第2話 実はお嬢様
少女は辺りを警戒する。
幸先の悪いアクシデントに遭遇してしまった。
雨上がりの水たまりで濡れてしまった赤丸の印がつけられた地図と見知らぬ土地の景色を交互に見ながら目的地を目指して歩く。
『近頃は何かと物騒だ。道中誘拐などされないように水城院家の関係者だと思われないような服装をして来なさい』
淡々と話す電話越しの祖父の言葉を思い返しながら少女は笑えない顔をした。
全く真に受けていなかったが、祖父が住むこの街に来てほんの数分で引ったくりに鞄を盗まれてしまう始末だ。これは、警戒していなかった自分が悪かったのだろうか?
すれ違う人に注意して、同じ轍を踏まないように心掛ける。本当にここまで気を張らなければ外も歩けないような街なのだろうか? 平和だった地元とは大違いだ。
不意に溜め息が出る。気が滅入りそうだ。
不幸中の幸いか、通りすがりの人畜無害そうな優男が助けてくれたから良いものの、本当に物騒な街に来てしまった。けれど、他に選択肢は無かったもの。仕方無いわね。
「お祖父様のお屋敷は、どこかしら? この辺りのはずなんだけど…」
高層ビルの街並みを抜けて、いかにもブルジョアのお屋敷といった空き巣に狙われそうな別荘が立ち並ぶ高級住宅街に足を踏み入れる。
1軒1軒広い土地を有していて、こんな都会にも土地というものは、あるところにはあるのだと実感する。
前もって祖父から聞いていた情報によると、この辺りは資産家の屋敷が集まっている通りであるため、何年か前には本当に誘拐事件が起きたこともあったらしい。
結んだツインテールが左右に揺れる。定期的に自身の安全を確認しながら歩くのはとてつもなく窮屈だ。こちらが不審者に思われてしまうかもしれない。だからどうしたということも無いのだけれど。
高級住宅街をひたすら歩き続ける少女は春からこの街のとある学園へ通う事になっているため、家庭の事情で学びやの近くで暮らしている祖父に部屋を提供してもらい、高校3年間を過ごす予定なのである。
早いところ祖父の屋敷を探し出そう。
『水城院』
表札を確認し、豪華で立派な正門の前に立ち、質素な服装の少女は目を見開く。お隣さんや、そのお隣さんのお隣さんよりも遥かに桁違いの豪邸に見える。
とある事情により、彼女は自分が資産家の孫娘だとは知らずに生きてきたため、目の前の生涯関わることも無いだろうと思っていた立派なお屋敷を前に、ようやく自分が資産家の孫娘だという実感が湧いてきたという。
大体、自分の名字が『水城院』なんていかにも裕福そうな名前をしていた事から、普通なら一家の誰かがそれなりの富裕層の出なのかもしれないと気付いてもいいものだが、その誰かであった祖父との縁は、私が物心ついた頃には既に無いものとされていた。
親子の絶好という形で…。
「……お祖父様…」
祖父の家だというのに何だか変に緊張してしまう。それも仕方の無い話だ。会ったことがあるのかも覚えていないし、訪ねるのは祖父と言ってもほとんど初対面となる人だ。
深呼吸をした私は改めて目の前の立派なお屋敷を眺め、気合を入れてから手を伸ばし、恐る恐る表札横の呼び出しボタンを押した。インターホンすら量産型のそれとは思えない豪華なつくりだ。
「はいは~い! どちら様でしょうか? この忙しい時に訪問者の対応をさせられるとはツイてないですね~!」
来客の対応にしては失礼が過ぎる。
そこまで歳も離れていないだろうと思われる陽気な女の子の声が聞こえてきて、緊張しながら門の前に立つ私は一言声の主に返答する。
「水城院 唯香です」
「貴女様が唯香お嬢様ですかぁ? ほほ~! それでは本人であることを証明していただくための合い言葉をお願いしま〜す! 曲者はお通しできませんので!」
「えっ!? あ、合言葉!?」
ちょっと待ってよ。えっと…。
水城院 唯香は祖父と電話で話した時に合い言葉など決めていただろうか? と記憶を辿り思い返してみるが、当然のように思い当たる節が無い。
目立たない服装で来るように言われ、誘拐されないように気を付けなさいと注意を受けたくらいで、そんな話は無かったはずだ。緊張していたため、自分が聞き逃した可能性は無いとは言えないけれども…。
ひょっとしたらどこか抜けている父が私に重要な情報を伝え忘れていた可能性も無いとは言えない。
数秒考えている内にインターホンから再び陽気な女性の声が聞こえてきた。
「それではお答えいただきましょう!…山!…」
「……………………」
いや、いやいやいや? そんなはずがない。
あからさま過ぎる『山』との一言に考えもせず『川』と返していいのだろうか? それのどこが本人であることを証明するための合言葉だと言うのだろうか? そんなずさんなセキュリティで富裕層が務まるものなのか?
もう1度よく考えてみるも、心当たりが無いため唯香は悩んだ末、陽気な声色の女性に尋ね返してみた。
「申し訳ありませんが、合い言葉なんて決めていなかったと思いますけど?」
インターホン越し。陽気な声色の女性は、1度息を溜めてからあっけらかんと答える。
「ふっ…ピンポン! ピンポーン! ようこそおいでくださいました唯香お嬢様! 誘拐犯に攫われないうちにどうぞお屋敷の内へお通りくださいませ~!」
ゴゴッ! と背の高い門が自動でゆっくり開いて行くのを確認して、半分程開いたタイミングで唯香は屋敷へ向かい歩き出した。庭も物凄く広い。天然芝なのだろうか。よく手入れされている。ゴールでも立てれば、余裕でサッカーの試合ができそうだ。
でも結局、合い言葉って何だったの?
お屋敷の敷地内に入ると同時に正門がゆっくりと自動で閉じられる。身軽な自分なら、よじ登って外に出ることはできそうだけれど今更、引き返す気もない。
「………………」
先の合い言葉は祖父の仕掛けだろうか?
孫娘を持つお爺さんの考えであったとしたのなら、顔も知らない水城院家現当主 水城院 源治郎お祖父ちゃんとは随分とお茶目な人のようだ。
唯香が屋敷のドアの前まで来てみると、見計らったように中から見知らぬ女の子が姿を現した。清楚なメイド服を着こなし、満面の笑みを浮かべるアイドル顔負けの美少女。
特徴的なのは髪色が明るい緑色に染め上げられていることと、メイド服では隠しきれていないその破壊的なまでの胸の大きさだ。これは本物なのだろうか?
別に、羨ましくなんてない。全く。微塵も。
インターホン越しの声の主だろう。
「は~い、お初にお目にかかります唯香お嬢様! 私は水城院家のメイドをしておりますナユタという者です! 以後お見知り置きを~」
丁寧にスッと頭を下げるセミロングの緑髪をした可愛らしいメイドさんに合わせて、つられた唯香もお辞儀をする。
「唯香です。 よろしくお願いします」
「は〜い、よろしくお願いされちゃいます! ですが、唯香お嬢様…使用人風情にいちいち頭を下げないでくださいね~。 ナユタに土下座でもさせて、靴を舐めさせたいと言うのでしたら、話は別ですけどね~」
富裕層のしきたりなのかしら?
「わかりました…」
「敬語も不要ですよ〜」
「わ、わかったわ…」
そういうものなのだろう。
我が家は貧乏寄りだったし、父は普通のサラリーマンで、母は普通の専業主婦だ。メイドさんが普通に雇われているお屋敷の常識など知る由も無い。上下関係は厳しそうだ。
「では、ご案内しますね~」
「……………………………」
外から見ても天晴れの一言だったが、中は中でまた別世界だ。通路は広く、価値のよくわからない美術品がいくつも展示されている廊下。その1つ1つを通り過ぎる度に豪華な装飾の施された扉があり、部屋がいくつあるのか数え切れない。大金持ちも大金持ちだ。予想の遥か上である。本当にここが祖父の家なのだろうか。緊張する。何だか自分が悪いことをしているような気分になってきた。
敷かれた花柄絨毯の廊下を土足で歩いても構わないのかすらわからない。和式ではなく洋式なのだろう。屋敷の中も靴のままで歩いているし、いいのよね?
後で汚した絨毯を弁償と言われても無理だからね?
唯香は生唾を飲み言葉を失っていた。
「ところで唯香お嬢様?」
「は、はい…」
特徴的な緑髪のメイドさんが長い廊下を突き進みながら後ろを付いて来る私に尋ねる。
「お漏らしでもなさったのですかね~?」
失礼なメイドである。顔が熱くなった。あまりの緊張で自分でも忘れてしまっていた。
「ち、違うんだからね! これは…来る途中にアクシデントがあって!…それで!…」
軽く頬を染めて事情を詳しく説明したが、超失礼なお屋敷のメイドさんは、聞いておきながらさして興味も無さそうに、その程度でラッキーでしたね~。と笑い飛ばして来るだけだ。
その程度とは引ったくりの事で、つまり運が悪ければ誘拐事件、またはその場でナイフを突き刺されでもしていたのかもしれない。この国は世界一安全なはずなのに。地域によって雲泥の差だったりするのだろうか?
「心が痛みます。着替えさせてあげたいところではありますが、主がお待ちですので、先に源治郎様のお部屋まで案内しちゃいますね。構いませんね? 唯香お嬢様〜」
「は、はぁ…」
一刻も早く着替えてしまいたいところだったけれど、生活に必要な物は後程宅配サービスで届けられる予定だ。当然、着替えなど用意されてはいないだろう。彼女の予備のメイド服くらいはあるかもしれないけれど、大変遺憾なことに、胸回りがぶかぶか過ぎる。あの揺れている塊が実物だった場合の話だけれど!
それに、道中引ったくりにあったり、道に迷ったりと色々あったため到着予定の時間を30分程過ぎてしまっていた。祖父をこれ以上待たせるのも忍びない。
唯香は渋々、先に祖父のもとへ行く事に同意する。
ニコッと陰で笑うメイドさんのお茶目など知る由もなく、唯香は言われるがままに使用人の後に続いて長い廊下を再び歩き出した。
屋敷の一番奥に案内される。メイドさんによると資産家の水城院家現当主、水城院 源治郎が普段遣いしている彼の書斎だという。
「源治郎様ぁ~! 水も滴る良い女。唯香お嬢様をお連れしました~!」
言い方に悪意を感じる。
随分と屋敷の主に馴れ馴れしいメイドだ。
雇い主の孫娘とはいえ、新参者の自分だからこそ緑髪の使用人が嘗めて軽い口調をしていたのかと思いきや、祖父の前でもその陽気な口調は変えないらしい。これで、よくクビにならないものだと思う。
この性格を差し引いても余りある程、仕事振りが優秀なのかしら? そうは見えないのだけれど、偏見甚だしいが、若く元気な美少女を囲うような、お金持ちにありそうな祖父の悪い趣味でないことを願うばかりだ。
「ふっふっふ~、こう見えてもナユタは唯香お嬢様がアヒャッと驚くいくつもの特殊能力を体得しているのですよ~!」
小声で語りながら振り返り際にウインクされた唯香は、その特殊能力の1つに読心術というものがありそうだと冷や汗を流す。優秀そうに見えないというのは撤回しよう。
ドア向こうから老人の声が聞こえてきて、メイドさんが扉をゆっくりと開いた。
「どうぞ~。唯香お嬢様〜」
「…し、失礼します!」
そこは、何故ここまでの広さを求めたのか尋ねてみたくなる程に馬鹿でかい書斎だった。小さな図書館と形容して良い程のものだ。扉を開くと同時に強い本の匂いが漂ってくる。古い本も多そうだ。
部屋を飾るようにあちこちに高そうな花瓶や絵画が飾られている。1つ壊しただけで一生を弁償に費やしかねないであろう品々なのだろうが、庶民として生きて来た唯香にはその価値がわからない。触らないよう注意するのが吉だろう。
1人の巨漢な老人がこちらへ向かい歩いて来る。190センチはありそうな筋肉質の老人だ。外見から滲み出る物理的な強さを感じる。必然、見上げる形になってしまう。
自分のようなごく普通の貧しい家の出の少女が、本当にこの老人?の孫娘なのだろうか?
でも、父親の面影が無いわけではない。
唯香に歩み寄った老人は緑髪の陽気なメイドを退室させると近くのソファーに浅く腰を下ろし、向かいに目をやって威厳のある声色で命じる。
「よく来たね。まあ、座りなさい」
「は、はい!…あ、でも…」
汚れたスカートのままでは高そうなソファーまで汚れてしまう。唯香はついさっき初めてその姿を見た祖父に向かい、申し訳なさそうにスカートの端を摘んで見せた。
「…漏らしたのかね?」
「………………………」
最悪の初対面となってしまった。
察しろというのが無理な話か。だとしても、少しは言葉を選んでほしかった。漏らして無いって何度も説明させないでよと、叫びたい気持ちを押し殺して唯香は冷静にこれまでの経緯を説明する。
祖父、水城院 源治郎はそれを聞き終えると…。
「…ふむ、ならば先に着替えて来なさい。時間はたっぷりとあるからね。ナユタ…」
「はいは~い! ここにいますよ~旦那様」
祖父がその名を呼ぶと同時に唯香の背後に現れる緑髪のメイドさん。
どこから沸いて出たのだろうか。先程部屋からは確かに退室していたし、足音もしなければ、気配も感じ取れなかった。ドアを開ける音すらしなかったのに…メイドさんは何食わぬ顔でそこに立っている。
これも彼女曰く、特殊能力なのだろうか?
「いつの間に…メイドさんの副業は殺し屋か何かじゃないですよね?」
恐る恐る尋ねてみた唯香に向かいメイドのナユタさんはにっこり微笑みウインクした。
「ヒ・ミ・ツ です!」
できれば、否定で返してほしかった。
一旦祖父の部屋を出た唯香は緊張のせいか、どっと汗をかいてしまう。あれが本当に父の父なのだろうか? 確かに父も、そこそこ身長は高い方だけれど、う〜ん。
もう少し、いや大分、ひょろっとした車椅子にでも乗っていそうなお爺さんを想像していた。実際は何だろう。格闘技界の重鎮といった雰囲気だった。
3年間寝泊まりする部屋として自分に与えられた個室までの道を案内してくれているメイドさんに話しかける。
「あの? メイドさん」
「ナユタさん。ナユタ様。2つ年上なので御姉様でも構いませんよ~。お嬢様ぁ〜!」
飛びきりの笑顔で冗談をかましてくるメイドさんに向かい唯香は実質1択を言い直す。
「…ナユタさん、お祖父様はいったい何をされている方なんですか?」
ここに来る前に、漠然とお金持ちであるという情報だけを父から聞かされていた。
「おや、そのレベルで? そうですね。知識の無い方にお話しするには長くなる話なので簡潔に申しますと、広く深くこの国の資本に関わっている方ですね。ナユタはてっきり全て知っているのかと思っていましたけどね〜」
全てどころか、お金持ちだということも、祖父の名前も顔も、つい先日まで知らずに生きて来たのだけれど。
両親は祖父の事を話してはくれなかったし、話したがらない両親に私もあえて何かを聞こうとはしなかった。
経済的に余裕の無い我が家。にも関わらず県外の学園、それもお金のかかる私立校の鳥羽園学園高等部にならば入学料、授業料、その他一切の経費が無料になるということで、高校への進学を希望していた私は唯一、両親から進学が許された鳥羽園学園のあるこの街へ来たのだ。
それが祖父の計らいだった事すらも、今朝この街に来る前にようやく説明されたばかりなのだから、私は祖父の事を何1つ知らなかったと言っても過言では無いだろう。
「ナユタさん」
「は~い、次は何でしょうか。お喋りが大好きな唯香お嬢様〜?」
私は何か、この人の気の障るようなことでもしただろうか? 初対面だと思うのだけれど、このメイドさんにやたらと嫌われている気がする。気のせいだろうか?
嫌厭されているのならば仕方無い。これ以上話しかけるべきではないのかもしれない。そのまま黙り込んで、メイドさんの後を続き部屋に案内してもらうことにした。
唯香は急に立ち止まったメイドさんに合わせて自分も足を止める。
「ここが唯香お嬢様のお部屋になります。では、ナユタにはこれからやらねばならない大切な任務がありますので~」
スッと頭を下げるメイドさんに合わせて頭を下げそうになった唯香は、お辞儀してはいけない事を思い出した。
しきたりが若干面倒臭い。
「その調子で水城院を名乗るに相応しい振る舞いを身に付けてくださいね~! まあ、必要無いかもしれませんが…」
クルッとターンしてフリルのスカートを靡かせて、意気揚々と去って行くメイドさんは数歩花柄絨毯の廊下を進み振り返る。
「ああ、そうそう…」
距離を取ってから、自室のドアに手を伸ばそうとした私にメイドさんが話しかけてくる。
「ちゃんとお漏らしの誤解は解けましたか唯香お嬢様~」
「………はっ!?…ちょっ!…」
なんて無駄に無駄のない高速のスキップ。どんな高速移動術なのだろう。走っても追いつけそうに無い程、一瞬でこの場から消えてしまった。地の利が私に無い以上、追ってもまかれるだけだろう。何なら、そのままお屋敷の中でこちらが迷子になりそうだ。
計算づくでからかわれていたのだろう。
やられた。
私って、立場としては雇い主の孫よね? そう扱わないとしてもお客様なんじゃないの?
あのメイドさんは何なのだろう?
このスカートの濡れ方がそれっぽくて面白いと思ったから祖父にも見せてあげよう。そんな子供じみた考えで私の着替えを後回しにさせたのだろうか。
「これ、確信犯なの?」
唯香は緑髪の陽気な使用人。メイドのナユタさんと上手くやっていけるのか一抹の不安を覚えつつも、自室のドアへと再び手を伸ばす。
自室として割り当てられたその部屋は私が中学3年生まで暮らしていた我が家とはまるで違う一室だった。無駄に広い。無駄に豪華。どこの高級ホテルのスイートルームなのだろうか。これが一介の高校生に貸し与える部屋なのだろうか。落ち着かない空間だ。
しばらくすれば、この余所の家に来たような緊張感と居心地の悪さも消えてくれるのだろうか?
考えても仕方無い。
「そもそも替えの服は…あるのかな…」
呟きながら部屋を見渡した唯香はお高そうなシックなクローゼットを見つけて近寄る。触っても良いものなのかすらわからないが、貸し与えられた部屋に備え付けられていたのだから好きに開いて構わないはずだ。
祖父の言葉からして洋服一式くらいは用意されていそうだが、あまりお嬢様お嬢様している洋服は着たくない。普通のものがあれば良いのだけれどと、恐る恐るクローゼットを開いて中を確認して見る。
「……わっ…」
可愛らしい春着の洋服が30着程収納されている。どれも新品のようだ。お嬢様お嬢様しているドレスのようなものもあるにはあるけれども、私が普段から着ているような服も何着かは揃えられていた。しっかりと歓迎はされているようだ。どの服に着替えようか迷ってしまう。けど、やっぱり、私は動きやすい服が1番好きだ。
「数が多いのは嬉しい誤算だけれど、それはそれでどの服に着替えようか悩むわね…」
少しだけ気分が落ち着いた。




