幕間 トライアリアへ
「急げ!私達のユーナが危ないんだぁ!」
老騎士はリトーナで叫んでいた。
「孫可愛さに部下に無理を言わない。近衛騎士団、到着したら街を焼き払いなさい!」
女王も夫である老騎士の事を言えないくらい、おかしな事を言っていた。
「陛下も隊長も落ち着いてください。ノーファ辺境伯が村人を引き連れてやってきます。それまで辛抱してください。」
副団長の男はため息混じりに2人を諭していた。
暫くすると光の輪が空から降りてきた。
「お、これは、ワープ系統の魔法だ。珍しいな。いや、あの村ならあるか。」
騎士の誰かが説明している。
光の輪が地面に触れると目の前に若い夫婦と、先日会ったばかりの老人達が現れた。
「ユリさん、久しぶりね。」
女王の表情は笑っているが目が笑っていない。
「お久しぶりです。お義母様。」
ユリも微笑んでいるが目が笑っていない。
「今は、挨拶はなしだ。」
「そうね。私の魔法でトライアリアに跳びます。皆さま、捕まって下さい。」
兵士達は困惑していた。
村人や自分達の合計は50人を超えている。
通常、ワープの魔法は距離と人数によって魔力を消費する。
どんなに魔力が多い上級の魔法職でもリトーナからトライアリアまでだと10人が限界。
しかし目の前の女性はノーファの村人全員をリトーナまで跳ばしている上で更に、この場にいる全員をトライアリアまでワープさせようとしている。
「辺境伯夫人は何者なんだ?名のある大魔導士なのか?」
副団長の男が呟くと女王が彼にこう返した。
「前にも言った通り、長生きしたいなら知らない方が身の為よ?貴方、結婚したばかりでしょ?伴侶や産まれてくる子供の為にも長生きしなさい。」
副団長は身震いをした。
トライアリアの屋敷の前に跳ぶと中年の男がおり、こちらに近づいてきた。
「陛下とノーファの皆さまですね。」
近衛騎士団の全員が剣を抜いた。
「わ、私は怪しいものではなく、街で妻と宿屋を営んでいるドズという者です。陛下達が来る事は【能力神】様の使いの方から聞いたのです。」
「おい、うちの娘はどうした?」
「ヒィ!」
近衛騎士団の若い衆は後ずさってしまった。
ユナイトが、とても農民とは思えない様な殺気を放っていたからだ。
ドズは何とか耐えて困惑しながら返答した。
「えっと・・・歩いて帰りました。」
「はあ?」
その場にいた全員が叫んでしまっていた。
「ええ、お連れの聖職者の方とリトーナに向かいましたよ。」
ユーナは既にトライアリアを発っていた。




