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アラサー女の異世界転生チート清掃業~誰もが何か隠してる(180話以上完成済)  作者: 明烏
第1章

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ガーディアン

今日は予定を変更して16時から18時、20時、22時頃に順次投稿します。

 村人への周知が済んださやと村長はその日から村人の家を一軒一軒回り、それぞれ何処にどれだけ大きな闇があるか確かめた。その上で村長と相談の上で祓う闇を決めていった。

 隠れて見えない場所にある闇も見つけ出すさやに、村長は感嘆の声を上げる。


「よくそんな場所にある闇までお分かりになりますね。家人さえ気づきませんでしたのに」

「そうですか? 何となく気配を感じるだけなんですけど」

「……さすがはヒーラー様ですなあ」


 三日間ヒルダの家の闇に取り組んだことで、さやは闇が醸し出す気配が大体分かるようになっていた。ここが淀んでいるなと思うと、闇があるのだ。

 これはかなり役に立つ能力だった。そうした闇が祓う対象になる場合もあったからだ。

 目につかない闇はモップでは届きにくい場所にあることも多く、そんな闇には物を動かしたりする手間を省く為に雑巾やブラシ、棒を使うことにした。どんな形でも掃除道具を闇に接触させれば闇を祓えるからだ。


 確認した闇の場所と規模、色の濃さをさやは家ごとに記録していった。紙と筆記用具がそれ程贅沢品でなかったのは有難かった。行動制限が厳しい為に、手紙などの連絡手段に使う物品は比較的充実していたのだ。


 清掃作業を確認する要領で闇祓いの手順を決めていく、さやの手際の良さにも村長は感心していた。


「いや、実に手早く正確でございますな。ヒーラー様ご自身がこういう作業がお出来になるとは嬉しい誤算でした。おかげで、思ったよりも早く確認作業が終わりそうです。ガーディアン殿がいないのだから、かなり時間が掛かるだろうと覚悟していたのですが」

「ガーディアン? 何ですそれ?」

「――ああ、それもお忘れですか」


 怪訝な顔で尋ねるさやに、村長は苦笑した。どうやらガーディアンとやらもこの世界の常識らしい。


「ガーディアンとは先日お話ししたヒーラー協会が、登録しているヒーラー様にお付けする…… 何というか、ヒーラー様にはなくてはならない方なのですよ」


 ガーディアンはヒーラー協会に所属するヒーラーなら必ず付いており、仕事の采配や協会との連絡、時には日常生活に至るまで、ヒーラーの希望に応じてヒーラーの世話をするそうだ。


「要はヒーラーの補佐役のようなものなんですね」

「いやいやとんでもない! ヒーラー様にとって、ガーディアン殿とはただの補佐役などで片づけられるような存在ではありません。いうなれば一心同体といいますか…… ヒーラー様のおられるところ必ずガーディアン殿ありといいますか」

「へ⁉」


 ギョッとしたさやに、村長はそれが至極当然だという口調で言った。


「サヤ様も協会に登録なさればガーディアンが付けられるでしょう。そうすれば、こういう雑事は全てガーディアンに任せて闇祓いに専念出来ますよ」

「ちょ、ちょっと待って下さい! 一心同体とか、ヒーラーのある所ガーディアンありとか…… まさか仕事(闇祓い)の時だけじゃなくてそのガーディアンていう奴と一緒に暮らしたりもするんですか⁉」


 さやは冗談じゃないと思った。仕事関係の人間が朝から晩まで四六時中傍にいるのは、正直言って気が進まない。そもそもさやが王女になるのを嫌ったのも、侍女なんぞに引っ付かれて常に世話を焼かれるのが嫌だったということもあるのだ。


 村長は、さやの不安を杞憂だと笑った。


「そこはサヤ様のご希望次第だと思いますよ。サヤ様がガーディアン殿とはお住まいを別にしたいとお考えなら、ガーディアン殿はそのように対処するでしょう。私だってヒーラー様とガーディアンの関係については常識的な事しか知りませんが、ガーディアンはとにかくヒーラー様の意思を尊重すると聞いております。サヤ様が嫌がる事はなさらないでしょう」

「——そうなんですか」


 とりあえず自分の希望は通りそうだと分かったさやは一安心した。そして気づいた。つまり女神との約束通りなのだと。


〝いつ、どれだけの世話をされるかはあたしが決めるわ〟


 村長の言う事が本当なら、その希望も叶うわけだ。


 ただそれにしても、自分の仕事どころか生活のあらゆる面で大きく関わってくるらしいガーディアンという存在にはかなり不安があった。

 そもそも多くの者がかなり厳しく行動を制限されるこの世界の常識は、さやには馴染まないものだってあるだろう。

 それが常識だと村長が勧めるままに協会に登録してガーディアンが付いた場合、その状況が自分にとって耐えがたいものだったらどうしようか。


 何のためらいも無くヒーラー協会に登録してガーディアンの世話を受ける事を決めるには、情報があまりにも足らなかった。大体何らかの組織に所属する場合、決してメリットばかりでは無いだろう。


 とにかく今後どうするかについてはさやもよく考えてから決めるつもりだった。

 今の自分は知らない事が多すぎるのだ。村長ばかりではない、それこそもっとこの村以外の場所にも出向き、様々な事を見聞きしてから決めても遅くは無いだろう。

 何しろさやはヒーラーとして世界の何処を訪れても構わないのだから。


 ともあれ今は闇祓いに専念するべきだった。


 村長とさやは二日間で村の家全ての確認を終え、一日がかりでそれぞれの家屋をどの順番で、どの闇をどれだけ祓うかまで決めた。

 その方針に従って、さやは四日目から村の闇祓いに取り掛かった。

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