【続編】東への追跡
【続編・第6話】東への追跡
「あおさん、ここまでありがとうございました。助かりました」
ちくの言葉に、黒装束の男・あおは背を向けたまま片手を上げた。
「……鬼はどこにでもいる。せいぜい気をつけるんだな。さらばだ」
闇に消えていくその背中を見送りながら、ケメ子がぽつりと呟く。
「……ちょっと変態だったけど、いい人だったわね」
千春が村の奥を指差した。「皆さん、今夜の宿を探しましょう」
一行は、村外れにある一軒の大きな屋敷の門を叩いた。
「すいません、一晩泊めていただけないでしょうか」
中から出てきた家主の老婆は、四人の姿を見るなり、激しく怯え、恐れおののいた。
「……い、昨日も、あなた方のような二人連れの男が宿を求めて来たのです。ですが、その方々に家の食料をすべて食べ尽くされてしまいました。お出しできる食事など、もう何一つございません……」
「きよぴこ達だ!」三人は顔を見合わせた。
やおたが、道中で採った山菜の籠を差し出す。
「大丈夫ですよ。ここにキノコや山菜があります。これを使ってください」
老婆は安堵の涙を浮かべ、四人を屋敷へと招き入れた。
案内された部屋で、明日からの行動を相談していた時のことだ。
ふと、ちくが部屋の隅に落ちている、この時代にはあり得ない「白くて細長い紙」を見つけた。
「おい……みんな、これを見てみろ」
ちくが拾い上げたのは、見覚えのあるコンビニのレシートだった。
『一番搾り 290円』『ピリ辛ソーセージ 350円』
「……間違いない、きよぴこのやつだ。大正時代まで持ってきてやがったのか」
しわくちゃの紙を裏返すと、そこには殴り書きのメッセージが残されていた。
『俺たちは東に 列車で向かう』
「……列車、か」
ちくがレシートを握りしめる。きよぴこの無事と、敵の目的地を確信した。
「俺たちも明日の朝、東へ向かうぞ。待ってろよ、きよぴこ」
囲炉裏の火が爆ぜ、四人の影が襖に長く伸びる。
大正の夜は更け、決戦の舞台はついに「鉄道」へと移ろうとしていた。




