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アラサー女の異世界転生チート清掃業~どんなに泥沼の世界でもあたしは折れない  作者: 明烏
第3章

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代理人の説明

 半端仕事を始めて六日後、さやはその日の仕事を終えると協会支部へ向かった。この仕事の大元である依頼者の代理人から、最後の現場について説明を受ける為である。

 本来なら当然ガーディアンのシリルが話を聞くべきところだったが、さやは確かめたい事があったので直接話を聞く事にしたのだ。


 しかし当然ながら、さやの足取りは重かった。


 代理人はさやが来ると満面の笑みを浮かべて今回の仕事ぶりを褒めそやした。


「いやあ、依頼された皆さん喜んでいますよ。本当にキレイに闇を祓って下さったと。燕亭の御主人など気付かなかった闇まで祓って貰えたと、大変感謝されていました」

「……ハハ、そうですか」


 あの宿で巻き込まれた聖女とのゴタゴタを考えると、さやは乾いた笑いしか出てこない。

 しかも貸家に帰った後でシリルに愚痴を言ったら、依頼者が申し出ない闇まで祓う必要など無かった事を知らされたのだ。


 道理で宿の主人が自分に気前よく御馳走してくれるはずだ、あんなに有難がることは無かったと思えばさやも面白くない。


「で、明日の場所について、なんですが」

「あのそれだけは無しという事には……」

「はい⁉」

「いえ! 何でも無いです!」

「では説明させて頂きます。王宮に入られる際は、まず門番にこの臨時入城許可証を見せて下さい。そして必ず、いいですか、必ず王宮近衛副隊長殿に面会したいと伝えて下さい。絶対に侯爵令嬢のお名前は出さないように」

「…………分かりました」


 言葉少なに答えながら、さやは心の中でぼやいた。


(はあ…… 今の状況であの婚約破棄令嬢のとこへ行かなきゃならないなんて、何の罰ゲームだよ。大体喪女なんだよあたしは! あんな状況のお嬢さんに何が言えるっていうんだよ ……ああ、この世界に瀬戸内〇聴が転生してないかなあ。そしたらこの依頼を丸投げ出来るのに)


「いやあ、サヤ様にお引き受け頂いて本当にようございました! 依頼人はこの際老若男女は問わないと申されておいででしたが、やはりお話し相手という事でしたら同じ女性で、お歳の近い方のほうがよろしいに決まっておりますからな ……で、サヤ様は今回の依頼について、詳しい事情をお知りになりたいということでしたな。闇祓いにご必要ならお話して構わないと依頼人から許しは得ております。ご説明しましょう」


 にこやかに話していた代理人は表情を改めると、ダンマルタン侯爵令嬢居住区の闇祓いをさやに頼んだ経緯を話しにかかった。


「現在王宮内では令嬢の居室のみ闇祓いが済んでおりませんでな。聖女様が、そのう…… あまりお気が進まないようで」

「…………はあ」

「とは言え無理にお願いすることは難しく、それで私に依頼された方が密かにあなたをお呼びしたという次第です。闇祓いすればすぐに聖女様に知れるでしょうが、まあ多少のお怒りを買うのはこの際やむを得ないということで」


 協会所属のヒーラーと闇祓いの契約をした場合、依頼を引き受けたヒーラーがある一定期間その闇を祓わずに放置していれば、依頼人は新たなヒーラーに闇祓いの依頼をし直す事が可能だ。

 パトリシアが侯爵令嬢居住区の闇を放置していた期間はその規定に該当するので、さやが王宮に闇祓いに赴くことに問題は無い。


 ただ当然パトリシアは面白くないはずだ。


 代理人は〝依頼された方が密かに〟などとごまかしているが、実際は放置してはまずそうな闇だと判断した王室の意向による依頼だろう。


 聖女が怒った場合は多分〝依頼された方〟であるその王宮近衛副隊長とやらが、全ての責任を負わされるに違いない。


 そうした事情について、さやは特に興味は無かった。自分は依頼された闇祓いを遂行するだけ、むしろこれ以上聖女がらみの揉め事に関わるのは真っ平ごめんだ。


 確かめたいのは別の事だった。


「それはまあ、分かりますが、私はこの〝話し相手〟を務めるというのがどうにも理解出来ないんです。様々な国の事をお知りになりたいのならまだ分かりますが、私の〝事情〟はご存知な訳でしょう? しかも侯爵令嬢で王太子殿下の側妃候補でいらっしゃる方なら、少なくとも謹慎処分になる前はお近づきになろうとする者は幾らでもいたと思うんです。そんな方の話し相手として私は何を求められているのか、それも含めてダンマルタン侯爵令嬢の事情を教えて頂きたいんです」


 すると代理人が非常に気まずそうな顔をした。


「……その話ですか。いや、それは依頼人も出来れば話さないで欲しいと申されているのですが」


 どうやら言いにくい事情があるようだ。それでもさやは情報を欲しいと頼んだ。


「絶対に話してはならないとは言われていないんですよね? 確かに本来なら詮索すべきではないのでしょうが、お話し相手を務めるならお相手の事情とか、私が何を期待されているのか等をある程度知っておく必要があると思うんです。何も知らなければ、話すべき事とそうでない事すら分かりませんので ——それからひょっとすると闇祓いに必要になる情報の可能性もあるので」


 さやがそう食い下がると代理人はかなり迷っている様子だった。

 しかし闇祓いに必要だと言われて仕方ないと思ったのだろう。しばらくするとこう言った。


「絶対に、ここだけの話しにして下さいよ」


明日も20時頃更新の予定です。


面白い、続きが読みたいという方はブックマーク、評価等頂けると嬉しいです。

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