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アラサー女の異世界転生チート清掃業~どんなに泥沼の世界でもあたしは折れない  作者: 明烏
第2章

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部屋の中

 四階にたどり着いたさやは左の廊下を進み、一番奥にある部屋の前で立ち止まった。


 扉に闇は見当たらないが、その内側から明らかに闇の気配が伝わってくる。それでも闇の広がり具合も核も、シナ村の時に比べれば大分小規模だ。


 だからきっと祓える筈なのだ。そしてあのペンダントの力を使えるなら、間違いなく核を解放出来る。


 その意味でこの部屋の闇祓いは、さやが常にペンダントの力を使えるかどうかを確かめる為の試金石だった。


 さやはもう一度頭の中で、シナ村の教会に入った時に自分の心がどんな状態だったかを思い返した。それから伯爵に聞いた核の来歴、伯爵との関係もおさらいした。

 当然自分に血を吐く様な思いをぶつけてきた伯爵の姿も思い浮かぶ。


〝諦めていた伯爵の前に特大の希望をぶら下げたのはサヤさんです。その責任は取って下さい〟


(言われなくても分かってるよ)


 さやは心の中でシリルに言い返すと、懐中時計で時刻を確かめてから扉を開けた。


 扉の内側は漆黒の闇が広がっていた。それこそ何も見えないくらいだ。


 それでも目が慣れてくると、闇の隙間から僅かに差し込む光で部屋の様子が見て取れた。

 壁も窓も家具も、殆どが闇でベッタリ覆われているようだ。


 奥の方にドアがあった。

 この部屋の間取りは居間と寝室の二部屋だと聞いている。部屋の中央にソファーとテーブルがあるこの部屋は居間で、ドアの向こうが寝室なのだろう。


 テーブルを挟んで向かい合わせに二つずつ置かれているソファーには、どれも闇の気配が漂っていた。他の闇に比べて格段に濃く深い闇であるのは明らかだ。


 多分、核はあの中にいる。


 ただ、今の所どの闇もさやに襲い掛かってくるような気配は無かった。


 さやは考えた。ソファーにある闇一つに核があるなら、此処にいる核は四個。

 聞いている核の数は五個だから、一つ足りない。


 さやは奥の扉を見て眉をひそめた。

 あの扉から漂う闇の気配が最も禍々しい。どうやら寝室がこの完全封鎖地域の大元のようだ。

 もう一つの核は、多分あそこだ。


 そこまで見極めたところで、さやは〝清掃方針〟を決めた。いずれにしてもこんな暗闇では動き辛いから、まず明るさを確保したい。


 さやはモップで床の闇を祓いにかかった。いつも通り念を込めながら、汚れを落とす様にオーガの獣毛の房糸で床を擦る。

 そうすると擦った端から闇が金粉になって散っていった。


 それと同時にさやは寝室の向こうにある気配が大きく騒めくのを感じた。だが、ソファーにいる闇は変化が無い。

 今回はモップを叩きつける必要は無さそうだ。


 ある程度床をキレイにして動き回れるようにすると、さやは窓の闇を祓った。外の陽射しが差し込んで、部屋が幾らか明るくなる。


 光が届く様になると、ソファー一つ一つに大人の握りこぶし大の黒い塊が載っているのが見て取れた。どの塊にも周りから闇が絡みついている。

 まるでソファーに縛り付けられているようだ。


 陽射しに照らされた途端、今まで静かだったソファーの闇がザワッと震えた。さやには久しぶりの光に怯えているように見えた。


「あ、ごめん。怖がらせるつもりは無かったんだ」


 思わずさやは謝った。それぐらいソファーの闇は大人しかったのだ。

 しかしさやが声を掛けると、四つの塊の方から声が聞こえてきた。


〝今頃何シニ来タ〟

〝セッカク此処ニモ馴染ンデキタノニ〟

〝俺達ヲ追イ出スツモリカ〟

〝此処ヲ壊サレテタマルカ〟


 最後に四つの言葉は重なった。


〝〝〝〝オ前モ此処ニ引キズリ込ンデヤル〟〟〟〟


 途端に核の周りを覆っていた闇がさやめがけて襲い掛かってきた。

明日も20時頃更新の予定です。


面白い、続きが読みたいという方はブックマーク、評価等頂けると嬉しいです。

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