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アラサー女の異世界転生チート清掃業~誰もが何か隠してる(180話以上完成済)  作者: 明烏
第1章

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半日前の出来事

すみません、今日は2話投稿するとお伝えしていましたが3話投稿に変え、18時頃に1話投稿しました。これは2話目になります。

「そんな事があるのですか⁉ 協会への登録を希望されないヒーラー様など、考えられん!」


 ベイルはアデラの推理に驚きの声を上げる。実際信じられない事なのだ。()()()()


「私もどういう仔細なのかと不審に思い、あのヒーラー様についてちょっと調べてみたのですよ。まあ村人は皆死んだ身内を弔うのに専念したいようで、何人かの口の軽い者がうるさくせっつく私を追い払いたいのかサヤ様の〝事情〟を教えてくれましたよ ——ベイル、あのヒーラー様は記憶を失っているのです」

「——それは」

「相手はこの世界の事など何も分からない小娘。言いくるめるのは容易いでしょう」


 アデラが含み笑いをするのがケビンに聞こえた。


「私はこれから急ぎレナ街に行きます。王都にこの事を伝え、多少事態がこじれても押し通せる権限を持った高官を大至急派遣して貰えるように。その間あなたはサヤ様から目を離さないで下さい。しかし接触は控えて下さいね。今サヤ様はご友人が催している弔いに参加中です。機嫌を損ねられたらまずいですからね。ベイル、村中が弔い以外の事を考えられない今こそ事を進める最大のチャンスなのです。高官が到着するまでは、我々の動きを村長に知られてはなりませんよ。そうすればあのとんでもない能力を持ったヒーラー様は我が国のものになる。それがどういう事か分かりますね」

「——ええ」


 興奮を抑えられない様子で答えるベイルにアデラは笑った。


「ベイル、完全封鎖になる可能性が高い現場に派遣された経験の無いあなたが今回の検査に抜擢されたのは、あなたのどんな状況でも人当たりよく振舞える才能を見込んだからです。今日の夕食には村長も同席するので、ぜひその才能を発揮して下さいよ。もう完全封鎖は無くなったのだから、あなたも踏ん張れるでしょう。では戻りましょうか」


 そう言うとアデラとベイルは通用門へ戻って行った。ケビンは二人が完全にいなくなるまで茂みに隠れた後、急いで村に戻った。そしてすぐにヒルダの家に行こうとして、考え直した。アデラがベイルに言っていたではないか、サヤを監視しろと。


 検査官達に疑われぬようにしながらサヤに危機を知らせる自信など、ケビンには無い。それにサヤが自分の言葉を信じるかも疑問だ。自分とサヤはそこまで親しくはないのだから。


 村長に知らせれば何か方策を考えてくれるかもしれない、とケビンは思いついた。しかし村長も失った家族を弔っている。余程強く言わなければ、会ってもくれないだろう。

 それに村長宅にも兵はいる。彼らに気付かれずに自分が村長に事情を伝えられるとも思えなかった。まだ年若い自分には手に余る事態だ。


 誰か他に力を借りられる大人はいないか。弔い中でも自分の話を聞こうとしてくれる大人は。


 ケビンは一人思いついた。だからその人の下へ行った。




 玄関のドアが叩かれた時、イザベラは顔をしかめた。今はローラとおままごと中だからだ。邪魔されたくはない。

 それでも一応返事はした。思い切り不機嫌な声で。


「こんな時に、誰だい?」

「俺だよ、ケビンだよ!」


 それを聞いてイザベラはしかめっ面を改めた。ケビンはローラを可愛がってくれていたからだ。少しだけなら仲間に入れてやってもいいだろう。


「ちょっと待っててね、ローラちゃん。今お兄ちゃんが来たよ。一緒に遊んでもらおうか」


 イザベラはどこかで聞いているだろうローラに声を掛けてから、ドアを開けた。


 五分後、ケビンから話を聞いたイザベラは村長の下へすっ飛んで行った。そうして母屋の玄関にいる兵には目もくれずに村長の息子夫婦が使っていた離れに行くと、何度も戸を叩いて叫んだ。


「ちょっと村長さん! 大変だよ! ケビンがハンターになるんだって、親父さんと大ゲンカしてるんだよ!」


 すると、いつも穏やかな村長が苛立った口調で怒鳴った。


「うるさい! そんな事で私を呼びつけるな! 適当にやっといてくれ!」

「そんな事言わないでおくれよ! せっかくの弔いなんだよ! あんたの力で二人を仲裁して、静かにマーサ婆さんを弔わせてやってあげなよ!」

「知った事か! 今の私は村長じゃないんだ! 今は…… クソ親父で…… 口うるさい舅で…… カーク祖父ちゃんなんだ…………」


 聞こえてくる村長の泣き声にイザベラは痛まし気な顔をしたが、それでも乱暴にドアを開けて中に入った。そして目を真っ赤にして自分を追い出そうと掴みかかって来た村長の耳元に、素早く囁いた。


「そのままあたしを怒りながら聞いて。サヤが、あんたをカーク祖父ちゃんに戻してくれた大恩人が大変なんだよ」


 村長はハッとした顔でイザベラを見るが、すぐに帰れと怒鳴った。イザベラは如何にケビン親子がとんでもない殴り合いをしているかを大声で話しながら、自分を怒鳴る村長にケビンから聞いた話を小声で教えた上で追い出されて行った。


 そして村長は弔いに没頭している振りをしながらも何とかシリルをサヤの下へ連れて行く段取りをつけ、サヤの下へ駆けつけたのだが——


 サヤに事情を話す前に、アデラが来てしまった。


次は22時頃に投稿します。

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