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アラサー女の異世界転生チート清掃業~どんなに泥沼の世界でもあたしは折れない  作者: 明烏
第3章

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ハンターギルド

 ハンターギルドも協会支部と同様、繁華街から程近い地域にあった。

 その敷地は協会支部程の広さは無いものの、通りの両隣が広大な建物で締められている様は壮観だ。


 向かって左側の建物はハンター達の用向きを請け負い、右側を占める建物は討伐の依頼や素材の購入、道具作成依頼等で訪れる客用の施設だった。

 どちらの建物も三階建ての堅固な石造りで、ハンターギルドである事を示す猟銃と弓矢が交差した意匠の旗が掲げられていた。


 移動が厳しく制限されているこの世界において、魔獣その他の獣の討伐や魔石・薬草などの素材収集に関する業務はほとんどハンターギルドが請け負っており、その業務は多岐にわたっていた。

 ヒーラー協会程多岐にわたる販売網では無いものの、世界を網羅する独自の流通システムを協会以外に持っている唯一の組織だ。


 何より素材に関する専門知識を強みとし、どこよりも高品質で割安な商品を扱うことで定評があった。


 ハンターギルドを見ると、さやはどうしても思うことがある。

 通りで立ち止まったまま左側の建物を見つめるさやに、ヒルダがけげんな顔をした。


「どうしたんだい? 入らないの?」

「——いや、今頃シナ村のケビンはどうしてるかな、と思って」

「——ああ、ディックさんとこの坊主か」


 さやの言葉にヒルダは納得した顔になった。


「そうだね、ハンターになるには熟練のハンターに弟子入りするもんだけど、親父さんが賛成してくれるかな。ディックさんは息子に自分の後を継いで貰いたがっていたはずだからね。まあ、もう宿も決まったことだし、どうなってるかイザベラに手紙で聞いてみるよ」

「うん、お願い。ケビンの願いが叶ってるといいなあ」


 さやはそう言いながら、ヒルダと共に右側の建物に入って行った。


 入り口を入ると広々とした受付フロアがさや達を出迎えた。

 受付は魔獣や猛獣の討伐依頼、素材の注文や道具作成の発注などに分かれている。


 更に奥に進むと客の応対兼待合所やレストランもあった。レストランは素材の試食も兼ねているらしい。

 二階が食材と薬の材料、三階が薬種以外の素材の販売コーナーだった。

 階段を上って二階のフロアに行くと廊下の両隣にずらりと食材や薬種が並び、多くの客でごった返していた。


 所狭しと肉の塊が並んでいる売り場、様々な大きさや形や色の魚が敷き詰められている台、ありふれたものから珍奇な野菜や果物が並んでいるコーナー、更に天井から吊り下げられた香草や薬草が目を引く売り場。

 他にも骨だけや皮だけといった、特定の食材や薬種に限定して売っているコーナーもある。

 どの売り場のスペースも呆れるほど広大だった。


「こりゃ大したもんだねえ! 一つの売り場だけで市場が入っちまいそうだよ!」


 ヒルダが驚きの声を上げる。


 実際売り場には宿の近くの市場など比較にならないほど多量で多彩な食材が並んでいた。しかも市場と違い、高級な肉や魚は魔道具の冷却ケースでちゃんと保管してある。

 野菜や香草も、ヒルダすら知らない素材が数多く売っていた。


 豊かさがあふれる場所にヒルダはため息を洩らした。


「——何だかこんな処にいると、この世に闇なんか無いような気がするよ。シナ村の事なんか忘れちまいそうだ」

「——そうだね」


 ヒルダの言葉にはさやも同感だった。アリアに来てからさやはほとんど闇を意識したことが無い。それ程この都に闇は無いのだ。


 そう考えるとAランクヒーラーの能力(ちから)は確かに素晴らしいと思う。この王都の平穏と豊かさは、間違いなく彼女(パトリシア)の功績だ。


 婚約発表の際の態度があまり褒められないものだとしても、それは変わらない。さやだってあの聖女様のお陰でこうしてのんびり休暇を楽しむ事が出来ているのだ。

 多少の無作法ぐらい、幾らでも大目に見てやろうという気にもなれる。


「——どうしたもんだろう。確かに安いけど、高級な食材はやっぱりそれなりの値段がするからねえ。サヤの買い物もあるだろうし……」


 ヒルダは食材とシリルから貰った金貨が収まっている自分の懐を見比べ、考え込んだ末に言った。


「やっぱりあたしは何を買うかはサヤの買い物が済んでからにするよ。下手に高い食材を買い込んだおかげで、サヤが買いたい物を買えなくなったら大変だからね。とりあえず欲しい物を見繕っておいて、何を買うかはあんたの買い物が済んで、残った金額を見てから決めるよ」

「分かった。あたしもなるべく節約するよ」


 二人は後で一階の待合所で落ち合うことにし、サヤは三階へ向かった。


 三階のフロアも二階と同様、廊下にそって両隣が売り場になっており、やはり多くの客がひしめいていた。

 様々な獣や魚類、昆虫の皮や甲殻に骨、内臓に獣毛や鱗などありとあらゆる素材はもちろん、珍奇な鉱石や植物に木材を売るコーナーもある。動力源となる魔石も大小様々なものが売られていた。



明日も20時頃更新の予定です。

面白い、続きが読みたいという方はブックマーク、評価等頂けると嬉しいです。

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