろ」


「…………」


 止まった。


「そこから?」


「そこから」


「雪の家は?」


「逃げない」


「ほんと?」


「外にある雪がどこへ逃げるんだ」


「溶ける!」


「今日一日では全部溶けない」


「じゃあ早く片づける!」


 皿を持って。


 走ろうとする。


「走るな」


「…………」


 歩く。


 ものすごく速く。


「それ歩いてる?」


 ラグナ。


「歩いてる!」


「ほとんど走ってる」


「足が速いだけ!」


「屁理屈覚えたな」


     ◇


 朝の仕事を終えると。


 八人で外へ出た。


 吹雪の後。


 雪は。


 家の周りに。


 たっぷり積もっている。


「いっぱい!」


 ユラが。


 両手を広げる。


「ああ」


「ぜんぶつかう?」


「全部使ったら家が埋まる」


「じゃあちょっと?」


「必要な分だけ」


 リシェルが。


 すぐに言った。


「そう」


「雪も?」


「ああ」


「使えるからって全部使わない」


「山の雪は別に全部使えないけどな」


「でも同じ?」


「考え方はな」


 ラグナが。


 雪の山を見る。


「どれくらい必要?」


「まず大きさ決める」


「八人!」


 フェルナ。


「人数じゃなくて広さ」


「お父さんも入る!」


「だから八人だろ」


「うん!」


「じゃあ」


 俺は。


 家の前。


 比較的平らな場所を。


 足で囲む。


「これくらいか」


「小さい!」


「十分だ」


「八人入る?」


「詰めれば」


「昨日も詰めた!」


「なら大丈夫だろ」


     ◇


「どうやって作るの?」


 ミレア。


「雪を積んで」


「ああ」


「固める」


「ああ」


「壁にする」


「ああ」


「屋根は?」


「そこが難しい」


 七人。


 上を見る。


「雪だけで?」


 セレス。


「ああ」


「落ちない?」


「落ちることもある」


「危ない?」


「作り方が悪ければな」


「じゃあ」


 セレスが。


 すぐ真面目な顔になる。


「ちゃんと作る」


「そうしてくれ」


 フェルナは。


 もう雪を抱えている。


「お父さん!」


「何だ」


「これどこ!?」


「待て。まだ壁の場所決めてる」


「持ってきた!」


「一回置け」


「ここ?」


「そこ通路」


「じゃあこっち!」


「そこ入口」


「じゃあどこ!」


「だから待て!」


     ◇


 最初に。


 地面へ。


 大きな円を描いた。


「この線の外側」


「ああ」


「雪を積む」


「うん!」


「入口だけ空ける」


「ここ?」


 ユラが。


 線の一部を指差す。


「そう」


「ユラのいりぐち?」


「みんなのだ」


「お父さんも?」


「ああ」


「じゃあおっきく」


「そうだな」


 ユラの大きさだけで作ったら。


 俺は頭しか入らない。


「ラグナ」


「なに?」


「雪運べるか」


「いっぱい?」


「いっぱいでもいいけど」


「ああ」


「一度に持ちすぎるな」


「…………」


「昨日まで何度言った」


「分かってる」


「じゃあ頼む」


「うん」


 ラグナは。


 両腕で。


 大きな雪の塊を。


 持ち上げた。


「…………」


「お父さん」


「何だ」


「これくらい?」


 人一人分くらいある。


「大きいな」


「減らす?」


「運べるならいい」


「分かった」


 慎重に。


 歩く。


 慎重に。


 置く。


 どすっ。


「おお」


「壊れなかった」


「雪だから壊れても大したことないけどな」


「でも」


 ラグナが。


 少し嬉しそうに。


「強く置かなかった」


「ああ」


「上手くなった?」


「前よりはな」


「……やった」


     ◇


 フェルナは。


 雪を集める。


 ものすごく速い。


「お父さん!」


「ん?」


「これ!」


「持ちすぎだ」


「前見える!」


「ギリギリだろ」


「見える!」


「木あるぞ」


「…………」


 少し減らした。


「今見えた!」


「最初からそうしろ」


 セレスとミレアは。


 運ばれた雪を。


 壁の形に整える。


「ここ?」


 ミレア。


「もう少し押して」


 セレス。


「これくらい?」


「うん」


「固い?」


「まだ柔らかい」


「じゃあもっと」


 ぎゅっ。


「…………」


 セレスが。


 雪を見る。


「お父さん」


「なんだ?」


「強く押しすぎると?」


「崩れることもある」


「弱すぎると?」


「壁にならない」


「ラグナみたい」


「聞こえてる!」


「悪口じゃないよ」


「…………」


「たぶん」


「セレス姉!」


 笑い声。


     ◇


 リシェルは。


 珍しく。


 本を持っていなかった。


「今日は読まないのか?」


「手が濡れる」


「なるほど」


「それに」


 作りかけの壁を見る。


「考える方が面白い」


「何を?」


「どうしたら崩れないか」


「いいことだ」


「壁」


「ああ」


「下を太くした方がいい?」


「そうだな」


「上は少し細く?」


「ああ」


「じゃあ」


 しゃがむ。


 雪へ。


 指で線を描く。


「こう」


「できそうだな」


「屋根」


「ああ」


「真っすぐ乗せるより」


「うん」


「少しずつ内側に?」


「よく分かったな」


「毛布の家で」


「ああ」


「支えがないところは落ちたから」


「覚えてたか」


「うん」


 ただ遊んでいたわけでもないらしい。


     ◇


 ノエルは。


「寒い」


「まだ始まったばっかりだぞ」


「手冷たい」


「手袋しろ」


「してる」


「じゃあ動け」


「…………」


「何してるんだ?」


 見る。


 小さな雪玉。


 一個。


 二個。


 三個。


 四個。


「壁?」


「木苺置くところ」


「雪の家に食料庫作るな」


「大事」


「木苺外に置いたら凍るぞ」


「冷たい木苺」


「腹壊すからやめろ」


「…………」


「何で残念そうなんだ」


 それでも。


 しばらくすると。


 ノエルは。


 ユラと一緒に。


 小さな雪を運び始めた。


「これ」


 ユラ。


「ここ?」


「そこ」


 ノエル。


「ノエルが指示してる」


「寒いから動きたくない」


「でもユラは動かすのか」


「ユラ動きたい」


「うん!」


 役割分担。


 ……なのだろう。


     ◇


 昼前。


 壁は。


 ユラの背丈を超えた。


「おっきい!」


「まだ半分だぞ」


「もっと?」


「ああ」


「お父さんより?」


「俺が中で立つならな」


「立つ!」


 フェルナ。


「何でお前が決める」


「お父さん頭ぶつける!」


「別に座ればいい」


「やだ!」


「俺がいいって言ってるのに」


「八人の家!」


「…………」


 どうやら。


 俺だけ。


 低い天井で我慢するのは。


 駄目らしい。


「じゃあ少し高くするか」


「やった!」


     ◇


 そこから。


 屋根作りが始まった。


「ここから」


 俺は。


 壁の上。


 内側へ。


 少しずつ雪を張り出させる。


「一気に乗せるなよ」


「なんで?」


 ラグナ。


「重さで落ちる」


「少しずつ」


「そう」


「固めながら」


「そう」


「じゃあ」


 フェルナ。


「フェルナ上乗る!」


「駄目」


「なんで!」


「潰れる」


「軽い!」


「軽くない」


「ラグナより軽い!」


「何で私と比べるの!」


「二人とも屋根に乗るな」


「はーい」


     ◇


 しばらく。


 順調だった。


 順調だったのだが。


「お父さん」


 リシェル。


「ここ」


「ん?」


「割れてる」


 見る。


 屋根の端。


 細い亀裂。


「本当だ」


「どうする?」


「一回そこ崩す」


「えっ」


 フェルナ。


「せっかく作った!」


「このまま上乗せしたら全部落ちる」


「でも」


「直すなら今」


「…………」


 七人。


 少し黙る。


 ラグナが。


 亀裂を見る。


「壊す?」


「ああ」


「わざと?」


「ああ」


「作ったのに?」


「危ないからな」


「…………」


「壊れるまで待つより」


 俺は。


 雪を少し削る。


「危ないところだけ壊して、作り直す」


「失敗?」


 ユラ。


「そうだな」


「ぜんぶだめ?」


「違う」


「ここだけ?」


「そう」


「じゃあ」


 ユラが。


 小さな手で。


 亀裂の下の雪を指差した。


「ここ、なおす」


「ああ」


「おうち、なくならない?」


「なくならない」


「ならいい」


 簡単だ。


 ユラには。


 もう。


 その考え方が。


 ちゃんと入っている。


     ◇


「じゃあ崩すぞ」


 俺が。


 亀裂部分を落とす。


 ぼすっ。


「…………」


 フェルナの耳が下がる。


「悲しい?」


「ちょっと」


「じゃあ」


 セレスが。


 雪を持つ。


「今度はもっと丈夫にしよう」


「…………」


 フェルナが。


 耳を上げる。


「する!」


「ラグナ」


「なに?」


「少しずつ運んで」


「うん」


「ミレア、一緒に固める?」


「うん」


「リシェル、形見て」


「分かった」


「ノエル」


「なに」


「ユラと雪お願い」


「分かった」


 セレスが。


 次々。


 決める。


「セレス」


「なに?」


「俺の仕事は?」


「屋根」


「全部任された」


「お父さんが一番上手いから」


「そうか」


 少し。


 頼られるのも。


 悪くない。


     ◇


 昼飯は。


 家の中で食べた。


「午後も作る!」


 フェルナ。


「まず手温めろ」


「平気!」


「赤いぞ」


「…………」


「手袋乾かす」


「うん」


「ラグナも」


「私は平気」


「袖濡れてる」


「……乾かす」


「ユラ」


「なに?」


「靴下」


「ぬれてない」


「ほんと?」


「…………」


 触る。


 濡れている。


「替えるぞ」


「まだできる」


「冷える」


「でもおうち」


「雪の家作る前に風邪ひいたら?」


「…………」


「午後出られない」


「かえる!」


 急いで。


 靴下を替える。


 分かりやすい。


     ◇


 午後。


 今度は。


 誰も急がなかった。


 ラグナは。


 大きな雪を運べるのに。


 少しずつ。


 フェルナも。


 前が見える量だけ。


 セレスは。


 妹たちのことを気にしながらも。


 全部自分でやらず。


「ミレア、お願い」


「うん」


「フェルナ、こっち」


「分かった!」


 ちゃんと頼む。


 リシェルは。


 屋根の形を。


 何度も確かめる。


 ノエルは。


 途中で。


「休憩」


「まだ何もしてないだろ」


「ユラ見てた」


「それは仕事か?」


「仕事」


「……まあいい」


 ユラは。


 小さな雪玉を。


 一つずつ。


 壁へ貼りつけていた。


「おとうさん!」


「ん?」


「これユラの!」


「どこ?」


「ここ!」


 壁の一番下。


 小さな丸。


「覚えといて」


「何で?」


「ユラがつくった」


「ああ」


「なくさないで」


「雪だからいつか溶けるぞ」


「…………」


「でも」


 俺は。


 場所を見る。


「今日作ったことは覚えとく」


「ほんと?」


「ああ」


「じゃあいい」


     ◇


 夕方前。


「……よし」


 最後の隙間へ。


 雪を詰める。


 屋根が。


 繋がった。


「できた?」


 フェルナ。


「たぶんな」


「入る!」


「待て」


「なんで!?」


「まず俺が入る」


「昨日も!」


「崩れた時、お前らより俺の方がましだ」


「お父さん危ない!」


 セレス。


「だから確認する」


「私が」


 ラグナ。


「お前は屋根突き破りそうだ」


「…………」


「そこまで重くない」


「冗談だ」


 入口。


 かがんで。


 中へ入る。


「…………」


 暗い。


 雪の壁。


 外より。


 少し静かだ。


 頭。


 当たらない。


「どう!?」


 外から。


 フェルナ。


「入れるぞ」


「やったあああ!」


「一人ずつ来い!」


     ◇


 セレス。


 ラグナ。


 フェルナ。


 リシェル。


 ミレア。


 ノエル。


 ユラ。


 順番に。


 入る。


「広い!」


「白い!」


「暗い」


「雪なのに暖かい?」


 ミレア。


「風がないからな」


「不思議」


 リシェルが。


 壁を。


 じっと見る。


「外は冷たいのに」


「ああ」


「中は風止める」


「ああ」


「雪って」


「うん」


「役に立つ」


「そうだな」


 ノエルが。


 入口近くへ座る。


「木苺置くところ」


「まだ言ってるのか」


「作った」


 見る。


 小さな棚。


 雪を削って。


 本当に。


 一個分。


「……一個だけなら置けそうだな」


「うん」


「でも食べ物は家で食え」


「むぅ」


     ◇


「おとうさん」


 ユラが。


 中。


 真ん中で。


 ぐるっと見回す。


「なに?」


「これ」


「ああ」


「おうち?」


「雪の家」


「みんなの?」


「そう」


「八人?」


「ああ」


「…………」


 満足そうに。


 にっこり。


「できた」


「できたな」


「お父さん」


 今度はセレス。


「一人だったら?」


「何が?」


「これ」


 天井を見る。


「作れた?」


「作れたとは思う」


「どれくらい?」


「何日かかったかな」


「今日は?」


「一日」


「…………」


「どうした?」


「みんなでやったから?」


「ああ」


 壁。


 ラグナが運んだ雪。


 フェルナが集めた雪。


 セレスとミレアが固めた場所。


 リシェルが気づいた亀裂。


 ノエルとユラが運んだ小さな雪玉。


「八人いれば」


 俺は言った。


「八人分の手があるからな」


「ユラもちいさい」


「ああ」


「でも一人分?」


 ユラ。


「一人分」


「ふふ」


     ◇


「じゃあ」


 ラグナが。


 壁を見ながら言う。


「大きいことする時は」


「ああ」


「強い一人が全部やるより」


「うん」


「みんなでやった方がいい?」


「場合による」


「…………」


「何でもそうとは限らない」


「でも今日は?」


「今日はそうだな」


「私」


 ラグナが。


 自分の手を見る。


「一人で雪いっぱい運べる」


「ああ」


「でも」


「うん」


「屋根作るの分からない」


「そうだな」


「リシェルは分かった」


「うん」


「セレス姉はみんなに言える」


「ああ」


「ミレアはきれいに固める」


「うん」


「フェルナは速い」


「速い!」


「ノエルは」


「ユラ見た」


「そこ自分で言うんだ」


「ユラは?」


「ユラ、ちいさいの!」


「小さい雪運んだな」


「うん!」


 ラグナが。


 笑う。


「じゃあ」


「ああ」


「一番強い人が全部しなくていい」


「そういうこと」


「…………」


 かなり大事なことを。


 ちゃんと覚えている。


     ◇


「お父さん!」


 フェルナ。


「ここで寝る!」


「駄目」


「なんで!」


「寒い」


「中あったかい!」


「家より寒い」


「毛布持ってくる!」


「夜に雪降ったら入口埋まる」


「…………」


「屋根が崩れるかもしれない」


「…………」


「遊ぶところだ」


「寝る家じゃない?」


「ああ」


「でも家って言った!」


「雪の遊び場に名前つけただけだ」


「…………」


「家で寝ろ」


「はーい」


 珍しく。


 すぐ納得した。


「明日も来る!」


「天気よかったらな」


「…………」


 フェルナが。


 止まる。


「天気よかったら!」


「おお」


「ちゃんと覚えた!」


「成長したな」


「うん!」


     ◇


 外へ出る。


 日が。


 山の向こうへ。


 沈み始めていた。


 七人。


 雪の家の前へ並ぶ。


「お父さん」


 ミレア。


「これ、いつまである?」


「暖かくなるまで」


「春?」


「その前に崩れるかもな」


「…………」


「でも」


 ユラが。


 雪の壁へ。


 手を置く。


「またつくる」


「そうだな」


「こわれたら?」


「危なくなければ直す」


「なおせなかったら?」


「また作る」


「みんなで?」


「ああ」


「じゃあいい」


 最近。


 ユラは。


 何かがなくなることを。


 前ほど。


 怖がらなくなった気がする。


 なくなっても。


 また作れる。


 壊れても。


 直せる。


 何より。


 一緒にやる家族が。


 いなくならない。


 少しずつ。


 そう思えるように。


 なってきたのかもしれない。


     ◇


 夜。


 夕飯の席。


「今日のお父さんは何した?」


 ノエルが。


 珍しいことを聞いた。


「俺?」


「うん」


「屋根」


「それだけ?」


「設計もした」


「せっけい?」


 フェルナ。


「どう作るか考えた」


「じゃあリシェルも!」


「ああ」


「セレス姉は?」


「みんなまとめた」


「ラグナ!」


「雪運んだ」


「フェルナ!」


「いっぱい集めた!」


「ミレア!」


「壁」


「ノエル!」


「ユラ見た」


「それ固定なのか」


「ユラ!」


「ちいさいの!」


「全員ちゃんと仕事したな」


 フェルナが。


 嬉しそうに。


 パンを持ち上げる。


「じゃあみんな一番!」


「一番が八人いるのか?」


「だめ?」


 少し考える。


「今日くらいはいいんじゃないか」


「やった!」


     ◇


 寝る前。


「お父さん」


 セレス。


「なんだ?」


「一人でできることもある」


「ああ」


「一人じゃ難しいこともある」


「ああ」


「そういう時」


「うん」


「手伝ってって言えばいい」


「そう」


「でも」


 少し笑う。


「お父さんも言う?」


「何を」


「手伝って」


「必要なら」


「ほんと?」


「ああ」


「今度雪の家壊れたら?」


「七人呼ぶよ」


「…………」


 セレスが。


 満足そうに頷く。


「約束」


「そこまで約束にするのか」


「うん」


「分かった」


     ◇


 八人入れる雪の家。


 俺一人でも。


 時間をかければ。


 作れたかもしれない。


 でも。


 八人で作った方が。


 ずっと早かった。


 何より。


 自分が作った場所を探して。


 七人が嬉しそうに笑っていた。


 強い奴が。


 全部やればいい。


 できる奴が。


 一人で片づければいい。


 そんなやり方も。


 時にはある。


 けれど。


 大きなものほど。


 いろんな手を借りた方が。


 上手くいくこともある。


 少なくとも。


 今日の雪の家は。


 俺一人で作るより。


 ずっと。


 いい家になった。


「お父さん!」


 暗い寝室から。


 フェルナ。


「なんだ?」


「明日、二階作る!」


「作らない!」


「なんで!」


「雪の家に二階は危ない!」


「ラグナが支える!」


「一日中!?」


「…………」


「無理だろ!」


 どうやら。


 大きなものを。


 みんなで作る楽しさだけは。


 少し。


 教えすぎたらしい。


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