近衛より恐ろしい集団1
「ブロー様、こちらが領地の税となっております。」
父が王城へ呼び出されてしまったので領地運営をしていた。
本来はまだ成人していない彼は領地運営に関わる事は無いのだが、「もうそろそろやらせてみるか」という両親の一言でやる羽目になっていた。
「ブロー様、客人が来ております。通さざる得ません。」
彼は家令の男が変なことを言ったのを聞き逃さなかった。
通さざる得ない?何故と。
客間に行くと隣の村の
「本当に倅の方がやってんのか。」
ドワーフの男が豪快に笑いながら話しかけた。
「忙しいのでお引き取り下さい。」
ブローは溜息を吐きながら応対した。
「まぁ、そう言うでない。」
「うちのぶっ飛んだ領主様でも未成年の内に領地運営・・・やらせてたのぉ・・・無自覚でじゃが。」
「え・・・(ユーナさんもやってたのか・・・)」
「それで何の用です?」
「ブロー様にアレを。」
翁に促された老婆が袋から武器らしき物をテーブルの上においた。
「コイツはオオスミって物です。」
ドワーフの男が説明を始めた。
「この専用の弾に魔力を込めて引き金を引くと魔法が使えない者でも魔法が撃てる代物です。」
「そんな物一体どこで・・・。」
「先日、うちの領主夫婦が魔王領の一国に行き、貿易を始めたんじゃよ。」
「ちょっと待って下さい・・・。」
「どうかなされましたか?」
「うちの領地を通らずに魔王領に行ったのですか?」
「そうじゃよ?日帰りでな。」
「ノーファ辺境伯と婦人は魔海域を越えて行ったと?クラーケンいますよね?」
「そうですよ。お土産のクラーケンは美味しかったわ。」
ブローは頭を抱えていた。
クラーケンは海に生息する魔物の中でも強い部類で高ランクの冒険者がクランを結成して討伐に取り掛かる対象である。
そんな魔物が大量発生する海域が魔海域である。
そこを隣の領主夫妻はたった2人クラーケンの群れを倒して越えたと?
そして食べたと?
「ブロー様!大変です!」
「今度は何だ!?」
「聖国マイナ・スワンの聖騎士団がクラレアンス・リトーナを出せと・・・」
「姉様を!?しかし今は・・・」
そう、旅に出ていない。
「さて、ワシらはお暇させてもらいますかな。本命が来た様だしのぉ。」
そう言って隣の村人達は屋敷から出ていった。




