依代と封印
「ノービス・トライアリア、貴方は詰んでます。」
師匠がニヤリと笑う。
女神様がしていい様な笑顔では無い。
「な、なじぇ、そ、そんな事がわかるんだ?」
ノービス卿はしどろもどろになりながら言葉を発した。
「この身体と同じように、たまたま近くにいた旅の女尼に依代の適合があったので使わしてもらってます。私自身の本体は別の場所にいますけどね。ゆーなちゃん、これが私の仕事です。」
師匠は何かの呪文を唱え始めた。
「ノービス・トライアリア、能力神マクロ・ミナセの名において貴方の能力を封印します。止めたいという方が居るならばどうぞ?」
師匠は明らかに『妨害するならお前らもついでに封印する』と脅している。
「と言いたいところですけど私の弟子を見たという事はもう封印されてるんですよねー。しかも、ユーナちゃんは職業神の見習いでもあるから、職業もね。」
ノービス卿の顔は真っ青になり彼は泡を噴いていた。
この国で職業がない者は人にあらずという言葉がある。
何でも女神を怒らせると呪われるとか。
つまり職を持ってない=女神を怒らせた。
神話の中に出てくる女神様は滅多に怒らないって村のフランお婆ちゃんが言ってたっけ。
「どうして親方様だけ封印されたのだ!?私も少し見たんだぞ!?」
そういえば部屋に入る前に怪しいところがないかチェックされたっけ。
「偽装を看破して本来の能力を見たからですよ。あ、修道女や僧侶を始めとする神に仕える職業は偽装看破をしても封印されません。仕事になりませんから。」
まぁ、そうですよねー。
「この国の女王がリトーナに着いた頃です。壊滅したリトーナの町の惨状を見て事情を知ればすぐに飛んでくるでしょう。」
「え?何故女王陛下が!?」
これにはここに居る全員が驚いていた。
何でそんな事を知っているんですか!?
「依代はこの身体以外にもありますからそちらから情報を仕入れました。あ、ユーナちゃんやクラレアンスは依代に向いてないからその辺は安心してね。」
師匠の魂が入った尼さんは艶かしい笑顔だった。
「では、我が見習いユーナ、聖女クラレアンス、良き旅を。」
師匠が今さらっととんでもない事を・・・。
嘘だよね?カルティエさん?




