決着と笑顔
本日2話目です。
「お前は一体、何者なんだ!?」
目の前の男はそう叫んでいる。
「農村の田舎娘です。」
「そんな訳あるか!!木の枝を真剣みたいにする達人みたいな事をしたと思ったら、同じ木の枝を杖の代わりにして氷の魔法を無詠唱で町1つを凍らせる人間が農村の田舎娘な訳あるか!」
まぁ、そうなるよね。
男が起爆装置を出した時点で【戦士】を【魔法使い】に変更して町中を凍らせた。
幼少の頃にお母様に魔法修行をしてもらった時以来なので正直なところ上手くいくかわからなかったけれど何とかなった。
(あの時は山ごと動物も吹き飛ばしてしまったけど今回は大丈夫だったみたい。)
「【魔法使い】なら間合いに入り込めば対処できないだろ?これで終わりだ!」
そう言って男は距離を詰めて私の右の腕を切り落とした。
男は続けて私の左の脚を切り落とした。
よしこれで終わりだと男は背を向けた。
男は領主の館へ向かったカルティエとその従者を始末するためにその場から去ろうとした。
私はガサっと音を立てて立ち上がった。
すると男は慌てて振り向いた。
男は明らかに驚いていた。左脚と右腕は斬り落としたはずなのにその二箇所はしっかりと身体に繋がっていたのだから。
その光景を見た男は両手を上げて
「はぁ、大人しく縄につくとしよう。お前の職業は【魔法戦士】か?それとも【賢者】か?どっちにしろ俺に勝ち目がない。さぁ、早くしろ。縄がないなら俺の荷物の中に入ってるから使いな。」
と呆れながら言って腰に下げているバックからロープを取り出した。
どうやら観念したようだ。
今、男が言った職業は中級と上級の職業である。
しかしユーナが今回なったのはそれらの基礎になる下級職の【戦士】、【魔法使い】、【僧侶】である。
いつ僧侶になったかって?それは攻撃をされた時、魔法使いのままだと防げない事が解っていたので攻撃されるのを前提で回復魔法が容易に使える職業に変更した。
男の問いにはどう答えようか悩んだけれど、
「・・・【農民】です。」そう言って職業の1つを農民に戻した。
男はそう言ったユーナを胡散臭そうに見つめていた。
実際、ユーナの現在の職業は【職業神見習い】と【農民】である。
「おーい!ユーナ!」
屋敷の方からカルティエさんが走ってくるのが見えた。
「終わったぜ、ユーナ。全員無事だ。そんで、生き物以外を町丸ごと凍らせた説明してくれんだよな?いや、こう言うべきでしょうか?我が主の見習い様?」
カルティエさんにはいい笑顔をしながらそう言った。
私が町を凍らせた事はバレていた。
そして、犯人の男の表情は凍りついていた。
「ん?範囲回復魔法?俺はユーナが魔法を使ってる所見た事ないぞ?」
「見習いを辞めたからでしょ?剣技だって使えなくなってるんだから。」
ユーナの父はそうだったと納得した。
【〇〇見習い】は辞めてしまうと習得した物事を忘れてしまうデメリットがある。
メリットは適正がない場合でも修行を終えるとその職業に就ける。
また、成人前でも修行することが出来る。
「アナタ、烏賊が来るわよ!」
「はぁ、あれか・・・。」
2人の船旅はまだ続く




